水戸駅「花丸遊印録弁当」(1,350円)~駅弁屋さんの厨房ですよ!(vol.3しまだフーズ編⑤)【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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E657系電車、常磐線・赤塚~水戸間

水戸の偕楽園に差し掛かろうとしている常磐線特急・E657系。
白い車体に鮮やかな紅い帯は、「白梅・紅梅」の組み合わせと云われています。
平成24(2012)年デビューで、最高時速は130キロ、東京~水戸間は最速72分で走破。
「ひたち・ときわ」共に全車指定席の10両編成で、普通車も全席にコンセントがあります。
また、「ひたち」では、車内販売の営業も行われています。

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水戸駅弁「しまだフーズ」島田拓郎社長

「ひたち」の車内でもよくお目にかかれるのが、水戸駅「しまだフーズ」の駅弁。
いよいよ今回、「しまだフーズ」島田拓郎社長のインタビュー・完結編です。

梅まつりに合わせ、アニメ「刀剣乱舞―花丸―」とのコラボ新作登場!

bl170224-3(偕楽園の梅)

偕楽園の紅梅

●「水戸の梅まつり」で水戸へ・・・という方も多いと思いますが、今、お薦めの水戸駅弁は?

実は2月18日から、JR東日本と人気アニメ「刀剣乱舞―花丸―」とコラボした駅弁、「花丸遊印録弁当(はなまる・ゆういんろく・べんとう)」(1,350円)を登場させました。(注)
茨城は、大洗が「ガールズ&パンツァー」でアニメの聖地として人気を集めているんですが、今回、「水戸の梅まつり」では、「刀剣乱舞―花丸―」とコラボしています。
水戸駅(改札内NEWDAYS)はもちろん、東京、上野、新宿、大宮などでも販売があります。

(注)「花丸遊印録
「水戸の梅まつり」に合わせ、水戸市、JR東日本などが、アニメ「刀剣乱舞―花丸―」とコラボレーションして行われているイベント。水戸市内の「徳川ミュージアム」に有名な日本刀「燭台切光忠」が展示されていることに因んでいる。イベントでは、水戸市内と常磐線(品川~水戸間)を中心にスタンプラリーも開催されている。

bl170224-4(花丸遊印録弁当)

花丸遊印録弁当

bl170224-5(花丸遊印録弁当)

花丸遊印録弁当

●気になる「花丸遊印録弁当」の中味ですが・・・?

中味は、駅弁業界では最近トレンドの“相盛り”です。
(水戸の看板駅弁)である「牛べん」と「磯べん」を一緒に味わえるようにしました。
これに幕の内弁当の「常陸乃國美味紀行」から選りすぐったおかずを加えて、1つの折詰でいただくことが出来る、美味しいトコどりの駅弁です。
既に反響が大きいので、出来るだけたくさん作れるように準備しています。

bl170224-6(花丸遊印録弁当)

花丸遊印録弁当

●新作や記念弁当を作り出す時って、様々なご苦労がありますよね?

ご当地の味の少ない地域で、記念弁当を出す時には、アイディアに苦労しますね。
また、短期間しか販売しない予定で新作を作った場合でも、衛生検査を通す必要があります。
実際、季節弁当などを出されている駅弁屋さんは、その都度、検査をされているハズです。
特別な容器ですとコストの問題もありますし、マンパワーの問題もあります。
こういった様々な事情を乗り越えられた商品だけが、「新作」として登場しているんです。

bl170224-7(常陸牛のしぐれ煮)

「花丸遊印録弁当」にも使われている常陸牛のしぐれ煮

●今、スタッフは、どのくらいでやっているんですか?
常時いるのは、13人くらいで、時間帯で入れ替わります。
特に消費期限が長く、たくさん出るものは日中、人数を集中させて、一気に作るようにしています。
夜間、早朝は、少数精鋭にして、少量しか出ないものなどを作るようにしています。

イロイロ膨らむ「新作駅弁」の夢!

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E657系とE531系、常磐線・赤塚~水戸間

●今後、作ってみたい駅弁はありますか?

「鮟鱇(あんこう)」の駅弁です!
ただ、鮟鱇って「脂」が無いんですよ。
ゼラチン質がちょこっとあるくらいで、本来は駅弁に向かないんです。
一番近いのは、「鱈(たら)」と云われているんですが、鮟鱇は時間が経つと、独特の匂いが出てきてしまうんですね。
この辺りをどうクリアしていくかだと思います。

●水戸ですし、納豆はどうですか?

納豆って加熱して冷ますと、菌が死んでしまって、糸を引かなくなるんですよ。
その課題を乗り越えられれば、可能性があるかもしれません。
ただ、今は工場のキャパシティが無いので、なかなかラインナップを増やすことが出来なくて、もどかしい状態です。
今年の夏に新工場が稼働する予定なので、新作にもチャレンジできるのではと思っています。
(インタビュー・おわり)

bl170224-9(E657系特急ひたち)

E657系電車、常磐線・赤塚~水戸間

10年で3軒あった駅弁屋が全て無くなった水戸で、ゼロから駅弁を立ち上げた「しまだフーズ」。
その矢先、東日本大震災に見舞われ、苦しい中で一歩一歩、水戸の駅弁を作り上げてきました。
中央会(日本鉄道構内営業中央会)にも加盟し、全国の老舗駅弁屋さんのDNAも受け継ぎながら、水戸では新たな駅弁文化が育まれています。
新作の「花丸遊印録弁当」は、アニメファンにとっては、オリジナルのポストカードが嬉しいかも。
ファンでなくても、「しまだフーズ」の駅弁を少しずつ食べられるので、「水戸駅弁は初めて・・・」という方にもピッタリの駅弁です。
「水戸の梅まつり」などで、水戸駅を訪れたら、ぜひ日本有数の農業県・茨城の幸がたっぷり詰まった駅弁を手に取ってみてはいかがでしょうか。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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