逃亡犯条例改正案を撤回~それでも香港のデモが止まることはない

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月5日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。逃亡犯条例改正案の正式撤回を表明した香港政府とデモ参加者側の今後の推移について解説した。

香港政府林鄭行政長官、条例改正案の正式撤回を表明

香港政府トップの林鄭月娥行政長官は4日、逃亡犯条例改正案の正式撤回を表明した。しかし、林鄭氏は改正案反対派が要求する警察のデモ隊に対する暴力を調べる独立調査委員会の設置や、普通選挙の実現、デモ参加者の釈放、暴動認定の撤回などについては認めておらず、混乱の収束は不透明な情勢。

飯田)独立調査委員会ではなく、警察の活動に関する観察委員会に放送関係者を入れるなどの部分的な妥協案はありましたが、そのくらいに留まったということで、デモに参加している人たちからすると食い足りないというか、これではデモは止まらなさそうです。

鈴木)現地にいた友人のジャーナリストが帰って来たので話をしたのですが、かなり高揚していました。デモに参加している若い人たちの意識に触れたのでしょう。みんなが参加しているから何となく参加する人もいるかもしれないけれど、それぞれが極めて真面目に考えていて、そこに触れて戻って来たようです。条例を撤回すると言ったからといって、これで収まるのは無理だと彼も言っていたし、僕も無理だと思います。条例を撤回すると言ったのも、バックに中国政府がいることは容易に想像のつくことですよね。そして、とにかく遅過ぎました。もう少し早いタイミングではできなかったのでしょうか。取り下げられるのは、5つの要求のうちのたった1つです。残りの4つはどうなるのでしょう。学生たちに残りの優先順位を聞いたら、その次に上がったのは拘束されたデモ隊の釈放です。その次に、普通選挙の実施を上げました。この行政長官にしても、行政組織を選挙で選びたいということです。

飯田)民主的に選びたいということですね。

逃亡犯条例改正案を撤回~それでも香港のデモが止まることはない

集会に参加し、音楽に合わせてスマートフォンを揺らす生徒ら=2019年9月2日、香港(共同) 写真提供:共同通信社

香港の学生が望む普通選挙の実施は難しい

鈴木)5つのうち3つが叶えられたら考えてもいいと言うのだけれど、中国政府と行政組織が5つのなかでいちばんやりたくないのは、普通選挙でしょう。ここのトップが市民に選ばれたら、やりたいことができなくなるわけだから、デモは続くということですよ。根本的なところまで行きつかないのだけれど、普通選挙まで中国政府が腹を括って許可を出すと思いますか?

飯田)できないでしょうね。

鈴木)そうなると混乱はまだ続いて行って、表向きには世論を見ながら、引いたり押したりの駆け引きがあるのだろうと思います。

飯田)そして、10月1日には建国70年の国慶節を迎える節目になります。

鈴木)そこがポイントですよね。

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