指導者に直撃!金メダリストの育て方~日本陸連男子短距離部長苅部俊二 [中編]【ひでたけのやじうま好奇心】

北京五輪、ロンドン五輪、リオ五輪、3つの大会で陸上短距離選手を指導されてきた日本陸連苅部俊二男子短距離部長にお話をうかがいます。
『指導者に直撃!メダリストの育て方』今日はその中編です。

リオ五輪では銀メダルを獲得した日本代表チーム。2020年の東京五輪でもまだまだメダルを狙える若い選手ですよね。

苅部)そうですね。これから円熟していく選手が多いので非常に楽しみです。

今度は金メダル!という声も大きいですが。

苅部)2020年は地元の東京ですから本気でトップを狙いたいと思っています。リオ五輪ではジャマイカに破れましたが、2020年の東京五輪では、もうボルト選手が走らないという話もあるので、充分に戦えるのではないかと思っています。今回はボルト選手1人にやられた…というところもありますので。

今度はトップを狙う。そう言えるほどリオでは自信を持った?

苅部)過信はしないようにしなければいけませんが、選手も我々も手ごたえをつかんでいるのは確かです。

そしてリレーとともに気になるのが100m。いつ9秒台が出るのか、ずっと言われ続けていますよね。

苅部)時間の問題だと思うんですが、早くスッキリしたいですね。

苅部さんも、「苅部君!なんでこんなに次々と9秒台が出るんだね?」とか、言われたいですよね??

苅部)そうですね(笑)我々の責任でもあるんですけど…。9秒台は条件が整わないと難しいのですが、間近に来ていることは確かです。

リレーに出た4人には充分に可能性がありますか?

苅部)飯塚選手は200mの選手なので、100mでは厳しいかもしれないですが、彼にもチャンスがないとは言えないですね。

苅部さんは普段どんなことを心掛けて選手を指導していますか?

苅部)選手の感じたものを一番大切にして指導していますね。選手それぞれがどんな風に足を突いて、地面からの反発をどう受け取って、どんな感覚で体を動かしているのか、そういうことを大事して、能力を伸ばしていくことが大切だと思います。

選手によって感覚も性格も違いますからね。リレーを走った4人の選手の場合はいかがですか?

苅部)一番個性的なのは山縣選手だと思います。山縣選手は非常に繊細な選手。レースでの集中力も高いです。普段はぽけ~っとしていて、忘れ物もするし、時間も守れなかったりするのですが(笑)、これがレースになると神経が研ぎ澄まされて、別人のような雰囲気になるんです。

周りを寄せ付けないという感じですね。

苅部:そうですね。スタートの合図も「耳では聞いていない」と言っていて、彼は「肌や背中で聴く」と言っています。こういう感覚は選手それぞれで、わからない世界ですよね。

すごいセリフですけど、そんな感覚なんでしょうね…。

苅部)私としては、そういうことを大切にして指導をしています。山縣選手に対して、「何を言ってるんだ!耳で聞くんだよ!集中しろ!」とは絶対に言いません。彼の感覚を大切にして、その感覚のまま能力を伸ばしていくように指導しています。

桐生選手やケンブリッジ選手はどうですか?

苅部)桐生君は個性的でやんちゃな感じ。まだ若いですが、勢いもあり、気持ちが乗ってくると非常に強いですね。ケンブリッジ君も桐生君と似たところはあるのですが、まだ技術的に落ちるところがあります。でもそれだけ伸びる可能性があるので、まだまだ成長できると思います。

若い選手が多くて、東京五輪にも期待の高まる男子短距離。明日は「いつでる100m・9秒台!」うかがいます。苅部さん、明日もよろしくお願いします!

指導者に直撃!金メダリストの育て方~日本陸連男子短距離部長苅部俊二 [前編]はこちら>

■リオオリンピック 男子400メートルリレー決勝日本チーム(※年齢は全て当時)
①山県亮太(やまがた・りょうた)24歳
②飯塚翔太(いいづか・しょうた)25歳
③桐生祥秀(きりゅう・よしひで)20歳
④ケンブリッジ飛鳥(あすか)23歳
■タイム:37秒60(日本新&アジア新)*金メダルはジャマイカ:37秒27

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日本陸連男子短距離部長 苅部俊二(かるべ・しゅんじ)1969.5.8生まれ(47歳)
1994年広島アジア大会400mハードル金メダル
1996年アトランタオリンピックマイルリレー1走で5位入賞
1997年パリ世界室内選手権400m銅メダル、マイルリレー1走で6位入賞
1998年福岡アジア選手権&バンコクアジア大会・両大会マイルリレー金メダル
1999年前橋世界室内選手権マイルリレー4走で5位入賞
2000年シドニーオリンピック出場
元400mハードル日本記録保持者
現在法政大学スポーツ健康学部准教授
日本陸連男子短距離部長としてリオデジャネイロオリンピック男子400メートルリレー決勝で日本チームを銀メダルに導いた

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10月20日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より