ブリーダー逮捕!崩壊施設から引き取られた花子とキャンディの今【わん!ダフルストーリー】

今年5月、代々木公園でプロカメラマンに撮ってもらった記念の1枚

今年5月、代々木公園でプロカメラマンに撮ってもらった記念の1枚

■60頭の犬が置き去りに…

もも♀(6歳)先住犬。人間の言葉がよく理解できる頑張りやさん

もも♀(6歳)先住犬。人間の言葉がよく理解できる頑張りやさん

東京・恵比寿に住む岡田敬子さん。6年前にトイプードルのももちゃん(メス、アプリコット)を飼い始めたのをきっかけに、動物愛護活動に興味を持つようになりました。
「保護犬の存在を知って、何か自分にできることをしよう」と地道な活動を続けていた平成26年夏、岡田さんに驚くべき情報が飛び込んできました。
なんと、当時繁盛していたペットショップのオーナーでもあるブリーダーが犬用ワクチンの不正使用で逮捕され、運営していたブリーディング施設は崩壊。施設にいた繁殖犬など約60頭が愛護団体に保護されて、引き取り先を探しているというのです。
いてもたってもいられず、団体のもとに駆け付けた岡田さんの目に飛び込んできたのは、がりがりにやせ細った元繁殖犬2頭。

「周囲に何十頭も別の犬がいたのですが、なぜかこの2頭に心惹かれ、すぐにうちの家族として迎えることを決意しました」。

こうして岡田家にやってきたのが、いずれもトイプードルのメス、キャンディ(現在8歳)と花子(現在5歳)。2頭との新しい生活は、岡田さんと先住犬のももちゃんにとって最初は試練の連続でした。

■ストレスで吐血、過労で入院。すったもんだの新生活

まず岡田さんが取り組んだのは、キャンディと花子の健康を取り戻すことでした。2頭はひどく痩せこけており、保護された当時2頭とも体重が2kgを切っていたと言います。ずっと狭いゲージに閉じ込められて育ったためか、前足は湾曲気味。トリミングも一切されていなかったので、毛はぼさぼさ。ウンチやおしっこもゲージの中で垂れ流し状態だったらしく、トイレトレーニングもできていませんでした。

2014年8月3日、キャンディ(左)と花子(右)が我が家にきた日

2014年8月3日、キャンディ(左)と花子(右)が我が家にきた日

家族になったキャンディと花子

家族になったキャンディと花子

岡田さんは2頭を家に引き取ると、すぐに健康管理やしつけ、トイレトレーニングに懸命に取り組み始めました。すると思いがけないことが起こりました。

「突然、ももちゃんが吐血してしまったのです。病院で診てもらうと、体に悪いところはなく、おそらく見知らぬ2頭がいきなり家にやってきたことによるストレスが原因だろうとのこと。それまで独り占めしてきた私の愛情を他の2頭に奪われたと思ってしまったのかもしれません」。

もちろん、岡田さんは2頭を迎えたあとも以前と同じようにももちゃんに愛情を注いでいたのですが、ももちゃんのストレスは人間の予想をはるかに超えるものだったのです。
それからはももちゃんになおいっそう気を遣いつつ、キャンディと花子に社会性をもたせるべく。しつけに励んだ岡田さん。

「でもなかなか3頭が仲良くなってくれなくて…。ももちゃんに続いて、今度は私がダウンしてしまい、過労で入院したこともありました」。

キャンディ♀(8歳)人なつこい女の子。8回の出産歴も

キャンディ♀(8歳)人なつこい女の子。8回の出産歴も

花子♀(5歳)ビビりさんだけどとっても元気

花子♀(5歳)ビビりさんだけどとっても元気

そんな紆余曲折を経て、今、岡田家の生活はようやく落ち着きを取り戻しています。少しずつももちゃんとキャンディ、花子の3頭が打ち解けるようになり、一緒に遊ぶことができるようになったのです。

「最初は2頭に寄り付きもしなかったももちゃんですが、少しずつ心を開いてくれるようになりました。はじめて3頭一緒にくっついた状態で写真が撮れたときは感無量でしたね…」と岡田さんは振り返ります。

■夢は愛犬のためのデリカテッセン

みんなで並んでご飯。OK!まで上手に待てます

みんなで並んでご飯。OK!まで上手に待てます

今回、初めて保護犬を引き取って飼うという経験をした岡田さん。この経験を通じて、改めて気づかされたことが3つあるといいます。

1つめは、初めて保護犬を飼う場合は一気に複数の犬を迎えるのではなく、少し期間をあけて1頭ずつ迎えたほうがよいということ。
「特に先住犬がいる場合は、気を付けたほうがいいと思います。ももちゃんがストレスで吐血したように、先住犬にとって新しい犬が複数やってくるのは大きなストレスになるからです」。

2つめは、「犬の生活は飼い主次第で大きく変化する」ということ。
「繁殖犬として狭いケージの中に閉じ込められ、散歩もさせてもらえず、人に抱っこされたこともほとんどない状況で生きて来たキャンディと花子。2頭とも最初はすごく臆病でビビリでしたが、一緒に暮らして愛情を注いでいると、みるみる明るく生き生きとした表情に変わってきました。犬の幸せは、本当に飼い主次第。その分、飼い主の責任がいかに大きいかを実感しています」。

3つめは、食事の大切さ。
がりがりに痩せた状態で引き取ったキャンディと花子ですが、岡田さんの栄養たっぷりの手作りフードのおかげで、今では体重が当時の倍に。毛艶も見違えるようになりました。
「施設にいたときは、少量でお腹が膨れるように、水でふやかした歯ごたえのないフードばかりを食べていたらしく歯槽膿漏気味だったのですが、家にきてちゃんとした食事を食べ、デンタルケアも続けたら、すっかりよくなりました」とのこと。

「気が付けば愛犬用に考えたレシピが今では200を超えています。四季折々の食材で簡単に作れるものばかりなので、今後、このレシピを他の飼い主の皆さんにも役立てていただく機会を作りたいなと考えています」。

そんな岡田さんの夢は、愛犬のためのデリカテッセンを開くこと。

「近所の愛犬家の皆さんが、気軽に立ち寄って栄養たっぷりの愛犬用ご飯を購入できる場所、同時に情報交換をしたり里親募集の保護犬の紹介ができる場所を提供できたらいいなあと思っています。まだ今は単なる『夢』ですが、仕事をリタイアして自分の時間が出来たら、ぜひ実現したいと思っています」。

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  わん!ダフルストーリー Vol.43

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