口コミグルメサイトの功罪を考える~サイト側の言い分、店側の言い分 【ひでたけのやじうま好奇心】

明日からいよいよゴールデンウィーク。
何か美味しいものを食べに行こう!と言うとき、口コミグルメサイトを参考にお店を選ぶ、ということがあるのではないでしょうか。

お店の名前で検索すれば、どんな小さな店でも多くの場合、お店の概要と共に、訪れた際の感想「美味しかった」「美味しくなかった」という“レビュー”がずらずらと出てきます。

この口コミグルメサイトの功罪の、一番の“功”は、美味しい飲食店を口コミで知ることができる、という点でしょう。
しかし一方で、“罪”もあるということを理解しておかなければなりません。

まずは、口コミグルメサイトがどのように成り立っているのか?

店側が掲載をしてほしいとお願いするのではなくて、大体の場合、一般のユーザーが“こういう店がある”と店情報を登録します。
そのページに、行ったことがある人が自分の感想をどんどん書きこむ、という流れ。

感想を書くのは匿名。
この匿名と言うのがポイントで、“悪いことを書いても自分が特定されることはない”という免罪符が与えられているようなものです。
たとえば、「あの店が気にくわないから、悪口を書いて貶めてやろう」ということが可能、という構造になっているのです。
私が知っている店もかなり悪く書かれていることが多いのですが、今回、様々な飲食店で取材を重ねたところ、多くの疑問点が浮き彫りになってきました。

そもそも“美味しさ”を感じる味覚は人それぞれ。
その基準は極めてあいまいなモノなのに、統一した基準がないまま点数化して平均点が掲載されている。
極端に高い数字や低い数字は加味しないとサイト側は言っていますが、とは言っても、あいまいなまま点数化している。

感想を書く人は“感想=レビューを書くために来る”人が非常に多い。
レビューを書いている人の側に数字が出ていることから分かりますが、この“このヒトは何店舗について評価しているか”がすぐわかる。
この数字をクリックするとこれまでに訪れた店がズラズラと出てきて、感想が見られます。

この店舗数を増やすのを目的や趣味としている場合が多々あります。
こうしたレビューを書く人に聞き取り調査をしたところ、「私は厳しい評価しかしないのが売りだ」などと平気で言っていたりして、そもそもご飯を楽しみに行ったり店側とコミュニケーションを取りに行くのでない。という人もいる。
そもそも悪い評価が前提にあるようなもの。

店側からすれば、こうしたヒトはすぐに分かると言う。
黙って写真を撮り、キョロキョロして観察してあらさがしをし、楽しく過ごしている他のお店の客とは一線を画す。
かくして、こういうヒトが書いた厳しい評価はずっと口コミグルメサイト上に残ります。
ほとんどの場合、消すことが出来ないのです。
何年経っても、です。

面と向かって苦情を言われるのは普通1回、ところがネットでは“永遠”ということになる。これに激しく傷ついている個人経営者は多い。
お店といっても一般の人。お上や公共サービスではないのです。

日本人はいつからこのようにデリカシーがなくなってしまったのか?

もちろん、いいことしか書かない「サクラ」のレビューも可能です。
他人を使ってそうことを書かせるという、よく聞くマーケティング用語「ステマ」(ステルスマーケティング)。
宣伝であると消費者に悟られないように宣伝を行う、あのやり方です。
こうした点で、口コミグルメサイトは万能とは全く言えないのは周知の通りです。

もちろん、サイト側にも口コミのガイドラインがあります。
あるサイトでは、「店へ悪影響を及ぼす書き込みは禁止」「食中毒、異物混入など衛生面に関するクレームは、保健所へ」など、ルールがあります。
しかしサイトによっては、書き込みがガイドライン通りかどうか、パトロールを行っているわけもなく、店側が苦情を言って初めて調査が行われる場合もある。
ガイドラインに引っ掛かったときは、レビューを書く側が指導されますが、「指導に納得はいかないが書き直す」と憎々しげに、ぎりぎり引っ掛からない別の中傷的な言葉を書くというパターンの多いこと。
いずれにしても、マイナスコメントは残り、まず多くの場合、消去される事はありません。

特に注意すべきはこれから飲食店を開業する方。
開業初期に、こうした厳しめのブロガーやユーザーがやってきた場合、マイナスコメントが書かれ、初期にかかれた印象がそのままネット上に残ります。
それを読んだモノを言わない大多数のひと、いわゆる“サイレントマジョリティ”は、そういう店だと思ってしまう。
開店当初でまだ慣れていないという店の都合など、お構いなしなのです。
これを“言葉の暴力だ”と訴える店も多くあります。

本当にお店を気に入ってくれて、よく来てくれる常連さんは、店のレビューなんて書きません。
書いている時間に、せっせと通ってくれるわけですから。
よって、いいコメントというのはなかなか増えていかないということなのです。

それでは、そもそも店の掲載自体の中止を求めてサイトに連絡したらいい、という考える人がいるかもしれません。
しかし、サイト側は「みんなで作る感想のレビュー」なのであり、「店のホームページがある以上、それは公的なものだと捉える」と言って、ほとんどの場合、削除しないのです。
しかも、口コミサイトだと言いつつ、あるサイトの場合は、店側が広告料を1万円から10万円ほど払うことで、「お料理の宣伝をしたり」、「店側からのニュースを載せたり」「クーポンを付けたり」することも出来たりもします。
つまり、おカネさえ払えば、“様々に利用できますよ”という商売に結びついているのであり、こうした道を選ぶ飲食店ももちろんあります。

一方で店側も、批判は甘んじて受ける、というのが基本です。
しかし、口コミサイトが誕生してからというもの、店との生のコミュニケーションを絶ち、「鬼の首を取ったように」、匿名でマイナスコメントを出してくる例が後を絶たない。
これは、自分の子どもが実名でネット上に悪口を書かれているのと、何ら変わりないようにも取れるのですが、どうなのでしょうか?

こうした匿名の口コミサイトの問題点が明らかになってきたということで、新たな手法の口コミグルメサイトも登場しています。
それは、レビューを書く側が実名で基本的に「おススメの飲食店」の情報しか載ってない口コミグルメサイトです。
おススメしないところの情報は出さなければ、事実以上に人を傷つける事はない。
“おススメするところだけ”が出ているのが健全である、と考える若いユーザーの気持ちを掴み始め、どんどんとイキオイを付けています。

フェイスブックのように実名になったとたん、悪口は書かなくなったのです。
人間とはそういうもの。

口コミグルメサイトは確かに便利ではあります。
しかし、その功罪を通して考えてしまうのは“人類は果たしてネットの登場で豊かになったのか?”という大命題。
あなたはどう考えるでしょうか?

4月26日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より