ホワイトハウスではトランプを取り囲んでいる人たちが全て決めている 高嶋ひでたけのあさラジ!

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2/21(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!その③

ホワイトハウスではトランプを取り囲んでいる人たちが全て決めている
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター木村太郎(ジャーナリスト)、パトリック・ハーラン(パックン)

トランプ政権の閣僚人事決定に時間がかかるのはなぜか?

アメリカのトランプ大統領は20日、辞任したフリン大統領補佐官の後任に陸軍能力統合センター長のマクマスター陸軍中将を起用すると発表しました。トランプ大統領は南部フロリダ州の別荘で後任の補佐官候補4人と面談しましたが、政権発足から1ヶ月の20日、ようやく安全保障の主導役が決まりました。

高嶋)この間断られたのも中将でしたが、また中将ですね。それでは、今の所こんな感じだという総ざらいを、ニッポン放送報道部の森田耕次解説委員にお願いします。

森田)ロシアをめぐる疑惑で辞任したフリン大統領補佐官の後任に、陸軍能力統合センター長のマクマスター陸軍中将を起用するとトランプ大統領が日本時間の今日未明に発表しました。安保政策チームの要となる補佐官の不在を解消し、北朝鮮の核問題や過激派組織「イスラム国」打倒などの課題に立ち向かうことになります。

新たに米大統領補佐官(国家安全保障担当)に起用されたH・R・マクマスター陸軍中将(アメリカ・フロリダ州パームビーチ) 写真提供:時事通信

新たに米大統領補佐官(国家安全保障担当)に起用されたH・R・マクマスター陸軍中将(アメリカ・フロリダ州パームビーチ) 写真提供:時事通信

このマクマスターさんは1991年の湾岸戦争でイラク軍の戦車部隊に大勝したことで知られておりまして、中東を管轄する中央軍の幹部などを適任しました。トランプ大統領はこのマクマスターさんについて「軍の中で大いに尊敬されている」と記者団に述べています。
この安全保障担当の大統領補佐官というのは、NSC-国家安全保障会議の要も担うポストですが、トランプ大統領の副審に当たるバノン主席戦略官兼上級顧問がNSCの常任メンバーに起用されたことでNSCの部下の人事権については、このバノンさんが掌握しているという形にされております。
トランプ大統領からの就任要請を断ったハーウォード退役海軍中将は、この部下選びで完全な人事権を求めたのですが、トランプ大統領が難色を示した為に就任要請を断ったともされています。プリーバス大統領首席補佐官は19日、こうした見方を否定しまして「新しい補佐官は望むように人事を決められる」と述べております。
ですが、このプリーバス大統領首席補佐官とバノン主席戦略官兼上級顧問との不仲も伝えられており、ホワイトハウス内の派閥対立という噂もあります。
こうした中、トランプ大統領は今月中にも税制改革案を発表する方向です。与党の共和党が提案した「国境税」を採用するかどうかが最大の焦点で、導入されますとアメリカの輸出企業は法人税の負担が減り、一方で輸入企業には増税となります。ただ共和党は法人税を調整するという構想ですが、トランプ大統領は「これは複雑すぎる、好きではない」と関税の活用を考えています。アメリカの税制改革は議会が大きな権限を握るので、どのような国境税になるのか、いずれにしても日本経済への影響についてはGDPが0.6%落ち込むという推定も出ています。

政権交代には通常1年かかる?

高嶋)先程の放送の時に木村太郎さんから、トランプさんが「スウェーデンでテロが起きた!」みたいな言い方、あれは違うという詳しい話をしていただきました。今度は閣僚人事についてですが、こちらの方は停滞してなかなか進まないのですが、よく“回転ドアー”なんて言って、政権が変わると3000人から4000人の役職が変わるといった話を常識的に聞いておりましたが、これだけ遅いとどうなのでしょう。

木村)遅くないです。政権交代にはだいたい1年くらい掛かります。3000人程入れ替わるのは、上の役職の人達から段々変えていって、変わった新しい上の人が任命して、また任命していくという形で。オバマ政権でも全部決まるのは1年程掛かっていますね。上の人でいうと、この間司法長官がいないので、オバマさんの決めた司法次官が仮にやっていたじゃないですか。そうしたらトランプさんの言うことを聞かないからその人はクビにされたでしょ。そんなポジションはいっぱいありますよ。

高嶋)だけど、よくそれで国が動きますね。

パックン)うーん、動いているかは疑問だと思いますけど(苦笑)。僕は少し違う意見を述べさせてもらいますと、確かに時間が掛かるのは間違いないのですが、こんなにカオスな中で政権移行したのは初めてだと思います。承認に時間が掛かるのは仕方が無いですけれど、指名にこんなに時間が掛かるのはちょっと珍しいですね。

木村)ボイコットしたのですよ。民主党が。

ホワイトハウスではトランプを取り囲んでいる人たちが全て決めている

パックン)民主党は確かに足を引っ張っているのは間違いないのですが、それは単純に見て「この人だ!」という人が極端に少ないからでもありますね。例えば、環境保護局の長官に指名されているのは、環境保護局と裁判を起こしている、環境保護局をなくしたい人なんですね。同じようにエネルギー局長官に選ばれた人はエネルギー局をなくしたい人だったり、教育局長官に選ばれている人は一回も公立の学校に行ったことのない人だったり。この辺は承認し辛いと思います。

