関東で初めて豚コレラ発生~必要なことは豚へのワクチン投与

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ニッポン放送「飯田浩司の OK! Cozy up!」(9月16日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。埼玉県秩父市の養豚場で確認された豚コレラについて解説した。

関東で初めて豚コレラ発生~必要なことは豚へのワクチン投与

埼玉、長野で殺処分続く 豚コレラが発生し、消毒で白くなった長野県畜産試験場周辺の道路=2019年9月14日午前11時23分、長野県塩尻市(共同通信社ヘリから) 写真提供:共同通信社

埼玉県秩父市の養豚場で豚コレラの感染が確認

関東地方で初めてとなる埼玉県秩父市の養豚場で豚コレラの感染が確認されたことを受け、県はこの養豚場で飼育しているすべての豚、およそ800頭もの処分を終えた。県では感染の拡大を防ぐため、処分した豚を埋めて施設の消毒などを行うことにしており、防疫の作業は16日にすべて終わる見通し。(注:埼玉県での埋却作業は雨のため遅れ、終わるのは17日になる見込み)

飯田)関東で初めて豚コレラの感染が確認されました。隣の群馬、或いは千葉も豚の飼育が盛んなところであり、埼玉自体はさほど多くはないのですが、心配されています。

関東で初めて豚コレラ発生~必要なことは豚へのワクチン投与

豚コレラの陽性反応が出た近江八幡市の養豚場=2019年2月6日、滋賀県近江八幡市(殺処分されたと思われる豚がうつっています) 写真提供:産経新聞社

感染源である野生のイノシシの生息地域が北上

須田)このような問題に関しては、感染経路を特定してそれを遮断するという地道な作業が必要になるのですが、その感染源とされているのは野生のイノシシではないですか。石川県で取材した際に出た話では、野生のイノシシはいま北上していて、生息地域が拡大しているそうです。イノシシは冬眠せず、雪深いところでは雪が降るとそれに埋もれて死んでしまう。そこがイノシシの北限になるのだけれども、いまは雪が少ないので、どんどん北上している。豚コレラ以外にも食害の被害がありますから、各県はその対応に追われている状況です。地図を見ていただくとわかりますが、各県に囲まれていながらも石川県には豚コレラは発生していないのです。

飯田)長野や岐阜も近いにも関わらず。

須田)なぜこれが防ぎきれたのかと言うと、福井県は豚コレラが発生している地域なのですが、福井県と石川県の県境に壁を作って、イノシシが入って来ないようにしているのだそうです。ただ、これは福井県との間で摩擦を起こしていて、「野生の動物なのだからそんなものを作るな」と福井県からは声が上がっている。本音ベースの話ですが、そういうことも起こっているようです。これは県単位、自治体単位で対応するのではなく、国がリーダーシップを取って行かないと、こういう問題は解決しないのではないかと思います。

関東で初めて豚コレラ発生~必要なことは豚へのワクチン投与

豚コレラの陽性反応が出た東大阪市の養豚場では、夜間になっても防護服で作業する大阪府の職員の姿が見られた=2019年02月8日、大阪府東大阪市 写真提供:産経新聞社

国が音頭を取って豚へのワクチン投与を

飯田)豚コレラウイルスの研究を行っている専門家の方にお話を伺ったことがありますが、北海道大学院の迫田先生は、豚へのワクチン接種も考えた方がいいのではないのかということを、2019年2月の時点で指摘されています。こういうことは国が音頭を取らないと、なかなかできないことですよね。

須田)一部の地域だけでやっても意味がないことですし、野生のイノシシ問題にどう対応して行くのか。雪が少なくなって来たら、どんどん北上しますからね。

飯田)豚コレラに関して日本は清浄国だということで、いろいろな検査をクリアしながら輸出することができているのだけれども、ワクチン投与を始めてしまうと、それを取り消されてしまうからダメだということも言われています。ただこれはもう、実利の面を超えた拡大を見せている気がしますよね。

須田)いまの流れを見ると、事実上のパンデミック状態になっていることは間違いありません。しかも感染源は1匹1頭ではありませんから、それを特定するというのは不可能ですよ。

飯田)感染しないための対策ということで、ワクチン投与は必要ですよね。

須田)一時的にせよワクチン投与をして、完全に遮断することが必要ではないかと思います。

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