1970/10/21パートリッジ・ファミリー「悲しき初恋」リリース! 【大人のMusic Calendar】

パートリッジ・ファミリー,悲しき初恋

1970年10月21日に発売された、パートリッジ・ファミリーのデビュー・シングル「悲しき初恋」の原題は、「I Think I Love You」という。もし歌の主人公の想いがもっと強ければ、「I Really Love You」とか「I Do Love You」といった表現になるのだが、「I Think……」となるところに頼りなさ、優柔不断さが漂う。それがまたティーンエイジャーのラヴ・ソングらしくもある。主人公は相手の女性を夢で見たことで自分の気持ちに気づき、それを告白。このまま愛していたいと歌う。

こんな歌ではあるけれど、アメリカでは70年の11月から12月にかけて3週間も第1位に輝き、当時、アメリカだけで400万枚、一説には600万枚も売り上げたという。作者は同じパートリッジ・ファミリーの「さよなら初恋」(71年/第20位)やカウシルズの「インディアン・レイク」(68年/第10位)、ルウ・クリスティの「キミがほしい」(69年/第10位)などで知られるトニー・ロメオで、L・クリスティなどのプロデュースやアレンジを手掛けるキーボード奏者でもある。

確かにキャッチーでメランコリックな歌ではあるけれど、「悲しき初恋」がこれほど売れた背景にはテレビとの連動があった。実は、パートリッジ・ファミリーはモンキーズやアニメのアーチーズなどと同じく、アメリカのテレビ番組のために作られたグループだった。
番組はABC系列で金曜日の夜8時半から30分間放送されたコメディで(後に土曜の8時に移動)、70年9月25日から74年8月31日まで4シーズン続いた。特に2,3シーズン目は視聴率のランキングで全体のトップ20に入っている。

物語の大筋を言うと、母子家庭のパートリッジ家の親子がグループを結成し、先の「悲しき初恋」を発表したところ、思わぬヒットになり、地元のカリフォルニアやツアー先で様々な問題に直面するというもの。メンバーはシャーリー・ジョーンズ(母親のシャーリー/キーボード)、デヴィッド・キャシディ(長男のキース/リード・ヴォーカル、ギター)、スーザン・デイ(長女のローリー/キーボード)、ダニー・ボナデュース(次男のダニー/ベース)、ジェレミー・ゲルフワークス(三男のクリス/ドラムス)、スザンヌ・クルー(次女のトレイシー/タンバリン)で、三男のクリス役が2シーズン目からブライアン・フォスターに代わっている。番組の制作はモンキーズで当てたスクリーン・ジェムス・コロムビア。音楽面の指揮はジェイ&アメリカンズやマッコイズ、エヴリ・マザーズ・サンなどで知られるウェス・ファーレルで、彼や先のトニー・ロメオが関わった実在のファミリー・グループ、カウシルズがヒントになっているそうだ。

アメリカは大らかだなと思うのは、権威あるグラミー賞がパートリッジ・ファミリーを新人賞にノミネートしているところだ。確かに実績は申し分ない。セッション・ミュージシャンがプレイしているとはいえ、彼らは放送期間中に3曲のトップ10ヒットを含む、9曲のヒット曲を生み出し、アルバムもベスト盤を加えると8枚発表。番組が始まった時、20歳ちょうどだったデヴィッドはトップ・アイドルの仲間入りを果たし、ソロとしても活躍している。

紹介が遅くなったが、アカデミー賞の受賞歴があるシャーリー・ジョーンズは実生活でデヴィッドの義理の母親であり、70年代後半に活躍したショーン・キャシディの実の母親である。また、2002年にはデヴィッドの娘であるケイティ・キャシディが「悲しき初恋」をカヴァー。時の流れを感じるとともに、歌は確実に生きている、と思う(I think)。

【執筆者】東ひさゆき

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