ゴールデンウィーク映画、刺激が欲しいあなたに…『ヴィクトリア』 しゃベルシネマ【第3回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
今月からスタートしました、「しゃベルシネマ」。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介していきます。

今回の「しゃベルシネマ」は、ゴールデンウィークおすすめ映画第3弾。
しかも、最近観た中で衝撃度NO.1ムービーでした!
奇跡の映像体験に驚愕!ヴィクトリアを掘り起こします!

全編140分ワンカットで描いた新感覚クライムサスペンス

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3カ月前に母国スペインからドイツにやって来たヴィクトリア。
眩い光がフラッシュするベルリンの地下のクラブで踊り疲れて帰宅する途中、夜明け前の路上で地元の若者4人組から声を掛けられる。
まだドイツ語を話せず、異国の都会で友人も作れず寂しい思いをしていたヴィクトリアは、酒を手にした彼らとビルの屋上で楽しいひと時を過ごすことに。
実はこの4人は、危うい事情を抱えたクセ者たち。
裏社会の人物への借りを返すため、ある“仕事”を命じられていた。
そんな彼らの運転手役を、ヴィクトリアが引き受けることになる。
しかしそれは、人生が一変するほどの悪夢の幕開けだった…。

ストーリーはいたってシンプル。
孤独な少女のささやかな冒険ストーリー、といったトコロでしょうか。

ところがこの映画、タダモノじゃない。
なんと、140分、ノーカット。
140分間すべてがワンカットのみで撮影されているんですよ。

02

この無謀とも思える企画にチャレンジし、画期的な映像を作り上げたのは、ゼバスチャン・シッパー監督。
いわゆる完成台本は存在せず、シーンとロケーション、登場人物たちの大まかな動きを記した12ページ程度の覚え書きをベースに、140分ぶっ通しでベルリン・ロケを敢行。
ドイツ語とブロークン・イングリッシュが混在するセリフはすべて、俳優たちが即興的に発したもの。
深夜のクラブから街へ、自転車に2人乗りして団地の屋上へ、彼女の働くカフェへ、そして車に乗って街をすり抜け…。
この時この場所でしか撮れない空気感や何気ない一瞬の輝きをスリリングにとらえた映像は、まさにライブ!
彼らと一緒に時を過ごしているような臨場感は、ほかの映画では味わうことが出来ない体験となるでしょう。

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しかし「140分ワンカットでの撮影」となると、当然、途中でハプニングも起こるわけで。
ベルリンの街中で通りがかりの一般人に突然話しかけられて俳優たちがアドリブで乗り切ったり、ヴィクトリア役のライア・コスタが車を運転中、本当に道を間違えてしまって車内がパニック状態に陥ってしまったり。  の方がいいのでは?

それらすべてがライブ、ライブ、ライブの連続!
ストーリー上の出来事として結実させているシッパー監督の采配はお見事です。
そして見事な手腕と言えば、カメラマンもパワフル。
何しろ2時間以上、カメラを回しっぱなしで俳優たちと歩いて走って、同時にカメラを寄ったり引いたりしているのですから。
目が慣れてくると「あぁ、いまカメラを引ききれなかったのかなぁ〜」なんて場面にも遭遇するのですが、その瞬間さえも愛おしい。
この映画の面白さは筋書きの善し悪しではなく、その空気感を肌で感じることができるところなんです。

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とは言っても、決して「全編ノーカット」という奇策ばかりに頼っているわけではない本作。
キャラクター設定もしっかり練られており、特に主人公であるヴィクトリアの設定は秀逸。
異国の地で思いもよらぬ犯罪に巻き込まれたヴィクトリアが経験する冒険、歓喜、不安、恋心が鮮やかに描かれています。
全編出ずっぱりで主演を務めたライア・コスタは、スペインの新進女優。
大混乱の逃避行中に湧き起こるヴィクトリアの感情をノンストップで体現した彼女のパフォーマンスも、演技を超えたライブ!
私たちがこの映画に釘付けになってしまうのは、ライア・コスタのチャーミングな魅力も起因しているでしょう。

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…と、いろいろ語ったうえでこんなコトを言うのもなんですが。

とにかく余計な情報に惑わされず、2時間20分、ヴィクトリアたちと一緒にベルリンの街を走り抜けるように観てみて下さい。
私がここに書き連ねたように、あれこれしゃベリたくなっちゃいますからっ!!!

『ヴィクトリア』は、2016年5月7日から渋谷シアターイメージフォーラムほか全国順次ロードーショーです。

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ヴィクトリア
2016年5月7日から渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
監督・製作・脚本:ゼバスティアン・シッパー
出演:ライア・コスタ、フレデリック・ラウ、フランツ・ロゴフスキ、ブラック・イーイット、マックス・マウフ ほか
©MONKEYBOY GMBH 2015
公式サイト http://victoria-movie.jp/

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