命絶えても家族を結びつける母の愛…『バースデーカード』 【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第90回】

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さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回の「しゃベルシネマ」は、今週末公開のハートフル・ムービー『バースデーカード』を掘り起こします。

号泣必至!母の偉大さ、温かさに涙、涙。

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幼い頃から泣き虫で引っ込み思案だった紀子。
そんな彼女をいつも励ましてくれたのは、母・芳恵だった。

紀子は優しくて明るい母が大好きだったが、紀子が10歳のある日、芳恵は病気でこの世をさってしまう。
自分の死期を悟った芳恵は生前、子供たちの20歳の誕生日までバースデーカードを贈る約束をしていた。

その約束どおり、紀子と弟・正男の元には毎年、母からの手紙が届くように。
そこには、人生を輝かせるヒントなど内気な娘を想う母の愛情が綴られていた…。

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誕生日をお祝いしてもらうのは幾つになっても嬉しいものですが、本作は他界した母から娘に毎年届くバースデーカードを通して、母娘の深い絆を描いた人間ドラマです。

亡き母親から届くバースデーカードの内容に戸惑いつつも成長していくヒロイン・紀子役に、橋本愛。
家族を大きな愛で包み込む母・芳恵役には、宮﨑あおい。
なんとも見た目にも麗しい母娘ですが、意外にもこれが初共演。

さらに家族を温かく見守る父・宗一郎にはユースケ・サンタマリア、家族のムードメーカー的存在の弟・正男に須賀健太と、個性豊かなファミリーが誕生しました。

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「母と娘」の関係とは、その関係性や距離感は様々ですが、同性ならではの特別なものがあるなぁ〜と、日頃から感じます。
娘が成長するに従い、「母」と「娘」という立場から、時には「友人」のように、また時には「姉妹」のように。
はたまた場合によっては「ライバル」になったり…。

それでも娘にとって「母」という存在は、何物にも代え難い存在だと言えるのではないでしょうか。
毎年分のカードや贈り物を遺した母の心の内を考えると、子どもたちの成長をこの目で見届けることが出来ない無念さややり切れなさもあったのではないかと推察します。

しかしそれ以上に深い広い心で、命が絶えても家族を結びつける母の愛。
それは、私たちがいまこの瞬間を生きていることへの感謝と喜びを伝えているように感じました。

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本作はメガホンを取った吉田康弘監督によるオリジナル脚本。
マンガや小説原作の日本映画が多い昨今、こういった素朴なオリジナルストーリーが映画となるのは、とても意義深いことだと思います。
世代を超えて人の心に残る感動のストーリーは、あなたのハートを幸せな余韻で満たしてくれることでしょう。

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バースデーカード
2016年10月22日から新宿バルト9ほか全国ロードショー
監督・脚本:吉田康弘
出演:橋本愛、ユースケ・サンタマリア、須賀健太、中村 蒼、宮﨑あおい ほか
©2016「バースデーカード」製作委員会
公式サイト http://www.birthdaycard-movie.jp/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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