自身の疑惑から目を逸らすための無理筋なトランプ流政策~パリ協定離脱など次々に

ニッポン放送「ザ・フォーカス」(11月6日放送)に作家・ジャーナリストの河合雅司が出演。米・トランプ大統領の政策や疑惑について解説した。

米ケンタッキー州の選挙集会で演説するトランプ大統領=2019年11月4日(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

トランプ大統領、ピンチ? ウクライナ支援問題、EU大使の証言など公開される

トランプ政権がウクライナへの軍事支援の条件として、ウクライナ企業と関係するとされる民主党のバイデン前副大統領の調査を求めていた疑惑で、アメリカ下院委員会は、実際の裏付けとなる駐EU大使のゴードン・ソンドランド氏の証言や文書などの記録を公表した。ソンドランド氏は9月にウクライナ政府高官と面会し、「バイデン氏を調査しないと支援は再開しないだろう」と述べた。

森田耕次解説委員)トランプ大統領のウクライナ疑惑をめぐる弾劾調査がアメリカの下院で進んでいるのですが、アメリカの下院の委員会はソンドランドEU駐在代表部大使ら2人の非公開宣誓証書の記録を公表しました。これに先立ってソンドランド氏は10月に行った表現を修正しまして、ウクライナへの軍事支援凍結の解除のためウクライナに対して汚職捜査開始の明言という見返りを要求したことを認めております。トランプ政権はウクライナ当局に、政敵でもある民主党のバイデン前副大統領周辺の捜査を求めていまして、軍事支援を盾にスキャンダル探しを要求していた実態が改めて鮮明になった形です。修正された証言によりますと、ソンドランド氏は9月1日にポーランドでウクライナのゼレンスキー大統領の側近に会って、「トランプ大統領が求めている汚職対策への取り組みを表明する声明を発表して欲しい。そうしないと軍事支援の再開はあり得ない」と伝えたということです。ソンドランド氏は10月に「見返りについては知らなかった」と証言をしていたのですが、他の政府高官がこれに反する証言を続けていたので、偽証罪になる恐れを回避するために証言を修正したと見られています。来年2020年の大統領選まで1年を切っていまして、FOXニュースが行った世論調査だと、トランプ大統領の弾劾訴追を支持する人が49%で反対の41%を上回っているのですが、この動きをどうご覧になっていますか?

河合)このウクライナ問題がトランプ政権にダメージを与えていることは間違いありませんが、弾劾になるかと言うと上院の3分の2ですから、共和党から相当の造反が出ない限りは無いと思います。それよりも私が気にしているのは、ウクライナ疑惑を逸らすために次々と無理筋なトランプ流の政策を打ち上げて、大統領選を自分の有利なように運ぼうということになってくるのではないかということです。その1つがパリ協定からの離脱通告だと思います。

森田)このパリ協定からの離脱はトランプ氏にとっては重要な公約の1つでしたからね。

河合)このままの手順でいくと、大統領選の翌日になるのですか。

森田)離脱は11月4日ですからね。

ゴードン・ソンドランド駐欧州連合(EU)代表部米大使(ルーマニア・ブカレスト)=2019年9月5日 写真提供:時事通信

日本が目標値を達成できないおそれ~パリ協定の課題は決して対岸の火事ではない

河合)当然ながら今回の大統領選の大きな争点になってくると思います。パリ協定は日本にとっても課題は大きくて、日本は日本で守らなければいけない目標があります。現在、原発が稼働できない状況が続いていて、日本の電力は火力で賄っているわけですね。そうすると、削減目標を達成するのはかなりハードルが高くなっているということが言えます。アメリカは仮にパリ協定から抜けることになっても、各州や各企業は取り組みを一生懸命やっていますので、結果としてむしろ削減が進んでしまい、パリ協定に残っている日本の方が目標値を達成できない話になりかねません。

森田)カリフォルニア州などは環境規制に熱心な自治体もありますよね。

河合)それから、やはり大きな企業もこういう時代背景なので世界の消費者からのイメージもあって、環境問題に取り組む姿勢を見せなければいけないということで、独自の動きを強めているところが多いのです。

森田)パリ協定を離脱したとしても、アメリカは削減の方向に進んでいると。一方で、日本の方がなかなか難しいのですね。

河合)これまで日本はかなり取り組み対策をやってきていたので、筋肉質になりかかっていたところにもっと痩せろという努力をするようなものです。一方、太ったままのアメリカはこれから痩せていくということになるのでは、同じ努力をしても(現れる)効果は違いますよね。

森田)日本はもうかなり削減をしてきていて。あとは原発をどうするのか、などの問題になってきます。

河合)原発が動かせないのであればクリーンエネルギーの方向にもっと早く動いていかないといけません。(原発の)代替案として化石燃料を燃やして電気をつくっていることは世界の潮流から逆行しているように見えてしまいます。

森田)世界的にはヨーロッパを中心に再生可能エネルギーや電気自動車の動き、蓄電池の開発に向かっているわけですものね。

河合)鉄道の普及もそうですね。

森田)日本の成長戦略にもなるわけですものね。

河合)パリ協定は決してアメリカの話ではないということを認識しておかなければいけませんね。

延長464マイル (747km) のケンタッキー州道80号線は州内最長の道路である。写真はサマセットの西(ケンタッキー州-Wikipediaより)

世論調査では、トランプ大統領苦戦

森田)一方、ワシントンポストの民主党への世論調査だと、民主党の有力な5人の候補の誰が公認されてもトランプ大統領が苦戦するという結果が出ていて、民主党のバイデンさんやウォーレン上院議員、サンダース上院議員のいずれが相手でも「大統領選はトランプ大統領に投票する」と回答した人が40%だったようです。対立候補を14から17ポイント下回っているという情報もあります。

河合)トランプ大統領は気が気じゃないでしょうね。

森田)6日に入ってきたニュースだと、南部のケンタッキー州の知事選は民主党の司法長官が共和党の現職知事を破ったというものも入ってきました。大接戦の僅差でまだ敗北を宣言していないようですが、トランプ大統領がケンタッキー州に入ってテコ入れしていたのにということで、政権には打撃になるかもしれません。

河合)前回もトランプ大統領は得票ではヒラリー候補に負けていたわけですよね。どういう結果になるかはわかりませんが、相当尖った政策をいろいろとやるのではないかということの方が気になります。

森田)ウクライナ疑惑を抱えながら。その一方で、パリ協定離脱やバグダディ容疑者の殺害をしました。

河合)成果をどんどん見せなければいけませんからね。

森田)ますます選挙モードに入ってきていて、いろいろなことを打ち出しているのですね。

河合)それがまた世界を大慌てさせることになってしまいます。

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