ヴィム・ヴェンダース監督最新作は、3D映画!?『誰のせいでもない』 【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第99回】

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さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回の「しゃベルシネマ」は、ヴィム・ヴェンダース監督7年ぶりの劇映画『誰のせいでもない』を掘り起こします。

ある雪の日から始まった、運命の流転

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近年は『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』や『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』など、ドキュメンタリー映画においても卓越した映像表現で我々を魅了した巨匠、ヴィム・ヴェンダース監督。
しかし『パリ、テキサス』や『ベルリン・天使の詩』といった、ストーリーテリングや人物描写にも長けた監督だけに「そろそろヴェンダース監督の人間ドラマが観たい!」と思っていた映画ファンも多いのではないでしょうか。
待望の劇映画は、なんと7年ぶり!
それが、本作『誰のせいでもない』です。

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カナダ、モントリオール郊外。
作家のトーマスは仕事がうまくいかず、一緒に暮らしている恋人サラとの関係はぎくしゃくしていた。

ある日、真っ白な雪に包まれた田舎道で車を運転していると、何かが目の前に飛び出してきた。
慌てて急ブレーキをかけると、そこには一人の少年がぼんやりと座っていた。
少年の無事を確認して自宅まで送り届けると、少年の母ケイトは何故か半狂乱に。
このアクシデントが、トーマス、サラ、編集者のアン、ケイトの人生を大きく狂わせていく…。

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偶然起こった事故が4人の男女の運命と心情を、12年間にわたって綴っていく人間ドラマ。

主人公のトーマスを演じるのは、映画監督・作家としても活動するジェームズ・フランコ。
サラ役は、美人で実力派のレイチェル・マクアダムス。
ケイト役は、ジェーン・バーキンの娘で自身も輝かしいキャリアを重ねているシャルロット・ゲンズブール。
アン役に、知性的な魅力を放つマリ=ジョゼ・クローズ。
さらにドラマの鍵になる少年クリストファー役には子役時代から活躍し、カナダ・アカデミー賞主演男優賞にもノミネート経験がある若手ロバート・ネイラーが扮し、ヴェンダース作品ならではの顔ぶれがそろいました。

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本作のテーマは、罪悪感と赦し。
“誰のせいでもない”ひとつの事故が、それに関わった人々の人生を左右していく。
誰も責められず、誰も憎めない。
その心の奥底に溜まった澱のような切なくて苦しい感情をすくい取るように、時に繊細に時に大胆に心情を映し出していく様は、まさにヴィム・ヴェンダースの真骨頂となっています。

ところで本作は、日本では2Dと3Dで公開されます。
3Dと言えば「風景が飛び出す」とか「立体的に見える」といった動的な興奮を期待してしまいますが、こんなに日常的な静的な映画で3を3Dで???
なんでも『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』の制作時にヴェンダース監督が、3Dの持つ映像表現の可能性に目覚めてしまったのだとか。

本作でヴェンダース監督が3Dで立体化したかったものは、人間の感情。
一体全体、どのように見えるのでしょうか。
私は2Dで拝見したので、公開中に劇場に足を運んで体感したいものです。

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誰のせいでもない
2016年11月12日からヒューマントラストシネマ渋谷、キネカ大森、T・ジョイ蘇我ほか全国順次公開
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:ジェームズ・フランコ、シャルロット・ゲンズブール、マリ=ジョゼ・クローズ、レイチェル・マクアダムス ほか
©2015 NEUE ROAD MOVIES MONTAUK PRODUCTIONS CANADA BAC FILMS PRODUCTION GÖTA FILM MER FILM ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト http://www.transformer.co.jp/m/darenai/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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