消費税増税で世の中の「どこ」がよくなるのか

ニッポン放送「ザ・フォーカス」(10月1日放送)に中央大学法科大学院教授・弁護士の野村修也が出演。1日にスタートした消費税増税について解説した。

コンビニエンスストアに貼られた、キャッシュレス決済でのポイント還元を知らせるポスター=2019年10月1日未明、東京都品川区 写真提供:産経新聞社

消費税、1日から10%に

消費税が1日、8%から10%に引き上げられ、公共料金を含む幅広い商品やサービスの価格が一斉に上がった。また、外食と酒類を除く飲食や食料品などを対象にした軽減税率の他、キャッシュレス決済へのポイント還元策もスタートした。

森田耕次解説委員)外食、それからお酒を除く飲料、食料品などを対象に軽減税率が入りました。家計には負担が増える秋になるというわけですが、野村さんは買い溜めなどはされましたか?

野村)いろいろ考えたのですけれども、軽減税率もありますし、もしかすると年末にかけてセールがあるのではないかな、という思いもあって、スキップさせていただきました。

森田)増山さんも何かありますか?

増山さやかアナウンサー)私もほとんど何も買っていません。みりんくらい買っておけばよかったなと思うのですが。

野村)みりんはお酒扱いですから、10%なのですよね。

森田)うちの妻は、トイレットペーパーをけっこう買っていましたね。それから、ロボット型掃除機で水拭きをしてくれる家電を買いました。ですから8%のうちに買ったのですが、昨日(9月30日)の夜にDVDプレーヤーが壊れてしまったのです。壊れるのならもっと早く壊れてくれればよかったのに。

野村)消費税の値上がりを待っていたのではないですか?

森田)いつ買い換えたらいいのか悩みますよね。

野村)特に今回、家電を買うかどうか迷った方はけっこういらしたと思うのですけれども、最近は家電がインターネットにつながるような時代になって、最新型のものもどんどん出て来ているのですよね。ですから、いま焦って買わないで、もう少し新しい種類のものが出てから買おう、と思った人もいたと思うのですよ。うちの空気清浄機は、帰ると「おかえりなさい」と言ってくれるのです。

森田)喋ってくれるのですか。

野村)夜に電気を消すと「おやすみなさい」と言うので、可愛がっています。

森田)ペットみたいな。

野村)他の家電もそうなって来ています。これをIoTと言います。「モノのインターネット」と訳していますが、そういうものが進んで行きますから、今後また消費意欲が出て来る可能性もあると思います。

心配される景気への影響

森田)景気に与える影響ですが、このタイミングでの消費増税はどうなのか、という声もよく聞きます。1日に発表された日銀の9月の短観(企業短期経済観測調査)は、大企業の製造業の業況判断指数、3ヵ月ごとの四半期にして3期連続で悪化ということになっています。米中の貿易摩擦もありますが、この消費増税が景気の重石になるのではないか、日本経済が厳しい状況になるのではないかという声もあります。その辺りはどう思われますか?

野村)1997年に5%に引き上げました。そのときに景気がかなり悪化したということがありましたし、2014年に8%へ上げたときも、駆け込み需要の方が膨らんでしまい、反動減でその後の景気低迷を迎えてしまいました。今回、政府はそれに対応するために、駆け込み需要が起こらないような仕掛けをいろいろやったのですが、それが複雑怪奇で不満を生んでいるところもあると思います。

森田)特に中小企業にとっては、キャッシュレス決済のポイント還元などが複雑ですから、対応に追われているところもあるようですね。

野村)新しいレジスターを用意しなければいけない、あるいは自分の販売している商品のうち、ほんの一部だけが軽減税率の対象だと、その商品を売るのを止めてしまうというところもあるようです。そのような影響を受けている方もいるので、景気だけではなく中小企業対策もやって欲しいと思います。

増税分は社会保障費に充てられる

森田)1日のゲストコメンテーターとして菅原経済産業大臣に来ていただきましたが、その辺はしっかりやって行くということを言っていました。また、同じく1日のゲストコメンテーターであった古川元久国民民主党代表代行は、消費増税は社会保障のために使うのだということを、しっかりと見て行かなければいけないと言っていました。

野村)なぜみんなが税の負担をしなければいけないのかという原点は、絶対に忘れてはいけないと思うのです。消費税を上げた分を社会保障に回して行くということですけれども、増山さんは我が国の社会保障が、お年寄りに偏り過ぎていると思いませんか?

増山)確かにそうですね。

野村)そういう声があるわけです。若い人たちに回っているよりも、7割くらいが高齢者の方に回ってしまっているという現象があるのです。高齢者の方々がたくさんおられるから、比率が多くなるのは当たり前なのですが、諸外国と比べてみると、例えば子育て支援や雇用対策に回っている部分が少ないのです。ですから今回は少しでもいろいろな、全世代型の社会保障にシフトして行って欲しいと思います。

消費税だけでは賄えない社会保障への財源をどうするか

森田)そうですね。ただ、一方でこういった声もあります。千葉県八千代市にお住まいの、ラジオネーム“猫の手”さん、男性からいただきました。「消費税増税ですが、医療費や薬、介護保険などにまで消費税をかけるのはどうなのでしょうか。働けない重度障害の人にとってはそれが負担になり、いままでかかっていた介護サービスが受けられなくなります。私も難病を患っていますが、消費税が負担になり、デイサービスをやめました」。増税をした分は医療や介護、年金に使うのですが、一方で医療費や薬にまで消費税がかかって来るではないか、という声もあるということです。

野村)こういう切実な声を、きちんと拾い上げて行くような政策が必要ですよね。そうでなければどこかにしわ寄せが行っている可能性があるので、きちんとフォローアップする必要があると思います。

森田)そして、1日から幼保無償化ということで、子育て支援の方にも回って、無償化の政策がスタートということになります。

野村)いろいろな年代の人に社会保障が行き渡っている社会にして欲しいと、みんな思っています。今度は財源の問題が出て来ますよね。将来的には、消費税だけで賄えない部分をどうやって補って行くのか、そういうことも考えて行かなければならないと思います。

ザ・フォーカス
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