木村)それはトランプさんの公約で、それが良いと言って皆投票したのですよ。そして当選してしまった。だからそういう人たちを指名していくのは当たり前の話なのですが、それがいけないと言って足を引っ張っている訳です。人数では共和党の方が多いのですから、指名は50%で良い訳です。60%ではないのですから。だから単なる嫌がらせだと思いますよ。

高嶋)とにかくオバマさんがやったことをひとつひとつひっくり返していますよね。餅を焼いているんじゃないのだから、みんなひっくり返すのもどうかと思うのですけど。いわゆるホワイトハウスの中の大統領補佐官のような人たちの方が閣僚とか内閣よりも遥かに権限が強いように思えるのですが。

木村)そうですよ。一番良い例が、ホワイトハウスの中がどうなっているかを見るとすごく分かりやすいです。ウェスト・ウィングという西側のビルがホワイトハウスの心臓部ですが、そこの一番南東の角に「オーバルオフィス」といって大統領の執務室があります。それからずっと部屋が続いていて、その隣がトランプさんの義理の息子クシュナーさんの部屋になっています。さらにその隣がスティーブン・バノン、そしてその隣に首席補佐官がいる訳です。つまり番付みたいなもので、一番実力があるのはクシュナー、その次がバノン、その次に首席補佐官が来てその後に色々な補佐官が続いていくといった感じになっています。これは今のホワイトハウスの勢力はまさにトランプを取り囲んでいる人たちが全て決めている、これはホワイトハウスの本来の在り方です。

主席戦略官スティーブン・バノンとはどんな人物か?

パックン)ただここも反論を述べさせていただきますと、もちろんホワイトハウスは大統領のものなので、内閣も大統領の言うことを聞く、そして大統領の意思を固める為に側近を自ら決めてその方々に強い権限を与える、というのは当然なのですが、今までは今の話にあった通り基本的には大統領のすぐ隣にプリーバス首席補佐官が来るはず。これは保守派の共和党の割と重鎮的な存在で常識的な任命ですが、今回はその間に特別に今までなかった二人を挟んでいます。バノン氏という行政の経験も無い、しかもアメリカの国民から見てかなり離れた存在……、

木村)不気味な人ですよね。

パックン)はい。一応「ブライトバートニュース」という人種差別主義的なエセ報道機関のCEOでしたし。そしてもう一人のクシュナーは法律で禁じられているはずの“親族、家族を任命すること”「反縁故法」にあたるはずですが、なぜか今回は不問とされ許されているのです。

木村)(ホワイトハウスの)2階の大きな部屋があって、実はヒラリー・クリントンがファーストレディーの時にそこへ入って、殆ど首席補佐官よりも影響力のある仕事をしていた訳です。だから今のホワイトハウスに反縁故法なんて関係ないですよ。そして一番自分に近い人の意見を聞くというのは当然で、スティーブン・バノンをパックンさんが嫌いだというのはよく分かります。あれは民主党を応援していた人にとっては一番悔しい相手です。選挙中、トランプの支持率がぐっと落ちたことがありましたが、その時にバノンが一番の選挙対策として入ってきて、彼の立て直しで支持率がどっと伸びて当選してしまったのですからね。一番の功労者ですよ。だから今度もその人の言うことを聞くのはトランプとしては当たり前ですよね。

パックン)選挙に勝ちたいならバノン氏の言う事を聞くのは正解です。しかし政権運営に関してはどうかと思いますけどね。

高嶋)青い事を言うようですが、なにやら得体の知れない生き物が暗闇に潜んでいるみたいな、バノンさんにはそんな感じがするんですよね。それで、どういう手を打ってくるかが少し見えないという不気味さに操られている気がします。

木村)それが“戦略補佐官”ですよ。戦略なんて見える所でやっちゃだめ、見えない所でやらなきゃならないのだから。

パックン)しかしバノンさんの戦略は今まで、経営しているサイトのヒット件数が上がったり、本や映画が売れたりといったことに関しては上手くやっていたのですが、今回考えなければならないのは自己利益ではなく“国益”というポジションです。それが果たしてバノン氏の得意技なのかが分からないですね。

木村)彼は行政の経験が無いと言われていますが、ゴールドマン・サックスや海軍のような、そういった経験がある訳ですよ。彼は人種差別主義者だと言われていますが、今のアメリカで人種差別主義とは何かと言うと、普通オバマさんの批判をするとみんな「お前は人種差別主義者だ」と言われるので、言えないのですよね。それを平気で言ったのがバノンさんなんです。

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『Why American People!アメリカ人に本音を直撃 神か悪魔かドナルド・トランプ』
アメリカファースト、大統領令の乱発、威嚇的な外交…
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アメリカは変わるのか?私たち日本はどうしていくべきなのか?

ケント・ギルバート,パトリック・ハーラン,ダニエル・カール,チャック・ウィルソン,ピーター・ランダース

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