観光列車「ラ・マルせとうち」で行く瀬戸内国際芸術祭(その1)~岡山駅「美 la beaute(ラ・ボーテ)」(1,100円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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今、「アート」を求めて瀬戸内の島々を旅する人が増えています。
きっかけは2010年から3年おきに開催されている「瀬戸内国際芸術祭」。
この春も3月20日~4月17日まで、29日間の会期で開催されました。
実は4月9日から、この芸術祭へのアクセスにピッタリな観光列車も登場!
その名も「ラ・マルせとうち」!さっそく、乗車してきました。

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車両は岡山地区で活躍している213系電車を改造して誕生した2両編成(定員52名)。
車両自体には「ラ・マル・ド・ボァ」という愛称があり、フランス語で「木製の旅行鞄」という意味なんだそう。
アルパ奏者・上松美香さんが手がけたオリジナルBGMの流れる車内は「普通列車のグリーン車」という扱いで全車指定席。
片側はグリーン車らしいリクライニングシートを装備、もう片方は窓側を向いたカウンター席です。
画像は2号車で、宇野寄りの1号車は座席配置が左右逆となります。

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車両をデザイン・監修したのは「瀬戸内国際芸術祭2016」の総合ディレクター・北川フラムさん。
桜の木を用いたというフローリングの床もさることながら、面白いのは「サイクルスペース」。
ローカル私鉄では所々で行われていますが、自転車を載せることが出来る列車なのです。(全8台・予約制)
瀬戸内国際芸術祭」を自分の自転車で巡るのに重宝ですよね!
乗車した4月11日はちょうど地元TV局の取材が行われており、その自転車が積まれていました。

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この日指定された席は、リクライニングシートのほうの座席でした。
首都圏エリアでも「みどりの窓口」などで「ラ・マルせとうち」の普通列車グリーン券を購入できます。
ただ、窓口の方が座席の形態などを把握していないことも多いので、窓口が空いている時がおススメ。
あと、JR西日本エリアの観光列車を押さえる時に重宝なのが、電話で直接予約する「5489サービス」。
手数料はかかりますが、首都圏に住んでいる人でもきっぷを家まで送ってくれます。

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ラ・マルせとうち」の窓側の席には電源用コンセントが付いています。
スマホ時代の今、電車におけるコンセントは、本当に重宝しますよね。
反対側のカウンター席にも、各席に1つずつコンセントが付いていました。
このほか車内には無料Wi-fiも飛んでおり、インバウンドのお客さんにも対応。
訪れた日も「瀬戸内国際芸術祭」目当てとみられる海外からの方の姿が多く見られました。

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ラ・マルせとうち」は週末中心に(芸術祭会期中は毎日)、岡山~宇野間を1日1往復運行しています。
宇野行の下り列車は、東京6:30発の新幹線「のぞみ5号」(岡山9:50着)から接続。
始発の岡山駅5番のりばには自転車の組み立て場と、昔、船員の交代時刻を告げた「八点鐘」が設けられました。
かつては宇高連絡船が発着、今は「瀬戸内国際芸術祭」の玄関口となっている「宇野」。
そんな港町へ向かって、駅員さんが鳴らす鐘の音と共に10:11「ラ・マルせとうち」発車です。

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岡山駅を発車すると、早速アテンダントさんから「おしぼり」が配られました。
今や「おしぼりサービス」がある列車も、だいぶ限られています。
JRでは、東海道・山陽新幹線「のぞみ」「ひかり」のグリーン車。
東日本エリアの新幹線では「グランクラス」のある列車などなど・・・。
その意味では、在来線の普通列車における「おしぼりサービス」はとても貴重!

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ラ・マルせとうち」で駅弁をいただくなら、岡山駅弁・三好野本店の新作「美 la beaute(ラ・ボーテ)」(1.100円)。
列車の登場に先駆けて3月26日に登場、6月30日までの期間限定駅弁として販売されています。
「かなり女性を意識した駅弁」と仰るのは「三好野本店」の広報ご担当者の方。
薬膳料理研究家の池田陽子さんを中心とした女性メンバーで考案、ピンク色の器はコスメボックスをイメージしたものなんだそう。
なお、車内での販売はありませんので、買い求める場合は岡山駅構内の売店で・・・となります。

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包装を外すと、カラフルな彩りをした2段重ねのお重が登場!
メインのご飯は、三好野本店の定番「祭ずし」をアレンジした印象のアートな「モザイクちらしずし」。
おかずは「美白」「アンチエイジング」をテーマに、岡山の食材や郷土料理をアレンジしたとのこと。
女性向けではありますが、もちろん男性でも食べ応えは十分、何より手が込んでます!
私は「黒きくらげと野菜のソテー」が、特に食が進んでお気に入りとなりました。
普段、あまり駅弁を食べない女の人に男の人が薦めたら、きっと男性の株が上がる駅弁です。

【お品書き】
(上段)
鰆とカラフル野菜のカレー風味(鰆の竜田揚げ、人参、ペコロス、パプリカ、茄子、アスパラ) 、
合鴨とチーズ、五目豆腐のピンチョス 、
白桃と岡山県産マスカットジュレ クコの実添え
(下段)
モザイクちらしずし ラ・ボーテ風(すし飯、厚焼き玉子、焼穴子のトマトバジルソース、ままかり、海老のコンソメ煮、作州黒豆煮(赤ワイン風味)、たこのバジル和え、むき枝豆、酢蓮根)
黒きくらげと野菜のソテーしらす添え

