避妊しても乳ガンに! 飼い主も見逃した、愛犬の乳腺腫瘍の体験談【ペットと一緒に vol.7】

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2頭とも、いつまでも元気で一緒にお散歩行こう! 健康診断ではレントゲンなどもやるから、それで発見できる病気もあるもんね

我が家には、もうすぐ12歳になるノーリッチ・テリアがいます。実はちょうど去年の今ごろ、乳腺腫瘍の摘出手術をしました。その乳腺腫瘍発見から治療までの経験を、今回はご紹介します。

7歳で避妊手術をした犬は……

愛犬リンリンは7歳で避妊手術をしました。
犬は人間と違って、排卵後の黄体期がおよそ2カ月間続く珍しい動物です。黄体ホルモンが2カ月にわたって体内に作用するというのは、人間よりも乳腺腫瘍や子宮蓄膿症になりやすいことを意味します。

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お散歩を催促する10歳当時のリンリン。外見上は元気でも、病気には要注意!

子宮蓄膿症の発症リスクが高まるのは、一般的には6~7歳頃から。治療の開始が遅れると死に至る危険性があります。メスの犬が避妊手術をするメリットのひとつは、この子宮蓄膿症の予防にあるといえるでしょう。
リンリンが7歳で、全身麻酔が必要な歯石除去とあわせて避妊手術をした最大の理由は、まさにこのため。

避妊手術によって乳腺腫瘍を予防できるかは、避妊をした時期に関わります。
生後7カ月~1歳頃の初回の発情期(性器の腫大と出血で気づきます)が訪れる前に避妊をした場合の乳腺腫瘍の発生率は0.05%ですが、初回から2回目までの間では8%、2回目以降では26%に上昇していくというデータがあります。
もし乳腺腫瘍の予防を目的に避妊手術を考えているようならば、上記のデータをご参考に検討されるのが良いでしょう。

リンリンの場合、避妊手術は7歳なので、乳腺腫瘍の発症予防にはほとんど効果はありません。
それでも、別のデータによると、乳腺腫瘍摘出手術の際にあわせて避妊をしたケースよりも、乳腺腫瘍になる2年以内に避妊手術をしていたケースのほうが乳腺腫瘍の手術後の生存期間が1年以上長いとか。なので、7歳でも避妊手術をしておいてよかったかもしれません。

ワクチン接種時にしこりを発見!

リンリンの乳腺腫瘍の発見は、10歳のとき。動物病院に混合ワクチンを打ちに行った際、獣医さんから「あれ? しこりがありますね。乳腺腫瘍かもしれません」と告げられたのです。私も確認したところ、陰部にもっとも近い乳首のそばに、確かに小豆大のポチっとしたしこりが!
「えええ! これ、悪いものですか?」と、驚いて質問した私に「いえいえ、まだわかりません。でも悪性の腫瘍だと、触ってみて皮下でクルクルと動かず、カッシリと固くなって動かないものが多いですね」と。また、悪性の腫瘍では多くの場合、大きくなるスピードが早く、乳ガンでは1~2カ月で倍以上の大きさに急成長するそうです。

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動物病院をワクチン接種などで訪れた際は、簡単な健康チェックをしてもらうと安心です

1週間後の針生検の予約を取り、帰宅してからの1週間、毎日愛犬のしこりが大きくならないかを観察し続けました。「このサイズならば、私でももっと早く気づけたのに……」と反省しつつ。

しこりに針を刺して細胞を取って顕微鏡で見る「針生検」をする目的は、肥満細胞腫、リンパ腫、メラノーマ(黒色腫)など一部の腫瘍を確定診断するため。この検査は無麻酔で、注射のような手順で行われるため犬への負担はありません。
リンリンの場合、針生検によってしこりが前述の腫瘍であることは否定されました。つまり、乳腺腫瘍である確率が高くなったわけですが、乳腺腫瘍は手術によって切除した腫瘍を組織検査に出さなければ良性か悪性かの判断はできません。犬の乳腺腫瘍は、良性と悪性(乳ガン)の確率は半々と言われます。

さて、どんな手術にするか!?

リンリンが乳腺腫瘍の除去手術をすることは決まりました。が! どのような手術にするかは獣医さんとの相談で決めることに。

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足元で寝ているときも、最近では異常がないかどうかジロジロ確認する私=飼い主です

犬の乳首は左右に4個~5個ずつあります。わかりやすい表現をすると、乳首の下をヒモのように乳腺が左右1本ずつ走っています。
もし愛犬の腫瘍が悪性ならば、ガン転移や再発の危険性があるため、発症した側の乳腺をすべて取り除くのが最良なのだとか。けれども、それは侵襲が大きく愛犬の体には負担になるとのこと。
悩んだ末、しこりだけを切除する、侵襲の少ない手術を選択しました。もし組織検査に出したしこりが悪性ならば、乳腺を除去するための2度目の手術も必要になりますが。

念のため腫瘍と近くにあるリンパ節も切除する手術を行い、1泊2日入院して数日後、獣医さんから電話がかかってきました。ドキドキしながら結果を聞いたところ、リンリンの乳腺腫瘍は良性とのこと。
「もし悪性であったとしても、手術時にしこりがまだ1cm強だったので早期治療ができたことになります。良性でも腫瘍が大きくなると他の臓器を圧迫したりするため、放置して良いことはありません。今回は早期の除去ができて良かったですよ」と、獣医さんから聞き「そのとおりですね」と何度もうなずきました。

それから1年。7歳と11歳の愛犬を触ったり見たりしながらの、健康チェックを今では念入りにするようになっています。
乳腺腫瘍に限らず、肥満細胞腫など、体表のしこりで発見できる病気は複数あります。病気は、早期発見と早期治療開始が本当に重要です。
そうだ! そろそろ、ドッグドック(=犬の健康診断)の予約もしなければ……。

連載情報

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ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!

著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。

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