ゴールデンウィーク映画、骨太にいくなら『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』 しゃベルシネマ【第2回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
今月からスタートしました、「しゃベルシネマ」。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介していきます。

早くも2回目となる今回は、前回につづき、ゴールデンウィーク映画特集をお届け。
…と言っても、「気になる映画を掘り起こす」のが八雲の使命。
ココは敢えて、骨太なこの作品をクローズアップしてみましょう。

真実を伝えるために信念と執念を燃やしたジャーナリストたちの実録ヒューマン・ドラマアイヒマン・ショー 歴史を映した男たちを掘り起こします!

ホロコーストの闇を世界に伝えた、熱き男たちの社会派実録ドラマ

WARNING: Embargoed for publication until: 13/01/2015 - Programme Name: The Eichmann Show - TX: 20/01/2015 - Episode: n/a (No. 1) - Picture Shows: ***EMBARGOED UNTIL 13th JAN 2015*** Leo (ANTHONY LAPAGLIA), Milton (MARTIN FREEMAN) - (C) Feelgood Fiction - Photographer: Steffan Hill

1961年、元ナチス親衛隊将校、アドルフ・アイヒマンの裁判がイスラエルのエルサレムで開廷された。
ナチスのユダヤ人たちに対する蛮行の数々とはどういうものだったのか、ナチス戦犯を前に生存者たちが語る証言は、ホロコーストの実態を明らかにする絶好の機会だった。
テレビプロデューサーのミルトン・フルックマンとドキュメンタリー監督のレオ・フルビッツは、真実を全世界に知らせるために、この「世紀の裁判」を撮影し、その映像を世界に届けるという一大プロジェクトを計画。
政治的、あるいは技術的な問題。ナチス残党からの脅迫。
さまざまな困難が立ちはだかる中、撮影の準備は進められ、ついに裁判の日を迎える……。

『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』は、「裁判の映像撮影」という前代未聞とも言えるプロジェクトを実現させた男たちの物語。
実在の人物をベースに、若手プロデューサーと撮影監督がさまざまな困難を乗り越えて信念を貫く様子を中心に描かれています。
かつて誰も実現することができなかった、裁判のテレビ放送。
しかも、ナチスの戦犯アドルフ・アイヒマンを裁く模様を全世界に伝えようとしたわけですから。
なんとも気骨ある男たちです。

本作をより楽しんでいただくために、主要な人物について簡単に解説しますと…。

02
アドルフ・アイヒマン。

第2次世界大戦下のナチス親衛隊将校であり、ホロコーストを推進した責任者。
戦後すぐに米軍に捕虜として拘束されるも、アルゼンチンに逃亡。
リカルド・クレメントという偽名で家族と共に、ごくごく普通の生活を送っていました。
再び逮捕され裁判に至ったのは、終戦から15年後のことでした。

WARNING: Embargoed for publication until: 13/01/2015 - Programme Name: The Eichmann Show - TX: 20/01/2015 - Episode: n/a (No. 1) - Picture Shows: ***EMBARGOED UNTIL 13th JAN 2015*** Milton (MARTIN FREEMAN) - (C) Feelgood Fiction - Photographer: Algimantas Babravicius

テレビプロデューサー、ミルトン・フルックマン。

この“世紀の裁判”を、テレビを使って世界中に中継しようという前代未聞のプロジェクトを思いついた張本人。
当時、35歳でした。
「アイヒマン裁判」のテレビ放送権を獲得し、4か月にわたって撮影。
そして、毎晩37カ国に映像配信。
そんな気骨ある若手プロデューサー、フルックマンを演じたのは、英国ドラマ『SHERLOCK/シャーロック』で大ブレイクした、マーティン・フリーマン。
肉厚な脚本に魅かれて出演オファーを受けたというフリーマン。
脅迫や妨害にひるむことなく、持ち前の機転と信念で困難を乗り越えていくテレビマンをリアリティをもって演じています。

WARNING: Embargoed for publication until: 13/01/2015 - Programme Name: The Eichmann Show - TX: 20/01/2015 - Episode: n/a (No. 1) - Picture Shows: ***EMBARGOED UNTIL 13th JAN 2015*** Leo (ANTHONY LAPAGLIA), Milton (MARTIN FREEMAN) - (C) Feelgood Fiction - Photographer: Algimantas Babravicius

ドキュメンタリー監督、レオ・フルヴィッツ。

一世一代の大仕事のために最高のスタッフを集めようと考えたフルックマンが、白羽の矢が立てた人物。
マルチカメラを用いたスタジオ放送の草分け的存在でもあります。
野心的なフルヴィッツを演じたのは、『ギター弾きの恋』『オータム・イン・ニューヨーク』など数々の映画・ドラマに出演しているベテラン俳優、アンソニー・ラパリア。
アイヒマンをマスメディアが騒ぎ立てるような“モンスター”ではなく、ひとりの人間としての姿をカメラを通して暴き出したいと闘志がたぎるフルヴィッツ。
観る者に、野性的で鮮烈な印象を与えます。

社会のため、正義のために闘う!それがジャーナリストの勇気と誇り

WARNING: Embargoed for publication until: 13/01/2015 - Programme Name: The Eichmann Show - TX: 20/01/2015 - Episode: n/a (No. 1) - Picture Shows: ***EMBARGOED UNTIL 13th JAN 2015*** Millek (ED BIRCH), David Arad (JUSTIN SALINGER), Leo (ANTHONY LAPAGLIA), Milton (MARTIN FREEMAN), Alan (BEN LLOYD HUGHES) - (C) Feelgood Fiction - Photographer: Steffan Hill

ホロコーストの実態が暴かれる裁判シーンは、圧巻の出来。
BBCのアーカイブから掘り起こした「アイヒマン裁判」についての記録映像が、劇中では裁判に提出された映像として登場。
惨状を記録したそれらの映像をコントロールルームから見ている、フルックマンとフルヴィッツ。
観客は登場人物たちと同じ視点に立ち、ホロコーストを目撃することになり、よりリアルに想像を絶する事実を知ることに。
それと同時に、彼らがいかに映像の力を信じ、その映像に命をかけて挑んでいるかが伝わってきます。

これぞまさに、ジャーナリスト魂!

数々の歴史的事件や事故の裏側には、それらを明らかにし、真実を伝えようするジャーナリストたちの姿がありました。
誰もが映像を簡単に撮影することが出来、インターネットを使って世界に向けて発信出来る現代。
映像が人々に伝えてきたこと。
それを残していく意味。
そして、ジャーナリズムの在り方。

50年以上前の「史上初の裁判映像」を通して考えさせられる映画『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』は、現在絶賛公開中です。

気になる映画を掘り起こす「しゃベルシネマ」。
次回もどうぞお楽しみに。

お相手は、八雲ふみねでした。

06

アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち
2016年4月23日から全国ロードショー
監督:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ
出演:マーティン・フリーマン、アンソニー・ラパリア、レベッカ・フロント
©Feelgood Films 2014 Ltd.
公式サイト http://eichmann-show.jp/

八雲さんキャプション