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アテンダントさんが乗車記念のパネルと共に写真を撮ってくれました。
このサービスは観光列車に多いですが、デジカメを持っているお客さんに「お撮りしましょうか?」と声掛けするのが一般的。
でも「ラ・マルせとうち」は、いわゆるインスタントカメラで撮って、無料でプレゼントしてくれる仕組みでした。
インスタントカメラは外国の方に人気があるとも言われていますので、そのあたりを意識したのでしょうか?
もちろん、画像のように「私のデジカメでも撮って!」とお願いすれば対応していただけます。

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お腹を満たしたところでふと「網棚」に目をやると「本棚」にリニューアルされてました!
宇野線はそんなに景色が映える路線ではないので、どうやって時間を過ごすか気になっていたところ・・・。
でも、旅の本やアートの本を読みながら、ゆったり過ごすのはイイですよね!
瀬戸内国際芸術祭」の会場を巡るのであれば、この1時間に計画を練るのがよさそう。
実は列車のキャッチコピーも「旅支度を行う特別な時間を楽しむ列車に乗って・・・」とあるんです。

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2号車にはカウンターがあって、車内販売が行われています。
販売されているものは地域の特産品やドリンクが中心。
各座席の背面ポケットなどに商品ラインナップが入っているので、これをチェックしてから足を運ぶのがよさそうです。

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アテンダントさんの笑顔に誘われて、おススメのドリンク「清水白桃」を注文。
オリジナルグッズも欲しくなってしまい、ついつい財布のひもが緩んでしまいました。
ただ「ラ・マルせとうち」では、現金決済のみとなるので注意。
また岡山から四国方面への瀬戸大橋線は「Suica・ICOCA」エリアですが、宇野線・茶屋町~宇野間はエリア外。
ラ・マルせとうち」に乗る際は、紙の乗車券が必要となる点も注意したいところです。

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ラ・マルせとうち」のオリジナルカップとコースターをいただいてカウンターの空いている席へ。
春の日差しでポカポカの車内の中、冷えた「清水白桃」のジュースをいただきます。
明治8年、中国から苗木が持ち込まれて始まったといわれる岡山の桃の栽培。
その中でも「清水白桃」は、岡山を代表する桃の品種といわれています。
本でも読みながら長閑な田園風景を眺めてご当地の味をいただく・・・贅沢な時間の過ごし方でしょ!

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買い求めたオリジナルグッズは、児島デニムのスマホケース(2,160円)。
ラ・マルせとうち」のオリジナルグッズの中でも、早速人気を集めているといいます。
倉敷市の児島は、国産デニムの産地として有名なエリア。
肌触りの良さも好きな児島デニム。
大型のスマホにも対応しているのが嬉しいところです。

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ラ・マルせとうち」には列車の中だけでなく、車窓や駅にもいろいろな仕掛けが・・・。
宇野線(宇野みなと線)の常山駅には、宇野に向かって左側の田んぼで「田んぼアート」が始まりました。
コチラは、フラワーエンターティナーの萬木善之さんが手がけたものなんだそう。
「田んぼアート」は季節が進むにつれ、稲が成長していろんな景色を楽しめるのがいいですよね。

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終点・宇野を前に、駅舎そのものが「アート」になっている八浜駅で小休止。
岡山~宇野間を走る「ラ・マルせとうち」の旅は、ちょうど1時間。
1時間の旅の先には、果たしてどんな景色が待っているのか?
ラ・マルせとうち」で行く瀬戸内国際芸術祭(その2)に続きます。

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

【ごあいさつ】
はじめまして、放送作家の望月崇史(もちづき・たかふみ)と申します。
ニッポン放送には、昔の有楽町の社屋の頃から、かれこれ20年お世話になっています。
最近では、月~木・深夜24時からの「ミュ~コミ+プラス」で放送された、
ルートハンター」のコーナーに、5年ほど出演させていただきました。

そんな私がライフワークとしているのが「駅弁」の食べ歩き。
1年間に食べる「駅弁」の数は多い年でのべ500個。
通算でも4500個を超えているものと思います。
きっかけとなったのも、実はニッポン放送の番組。
2002年~05年に放送された「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の
番組ウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載することになり、
本格的に「全国の駅弁をひたすら食べまくる生活」に入りました。
以来、私自身のサイトや、近年は「ライター望月の駅弁いい気分」というブログで
「1日1駅弁」を基本に「駅弁」の紹介を続けています。
”駅弁生活15年目”、縁あってニッポン放送のサイトで連載させていただくことになりました。
3つの原則で「駅弁」の紹介をしていきたいと思います。

①1日1駅弁
②駅弁は現地購入
③駅弁のある「旅」も紹介

「1日1駅弁」ですので、日によって情報の濃淡はありますが、
出来るだけ旬の駅弁と鉄道旅の魅力をアップしていきますので、
ゆるりとお付き合い下さい。

【プロフィール】

望月崇史(もちづき・たかふみ)望月

1975年12月8日静岡県生まれ。
早稲田大学在学中から、ニッポン放送で放送作家に。
卒業後の2002年「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の番組サイトで始めた
ライター望月の駅弁膝栗毛」をきっかけに、全国の駅弁食べ歩きをスタート。
以来およそ15年、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。
1日1駅弁のウェブ紹介を日課とし、これまでに食べた駅弁は4500個以上。
ニッポン放送「ミュ~コミ・プラス」ルートハンター、鉄道特番などにも出演。
丸の内朝大学・温泉クラスの講師も務める。