GO!GO!ドーナツ盤ハンター

中島みゆきと並ぶ道産子シンガー・ソングライターと言えば松山千春【GO!GO!ドーナツ盤ハンター】

昨今のアナログ盤ブームで、改めて注目されているのが歌謡曲のレコード(ドーナツ盤)。
デジタル音源より音に厚みがあり、またCDでは味わえないジャケットの大きさも魅力の一つ。
あえて「当時の盤で聴きたい」と中古盤店を巡りレコードを集めている平成世代も増えているようです。
そんなアナタのためにドーナツ盤ハンター・チャッピー加藤が「ぜひ手元に置きたい一枚」をアーティスト別・ジャンル別にご紹介していきます。

今年も札幌は「雪まつり」の季節になりましたが、今週は担当番組『八木亜希子 LOVE & MELODY』(FM93AM1242 ニッポン放送 土8:30~10:45)が雪まつりの会場から放送ということで、札幌に来ております。空港周辺は一面の銀世界。基本、私が札幌に来るのはドームに野球を観に行くときだけなので、冬に来るのは非常に稀なことなのですが、こういう環境で育つと、そりゃ感性も変わってくるよなあ…と改めて思った次第です。
去年、日本シリーズの際に、北海道出身ということで中島みゆきのレコードをご紹介しましたが、今回は同時期にオールナイトニッポンを担当、道産子シンガーソングライター同士、火花を散らしていた(笑)松山千春のドーナツ盤をピックアップしてみましょう。千春の今の姿しか知らない方に、念のため申し上げておくと、松山千春のオールナイトニッポンは大人気でした。特に女性人気は相当なモノで、ジャケットを見ていただければ、それも納得いただけるかと。(諸行無常、などと言わないように…)

【ビギナー向け】・・・『恋』(1980)

恋

月曜日のオールナイトニッポンといえば、今は星野源。松山千春と彼には「月曜オールナイト一部担当」以外にもう一つ共通点があります。そう、『恋』という曲を大ヒットさせたことです。ただし、曲調はまったく違い、千春の『恋』は男に待たされ続けて気持ちがくたびれてしまった女性の歌で、とても「恋ダンス」など踊れる精神状態ではありませんが。
千春の“女歌”では『旅立ち』とこの曲が双璧だと思います。この曲の千春のヴォーカルは絶品で、冒頭、そっと静かに男のもとを去るから一転、サビにかけて「待たせ続けた男」への思いが一気にほとばしり、「それでも恋は恋」とそれまでの自分を慰める女心を見事に歌い上げています。自分でも「天才」と豪語していますが、なんでこんなに歌が上手いんだろう?
思うに、歌手・松山千春の本領は女歌においてこそ最大限に発揮されるんじゃないかという気がします。中森明菜や坂本冬美などの女性歌手が本曲をカヴァーしていますが、女性が歌うより「女らしさ」を感じるのは私だけでしょうか。「男特有の女々しさ」と言うんですかね。長渕剛に対しても同じことを思いますが、それは外面のマッチョに見える部分と表裏一体なのかもしれません。200円前後で手に入ると思います。

【上級者向け】・・・『時のいたずら』(1977)

時のいたずら

松山千春の出世作というと、誰もがブレイクのきっかけとなった『季節の中で』(1978)を挙げますが、私が千春の存在を知ったのは、その少し前に出たこの曲でした。通算3枚目のシングルです。
彼の北海道での下積み時代を語る際、欠かせない存在が、STVラジオ・竹田健二ディレクターです(故人)。新人発掘の目利きとして知られ、デビュー前から態度が大きく「生意気だ」と煙たがられていた千春の才能を見抜き、世に出した大恩人です。オールナイトニッポン出演の話を千春に紹介した翌日に、急性心不全で亡くなった話は涙なくして聞けませんが「自分を支えてくれた竹田ディレクターはもういない、これからは一人で歌っていかなければ」…そんな決意のもと作ったのが本曲です。
アーティストとして真に自立したのはこの曲からで、本人が『季節の中で』よりもこちらの方が感慨深い、というのはそんな背景があってのことなのです。
記念すべき初のスマッシュヒット曲でもありますが、当時話題になったのが、同郷の中島みゆき『わかれうた』とコード進行がそっくりなのです(笑)。当時地元で行われたコンサートで二人が共演したとき、中島みゆきが「私の方が先に作ったんだからね!」とアピールしたのはご愛敬。500円前後で入手可能です。

【その他、押さえておきたい一枚】

『季節の中で』(1978)

季節の中で

5枚目のシングルで、初のオリコン1位作。出演を拒否していた『ザ・ベストテン』に一回限り出演、ファンへのメッセージと共に歌ったシーンは伝説に。

『長い夜』(1981)

長い夜

10枚目のシングルで、2度目のオリコン1位獲得。ロック調の作品でリリースに反対意見もあったが押し切り、最大のヒット曲に。

【チャッピー加藤】1967年生まれ。構成作家。
幼少時に『ブルー・ライト・ヨコハマ』を聴いて以来、歌謡曲にどっぷりハマる。
ドーナツ盤をコツコツ買い集めているうちに、気付けば約5,000枚を収集。
ラジオ番組構成、コラム、DJ等を通じ、昭和歌謡の魅力を伝えるべく活動中。
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