障がいの壁を越えて交流できることは本当に大きい-古城暁博選手(アンプティサッカー)インタビュー

ニッポンチャレンジドアスリート・古城暁博選手(アンプティサッカー)インタビュー(3)】

このコーナーは毎回ひとりの障がい者アスリート、チャレンジドアスリート、および障がい者アスリートを支える方にスポットをあて、スポーツに対する取り組み、苦労、喜びなどを語ります。

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 古城暁博(こじょうあきひろ)
1983年、沖縄県宮古島生まれの33歳。5歳の時に交通事故で右ひざから下を切断。小学生から義足でサッカーを始める。高校生のときに勧められて陸上を始め、2000年シドニーパラリンピックに出場。100mで8位入賞を果たすが、サッカーへの思いが強く、陸上をやめ専念。杖をついてプレーするアンプティサッカーに出会い、昨年ワールドカップに出場した。

-古城が本格的にサッカーに取り組んでみようと思った理由は?
古城 義足を外して杖2本、足1本でやるサッカーを初めて体験しました。
ボールを蹴る前に、杖をついて歩くので精一杯。
そのとき、自分が初めてサッカーをやるような感覚に戻り『またゼロからサッカーをスタートできるな』と思いました。

-本格的にアンプティサッカーを始めた古城選手。元々サッカー経験者だけに、たちまち頭角を現し、2014年、メキシコで行われたワールドカップに、日本代表として出場した。
古城 本当に、サッカーというスポーツで、日本代表になれるとは思っていなかったので…。
始めて1年半しかたたない選手を選んでもらえたというのに感謝して、すごく嬉しいのと同時に、私よりも長く続けてきた選手よりも私が選ばれたということに、強い責任感を感じましたね。

-アンプティサッカーのワールドカップメキシコ大会に参加したのは21か国。強豪国の顔ぶれは通常のサッカーとはちょっと異なっている。
古城 強いのはメキシコ大会の前に2連覇しているウズベキスタンですね。
ロシア、トルコ、イングランドといった国が強豪国です。

-日本はこの時3回目の出場だったが、過去2回は1勝もあげられず敗退。初勝利に向け初戦の相手はアメリカ代表だった。試合前、ディフェンダーの古城が監督から受けた指示は?
古城 何としても無失点に抑えろと。
私自身の役割は最後の最後で攻撃を止めることだと思っていたので、自分より前の選手を自分の思い通りに指示しながら動いてもらってなんとか私のところにボールがこないようにという思いでプレーしていました。

-日本は先制点をもぎとると、古城の奮闘もあり、1対0で逃げ切った。日本代表・悲願の初勝利だ。
古城 1対0で逃げ切って、みんな歓声を上げながら喜んでいたんですけど、初出場の自分は、次の試合のことを考えていました。『いつもと同じ試合の一つ』という考えで、もっといい結果を望んでいたので、すぐ気持ちを切り替えたんです。

-日本は決勝トーナメントに進出したが、初戦でアンゴラに敗れてしまった。今年のトルコ大会でさらなる飛躍を果たすはずだったが、テロの余波などで開催が見合わせとなった。今の古城の現在の課題は?
古城 体力的な部分です。50分間ずっと動き続けていられるか。点をとって試合の結果を左右できるような選手にならないといけないのもあります。

-古城には競技生活を支え、前向きな気持ちにさせてくれる曲がある。それは自分と同じ沖縄出身のアーティストの曲だ。
古城 モンゴル800の「ラブソング」です。
暗いイメージを捨ててという歌詞があるんですが、まさに障がいを持ちながらひきこもったり、社会にうまく出られない方が多くいる中で本当にマイナスのイメージを捨てて前に進んでいこう、というのがあるのですごく聞いていて明るくなれる曲です。

-アンプティサッカーの普及活動にも積極的に参加している古城。実際にデモンストレーションを行うとギャラリーから驚きの声が上がるそうだ。
古城 特にサッカーを経験している人たちがそうですね。
両腕にクラッチをついて片足で立っている体制で走ること、その体制でボールをけることがどのくらい大変なのかっていうことで皆さん驚かれますね。

 -サッカー評論家のセルジオ越後さんも日本アンプティサッカー協会のスーパーバイザーとして普及活動に一役買っている。
古城 セルジオさんはプレーしているところを見ながら、笑顔で楽しそうに本当にサッカーの1つとして見て頂いていると思います。

 -しかし、国内競技者はまだ100人に満たないのが現状。そんな中、追い風となる出来事があった。4月1日、日本障害者サッカー連盟の設立。今後は日本サッカー協会の加盟団体として選手強化のバックアップを受けられることになったのだ。
古城 障がいといっても、私は切断の障がいを持っていて、話題になったブラインドサッカーや、聴覚障がい者のデフサッカーとかいろんな障がいをもった方のサッカーがある中で、障がいの壁を越えて交流できることは本当に大きい、スタートではないかと思います。

-改めて、古城選手にアンプティサッカーの魅力を聞いてみた。
古城 義足や普段使っている装具を用いない、生身の身体でのぶつかり合いには、とても迫力があります。
障がい者スポーツの中でも、本当に一・二を争う激しい競技ですし、見ていただければ、単純に楽しさが伝わると思います。
パラリンピックになっていない競技も、本当にたくさんありますし、それを知っていただきたい。
ただ、知ってもらうからには、私たち障がい者が、健常者の社会の中にどんどん入って、関わりをもっていかなければ。
2020年のオリンピック・パラリンピック、または今後の障がい者スポーツを、一緒に盛り上げていけたらな、と思います。

(4月11日~15日放送分より)

ニッポンチャレンジドアスリート
ニッポン放送 毎週月曜~金曜 13:42~放送中
(月曜~木曜は「土屋礼央 レオなるど」内、金曜は「金曜ブラボー。」内)
番組ホームページでは、今回のインタビューの模様を音声でお聴き頂けます。