トランプを支持するアメリカ人の4割は2050年までにハルマゲドンで地球が滅ぶと思っているという事実 佐藤優 高嶋ひでたけのあさラジ!

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2/23(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!その③

トランプを支持するアメリカ人の4割は2050年までにハルマゲドンで地球が滅ぶと思っているという事実
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(作家・元外務省主任分析官)

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2016年10月25日、米南部フロリダ州サンフォードの空港で演説する大統領選の共和党候補、ドナルド・トランプ氏 写真提供:産経新聞社

アメリカのトランプ政権は21日、従来は重罪が対象だった強制送還の対象を、万引きや交通違反といった軽犯罪に拡大するなど、不法移民対策や国境管理を強化する新たな指針を発表しました。これにより強制送還される不法移民は大幅に増える見通しで、入国管理や国境警備当局の職員を増員することが必要だとしています。

軽犯罪で不法移民の強制送還は「アメリカに来るな」というメッセージ
高嶋)曲げませんねえ。また大統領令も出すと言っておりますが、まずこの辺の経緯をニッポン放送報道部の森田耕次解説委員お願いします。

森田)アメリカ全体の不法移民というのは1,100万人に上っています。トランプ大統領はこのうち200万人から300万人を強制送還する方針で、先月就任した後25日に不法移民対策を強化するように指示する大統領令を出しております。

これを踏まえてケリー国土安全保障長官が、日本時間の昨日、新たな指針の署名をしました。これまでアメリカは殺人や薬物などの重罪に問われた不法移民を中心に強制送還をしていたのですが、新たな指針では交通違反や万引きといった軽犯罪までこの強制送還の対象にしようということで、ほぼすべての不法移民が強制送還の対象になり得ます。

ただ犯罪に関わった者の送還を優先するということも表明しておりまして、数百万人が対象になるだろうと言われております。子供の時に親に連れられてアメリカに入り、そのまま不法滞在している人たちは強制送還の対象にはならないと言う事です。
メキシコの国境から不法入国した外国人については、すべてメキシコに送還するという方針も示しておりまして、メキシコ側はメキシコ人以外の受け入れには抵抗するとみられています。

トランプ政権はイスラム圏7ヶ国からの入国禁止令に続いて、この国内に不法滞在をする外国人の強制退去ということで、治安維持を図るということを目的だとしております。入国禁止令については裁判所が差し止めているのですが、2、3日以内に新たな大統領令を発表するとしております。
一方で、アメリカでは多くの不法移民が安い賃金での労働に従事しておりまして、経済を支えているという実態もあるわけです。

高嶋)トランプさんの性格を見れば何かやるとは思っていましたけど。この軽犯罪で、仮に交通違反とかそういうことでも強制送還されるということは、誰でもされるということですよね?

佐藤)そういうことです。3ヶ月の報道を見ていれば、例えば横断歩道で赤の時に渡ったとか、道に唾を吐いたとか、誰でもそういう軽犯罪はやっていますからね。

高嶋)交通違反をみんながどういう状況で起こしたと調べた時に、1日に何百回、何千回以上も違反しているのですよね。

佐藤)職場のボールペンを家に持って帰っても、業務上の横領になります。

高嶋)警察はこの人を捕まえなきゃいけないという時には家宅捜査ということをやるわけですね。

佐藤)例えばラブホテルに人の名前を書いたら、私文書偽造になります。ラブホテルの宿帳に自分の名前を書く人なんていないじゃないですか(笑)

高嶋)そこまで考えられないことをやっちゃうという、トランプさんの神経とはどうなっているのですか?

佐藤)おそらくこれは今いる移民を追い出すということよりも「来ないでちょうだい」というメッセージだと思うのです。
例えばイランはシリアのすぐそばですよね。シリアからの難民がどれくらいいると思います? ゼロです。どうしてかって言うと、イランに逃げていくとアサド政権にすぐ送還して、アサド政権はすぐ殺しちゃいますから。それを難民たちはわかっているから誰もイランには行かない。
トランプはそれと同じ雰囲気で、アメリカに入ってもろくなことはないと、誰も移民がアメリカに流れてこないようにしたいのですね。

高嶋)むしろ逆が真であると。

佐藤)追い出すというのはシンボリックな話です。実際に追い出すのはアメリカ移民も追い出すのか、本当に経済犯罪で追い出すのかと言うと、全部やることは無理です。
その代り何人かやってわあ~とマスコミにそれを映し出して「やっているぞ!」という雰囲気を出すと。世界的にそれが回るでしょう。それで怖いから行くのをやめようと。そういう雰囲気を醸し出そうと。
ちなみに日本の留学生も注意した方がいいですよ。大学や語学学校の授業で出席日数が足りなかったり、遊びほうけていると追放対象になる可能性がありますよ。

トランプの狙いは国家機能の強化、ナショナリズムを高めること

高嶋)これはどういう影響を与えますかね?

