香港、台湾の情勢は日本にとって対岸の火事ではない

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ニッポン放送「飯田浩司の OK! Cozy up!」(9月3日放送)にジャーナリストの有本香が出演。ソロモン諸島が国交断絶する方針を明らかにした台湾情勢について解説した。

ソロモン諸島が台湾と国交断絶か

太平洋の島国、ソロモン諸島が台湾との外交関係を見直し、中国との国交を樹立する方針を明らかにする可能性があるとロイター通信が2日、ソロモン議会幹部の話として報じた。

飯田)このところ、アフリカ開発会議(TICAD)をやっていましたが、それと並行して太平洋諸国とオーストラリアの会議がありました。オーストラリアバッシングのようなものが、その諸国からかなり出ていて、後ろに中国がという話もありました。

有本)「後ろにガッツリ中国が」ですよ。私もいま、いろいろな方から情報収集をしているのですけれども、私が出ているインターネット番組「虎ノ門ニュース」で、外務副大臣の佐藤正久さんをお呼びして「太平洋島諸国がいかに重要か」ということをやりました。いま、どれだけ中国がすごい勢いでここに触手を伸ばしているかということなのですが、ソロモン諸島で日本に関係のあるところと言えば、ガダルカナルがあります。ここにも中国は入り込んでいます。台湾はいま17の国とかろうじて国交がありますが、そのうちの6つの国が、この太平洋島諸国のなかにある。その1つがソロモン諸島なのです。もともと台湾が一生懸命、経済援助などをいろいろとやって来たのです。この国々、ソロモンは特にそうですが、国の議員の人たちが台湾系企業の人たちとつながっているのではないか、というような疑獄が言われています。そういうプロパガンダを煽っているのが中国だということも言えるわけです。いろいろな途上国の支配層にお金や利権を与えて、というのはどちらかと言うと中国の得意なところではないですか。では台湾と国交が切れて、中国と結んだらクリーンになるのかと言えば、ならないですよ。

飯田)より増すのではないかと、個人的には思いますね。

香港、台湾の情勢は日本にとって対岸の火事ではない

総統府で、海外メディアとの会見に応じる蔡英文総統=2019年1月5日 写真提供:産経新聞社

日本にとっても極めて重要なこと

有本)こういうニュースは日本にあまり伝わりませんが、日本にとっても極めて重要なことなのです。太平洋島諸国は、日本が歴史的にいろいろな関わり合いを持った国々が多いというだけではなく、日本にとっては縦のシーレーンなのです。日本はオーストラリアから鉄鉱石や石炭などを輸入しています。そういうものはここを通って来るのです。この辺りが中国に抑えられてしまうと、南半球の太平洋島諸国にある海の周りが、中国の海になってしまうということです。それだけではなく、いま宇宙空間を使ったいろいろなせめぎ合いがありますよね。それについて、ここを踏み台に使っているというケースもあります。こういうニュースは安全保障上、極めて重要なのですが、そういう観点では伝えられていません。

飯田)日本が発案したインドパシフィック戦略のキーになるところが、まさに縦のレーンの日本とオーストラリア、アメリカ、インドとなります。

有本)そして当然、台湾がそのなかに含まれています。太平洋島諸国は、南シナ海から太平洋までを扇状に見ることができる地域です。そういう意味では重要なので、日本はもっと台湾を応援しなければいけないのです。台湾が中国の手に落ちてしまうと危険だということだけではなく、地図上で言えばその下にある太平洋上の島々も、日本にとって大事だという感覚を持たないといけません。中国が台湾と国交を持っている国に対して攻勢をかけて、中国にひっくり返させるということは、これからも続くと思います。2020年1月に台湾で総統選がありますが、いまのところは蔡英文さんが有利のようです。

香港、台湾の情勢は日本にとって対岸の火事ではない

集会に参加し、音楽に合わせてスマートフォンを揺らす生徒ら=2019年9月2日、香港(共同) 写真提供:共同通信社

2020年1月に台湾総選挙~蔡英文氏がリード

飯田)香港での一国二制度は結局、一国1.5、一国1.2、いや1ではないか、という状況です。そんな中国と一緒にはなれないですよね。

有本)蔡英文さんもこのところアメリカに行って、台湾を守るためには1歩も退かないというメッセージを発するようなことをしています。そういう姿勢は民進党支持層でない人からも評価されています。

飯田)国民党は、韓国瑜(かん・こくゆ)さんという人がいます。

有本)韓国瑜さんは弱いのではないかと思いますね。

飯田)直前で差し替えもあるのではないかと。

有本)いまのところは、そうは言っていませんが。それから鴻海の会長、郭台銘さんは無所属で出るのではないかと言われています。ただ、無所属出馬はかなりハードルが高いので、実際に出られるかどうかはわからないですね。

飯田)蔡英文さんがもし厳しい選挙になるとしたら、台北の市長の柯文哲さんが出て、リベラルの票が割れるのではないかということも言われていましたね。

有本)言われていましたが、先週台湾で聞いたところだと、それでも柯文哲さんでは弱いのではないかという話ですね。これから台湾は2020年に総統選と立法院の選挙もあります。秋から選挙シーズンに突入することになりますが、やはり香港情勢が大きく影響しますね。

飯田)香港の学生たちを守るためには、中国に対してのプレッシャーも抑止力に使って行かなくてはいけないし、台湾を支えるということも日本にとって重要ですね。

有本)重要です。きょう香港で起きていることが、明日の台湾だと危機感を強めている。その危機感がないのが日本です。対岸の火事のように、香港頑張れという感じで報道されていますが、自分たちの身に置き換えるというところまでは来ていません。

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