「フォークを投げるよりコントロールを磨け」中日臨時コーチ・杉下茂(91歳) スポーツ人間模様

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1996年から続く、春季キャンプでの臨時コーチ。91歳を迎えた今年も、杉下茂さんは沖縄・北谷キャンプで若手投手の指導を精力的に行っています。「欠点を指摘する前に、ほめて、ほめて、ほめたたえる」が流儀。中日、阪神の監督を含め、プロ球団の指導者歴は58年です。

杉下茂

【プロ野球中日北谷キャンプ】杉下茂臨時投手コーチ =2017年2月3日北谷公園野球場 写真提供:産経新聞社

中日の森監督は62歳。杉下さんより約30歳も年下です。全体ミーティングでは、「キャンプでは、コーチをこきつかってください」とあいさつしていますが、その後にひとこと。

「杉下さんだけはダメよ」

と念をおすと、ナインは大爆笑しました。

「元祖・フォークボールの神様」。杉下さんが本格的に投手へ転向したのは、意外にも遅く、明治大2年の21歳でした。技術顧問で、後に中日監督へ就任する天知俊一さんが米国でフォークボールの投げ方を教わってきて、さっそく学生たちへ「投げてみろ」と指導をしたことがフォークを投げるきっかけでした。

リリース時、人差し指と中指の間からボールを抜くようにするため、非常に投げにくい。いかに回転を抑えるかで、ボールの落差が決まる。これができたのは、杉下さんだけでした。

中日入団時、投手の球種は、ストレート、カーブ、ナックルの3種類。フォークボールが魔球と呼ばれていた時代。2メートルもの落差をより活かすため、フォークを投げたのは、「1試合で5球ぐらいだけ」。めったに投げることはなかったが、巨人の川上哲治選手へは毎打席、フォークボールが決め球でした。それほどすごい打者だった証明でしょう。
「これさえ投げれば、どんな打者でも打ち取れるボールだった」そうです。

中日では6年連続20勝以上を挙げ、9年連続で2けた勝利を達成。58年に1度、現役を引退して、中日で監督をつとめて再び、大毎で現役復帰をし、通算11年で215勝を挙げました。指導者として最も印象に残るのは76年、巨人の投手コーチへ就任した時かもしれません。前年、最下位だった長嶋巨人が杉下さんの尽力でリーグ優勝を果たしたのは、有名なエピソードです。

北谷のキャンプで杉下さんは選手たちに、

「フォークを投げるより、コントロールを磨け。それが、プロで食べていく近道だから」

と指導をしています。その偉大な先輩の言葉を昨年のドラフト1位で明大から入団した柳は直立不動で聞いていました。

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