英ジョンソン首相によるEU「関税同盟」脱退提案の意図

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月3日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。イギリスのジョンソン首相がEU離脱に伴い、EUの関税同盟から脱退することを明らかにしたことについて解説した。

英ジョンソン首相によるEU「関税同盟」脱退提案の意図

英下院、発言、ジョンソン首相、ボリス・ジョンソン=2019(令和元)年9月3日、英ロンドン(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

EU離脱に伴ってイギリスがEUの関税同盟から脱退

イギリスのジョンソン首相は2日、与党保守党の大会で10月末のEU離脱の条件に関する最終提案を表明した。ジョンソン首相はイギリスが離脱に伴ってEUの関税同盟から脱退することを明らかにしており、対アイルランド国境から離れた場所で税関検査を行う考えを示した。最終提案でEUとの合意に失敗した場合、合意なき離脱になるとEUに譲歩を迫っている。

飯田)イギリスのEU離脱問題。アイルランドとの間は、陸上の国境が北アイルランドのところにあるということで、その管理をどうするのだと。関税同盟を抜けてしまうということは、国境が復活かという話にもなります。

鈴木)当面はいまの状態を維持すると言っていますが、これは時限になるため、年限を区切りますからね。そうなると、いまおっしゃったようなアイルランドとの国境問題がいずれ出て、また再燃という可能性が強いと見ていいと思います。

受け入れられないことを前提にあえて提案か

鈴木)今回の新提案なのですが、EUが受け入れられるかと言うと、なかなか強硬な提案で受け入れられないのではないですかね。ジョンソンさんとしては、受け入れられないことを前提に合意なき離脱を決めていて、あえて受け入れられないものをぶつけたのではないかという見方もあります。

日本企業への影響

鈴木)イギリスとEUの問題は少し遠いところにあるような感覚ですが、実際に日本企業も影響を受けるわけです。専門商社トップの友人は、もう少しはやく決着するかと思っていたけれど、結局ずるずると続いていることで、結論を待たずにイギリスから撤退し、拠点をドイツに移しました。関税の問題が出て来ると、部品をイギリス経由でやり取りをして、そこで作るということが全部ややこしくなって来る。それならば、拠点をイギリスに置いておく必要はないので、EUやドイツといった国にしようと。長引くことによる日本企業への影響は確実に出て来ていますので、しっかりと見なければなりません。結論が右か左かということよりも、とにかく早期に見通しを付けてもらわなければ困るというのが日本の立場、関係でしょうね。

飯田)どちらでもいいから決めてくれと。

鈴木)そうですね。アイルランド問題とはまた別の次元ですので、この辺を意図的に首相が上手くミックスさせているのかな、という気もしますけれどね。

飯田)これに関してはカトリックが多いアイルランドと、北アイルランドには国教会が多い。北アイルランドのカトリックの少数派の人たちは、アイルランドと一緒になりたいと言うし、プロテスタントの人たちは嫌だと言う。そこでかつてはテロの応酬があり、3000人以上が亡くなったということがありましたからね。

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