木更津駅「バーベキュー弁当」(772円)~秘伝のたれが決め手!木更津の名物駅弁!!【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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E217系・内房線直通特別快速

E217系・内房線直通特別快速

平日朝8時前、東京駅・総武線地下ホームに入ってきた15両編成のE217系電車。
この電車は折り返し、東京8:02発の内房線直通「特別快速」館山行となります。
特別快速は東京を出ますと、錦糸町、船橋、津田沼、千葉、蘇我、五井、木更津に停まります。
木更津でグリーン車を含む11両を切り離し、短い4両編成になって君津、佐貫町、浜金谷、保田、岩井、富浦、終点・館山の順に停まっていきます。
ただ、残念ながらこの列車、今年3月4日のダイヤ改正で姿を消してしまうんですね。

アクアラインと富士山

アクアラインと富士山

特別快速をはじめ、内房線が厳しい状況なのは、高速道路の影響が大きいと言われています。
木更津までは総武線快速でおよそ90分ですが、料金がほぼ同じ高速バスはおよそ60分。
鉄道は、東京湾岸を回るので、どうしても時間的に劣勢になってしまいます。

でも、こういう時こそ、内房線のいいところを探したいもの。
その1つは、特に冬場、木更津の手前で観られる“アクアライン越しの富士山”!
この景色は、鉄道からじゃないと絶対見られない!!
実は内房線って、“隠れ”富士山ビュー路線なんですよね。

バーベキュー弁当

バーベキュー弁当

しかも、木更津駅には、思わず買いたくなっちゃう「駅弁」もあります。
それは「吟米亭 浜屋」が調製している「バーベキュー弁当」(772円)!
地元では“バー弁”の愛称で親しまれているこの駅弁、販売開始は昭和37(1962)年ということで、今年で誕生55周年の節目を迎えます。

元々、木更津駅前の駅弁屋さん「浜屋」が作っていた駅弁で、駅弁としては千葉駅弁・万葉軒がレシピを継承する一方、木更津の老舗米店・泉屋による「吟米亭 浜屋」のブランドで、木更津の「街の弁当」としても残りました。
その後、万葉軒による製造が終了し、一時「バーベキュー弁当」は「駅弁」から消滅・・・。
しかし数年前、木更津駅の売店がNRE売店になったのを機に、吟米亭 浜屋の「バーベキュー弁当」が木更津駅でも販売されるようになり、木更津駅の「駅弁」として復活を遂げました。
現在は東京駅の「駅弁屋・祭」でも、東京仕様に少しおめかししたバージョンが販売されています。

バーベキュー弁当

バーベキュー弁当

訪れた日は、出来立てが搬入されたばかりで、まだ温もりが感じられる最高のタイミング!
ふたを開けると、香ばしいタレの匂いがフワ~ッと漂ってきました!!
一枚一枚、丁寧に焼かれたという国産豚ロース肉の炭火焼に白いご飯。
頬張れば、甘めのたれに、所々にある焦げ目の苦み、肉の旨みのハーモニーが見事です。
なお、米は店主自ら田んぼを回って吟味したという千葉県産の「こしひかり」が中心だそう。

バーベキュー弁当

バーベキュー弁当

「バーベキュー弁当」のキモは、「たれと米」です。
吟米亭 浜屋の方によりますと「バーベキュー弁当」を引き継ぐ時、「浜屋」の女将さんが1つの重い甕を持って来られたのだそう・・・。
甕には、これまでずっと使われてきた「秘伝のたれ」が入っていました。
以来、吟米亭 浜屋は、この甕の「たれ」を受け継いで、注ぎ足し注ぎ足し守っています。
白飯にもサッと「たれ」がかけられた様子が伺え、食欲をそそります。

吟米亭 浜屋は米屋さんがルーツということで、米の美味しさにこだわることを約束して、かつての「浜屋」の弁当を引き継いだといいます。
そして、今も“浜屋の暖簾をお預かりしている”というスタンスで弁当作りに臨まれているそう。
木更津名物駅弁「バーベキュー弁当」は、作り手の皆さんによる伝統へのリスペクトの気持ちが、より美味しいものにしているのです。

久留里線・キハE130系

久留里線・キハE130系

今回は「特別快速」が木更津で8分停まる間に駅弁を買うことが出来たのですが、木更津からの久留里線の旅でも、空いていれば弁当を楽しむことが出来そう。
久留里線では、Suicaなどは使えませんが、週末は「休日おでかけパス」が使えます。
東京駅からでは木更津単純往復+αでほぼ元が取れますので、高速道路が混みやすい週末、上手に使って久留里線まで足を伸ばしてみるのもアリですね。

花の季節、潮干狩り、竹の子掘りなど、いろんな楽しみ方が出来る、早春から春の房総半島。
木更津の名物駅弁をお供に、フラッと出かけてみてはいかがでしょうか?

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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