佐藤) 国家機能の強化、ナショナリズムを高めます。重要なのは、人、物、金の移動が自由だという形で、我々ソ連崩壊後、ここ20数年考えてやっぱり違うようだと。最終的には国境、国というのは人、物、金をいつでも遮断できるということで、やっぱり国家、メキシコだってなんでこんなことをやられるのか。簡単ですよ、弱いから。だから舐められないようにする唯一の方法は、国家機能を強化するだけですよ。世界史はそういう方向に向かってきましたね。

高嶋)とうもろこし買わねえぞ、じゃ駄目なのですね。

佐藤)強ければとうもろこし買わせてくださいと、アメリカは言うはずですよ。例えば第二次世界大戦が始まった時というのは、メキシコの中の反米運動をアメリカはものすごく心配していましたからね。ですから日本とメキシコが繋がって、アメリカを攻めてくるのではないかと本気で思っていましたから。それくらいメキシコって強国だったのですよ。

高嶋)いづれにしても何百人を乗せた船をメキシコに送るということはやるのでしょうか?

佐藤)それくらいやりますよ。何万人はできなくても、何百人なら簡単にできますから。

高嶋)それでアメリカに入る人はほとんどシャットアウトして。

佐藤)はい。それで重要なのはそこをすべてメディアに映し出させるということ。それで時代はこういうように変わったぞという形で、怖いから行かないという雰囲気を出そうということです。

高嶋)それはトランプさんの気持ちは満足させるでしょうけど。アメリカ全体、世界の流れの中で言うとどういう影響が?

佐藤)トランプさんのやることに関しては、経済合理性に反することをやる場合があるのですけど、それは彼の思想信条に基づいて強い信念をもっている場合ですよ。
例えばイスラエル重視主義とか、今度から壁づくり、移民を排除するとか、これは彼の思想に基づいているわけですから。イデオロギーに基づいているわけですから、経済合理性は関係ないですね。
ただし実態としては数百万人なんてやらないです。だから数千人でしょう。それはアメリカ経済が与える影響の限定的です。ただ今後移民が入ってこなくなるということは、今度はアメリカ人の賃金の低下になってくるかもしれないですね。
アメリカ人の4割は2050年までにハルマゲドンで地球が滅ぶと思っている?

高嶋)今まで選挙で勝たせてくれた人たちに向かって色々と勝手気ままみたいな公約というかを叫んで、それを実行するっていうトランプの信用保証みたいなことで、大統領令を出してきていると。非常に違和感を、欧米諸国とかごくごく当たり前の人達には与えているわけですけど、アメリカはこれでどうなのですかね。支持している人たちは4割ぐらいいるということですけど。

佐藤)アメリカは全体の4割くらいの人達が2050年までハルマゲドンがあって地球が滅びると思っていますから。

高嶋)4割が?

佐藤)これ同志社大学神学部の助教の木谷佳楠の「アメリア映画とキリスト教」という博士論文で、去年キリスト新聞社から出ていますが、4割が2050年までにハルマゲドンの地球終わりがくると。こういう国ですから。だから彼女は、食品を食べる時に原材料を見るのと一緒で、少しアメリカ映画を観るときに注意をしたほうがいいと。2050年なんてもうすぐですよ。

高嶋)トランプを支持した例の白人の人達なんかはね、とんでもない非常識な考えを信じ切っているというわけですか。

佐藤)日本じゃ相当変わった人だという目で見られるね。でもアメリカの中だと人口の4割もいるわけですから「ちょっと」変わった人くらいでしょう。その上にトランプさんは乗っかっているわけですからね。これは大変な話ですよ。

高嶋)昔ねえ、富士山が爆発するという話もありましたね。

佐藤)富士山大爆発は定期的にありますよね。

高嶋)相良さんという人がいたよね。あれもすげえ変人扱いで大変だったけど「いや富士山は活火山です」だなんて言って、もしかすると爆発するかもしれないって言っているじゃないですか。

佐藤)ですから、アメリカの真実と日本の真実というのは、日曜日の毎日新聞で大きい書評を出してきましたけど、木谷佳楠の「アメリカ映画とキリスト教」を読むと、トランプが出てくる背景がわかりますね。

高嶋)木谷佳楠さんですか。それは一言で言えないでしょうけど、日本人の常識では当たり前に理解できないようなことを、ごくまっとうに信じ切っている人が4割もいると。

佐藤)そういう人たちと我々は付き合っていくと。

高嶋)その上にいるのがドナルド・トランプ大統領ですから。

佐藤)ハルマゲドンを信じる人が4割いる国の大統領だと理解しとかないといけない。

高嶋)これね、佐藤さんが言ったんじゃなかったら私は信じませんでしたよ。あの人放送に出さない方が良いって言いますよね。

佐藤)ちゃんとした文献的根拠のある話ですから。

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