米中貿易戦争がエスカレートするほど混乱する日本経済

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月2日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。エスカレートする米中の貿易戦争について解説した。

米中貿易戦争がエスカレートするほど混乱する日本経済

米中が制裁関税第4弾発動

トランプ政権は1日、中国からの輸入品12兆円規模の大半に15%の追加関税を課す、追加制裁第4弾の一部発動に踏み切った。中国政府も同じ時刻、およそ8兆円規模のアメリカ製品に5%か、10%の追加関税を課す報復措置の一部を実行に移している。

飯田)12月15日に残りを発動する見込みということです。

米中貿易戦争がエスカレートするほど混乱する日本経済

本格的な米中の貿易戦争はトランプ大統領の再選後から

須田)第4弾が発動される段階で、次の第5弾が決まっているという、非常に複雑な状況になっています。どんどんエスカレートして行く傾向ですが、重視していただきたいポイントは、トランプ大統領の対中政策はすべて来年(2020年)11月のアメリカ大統領選挙を強く意識しているもので、そこから逆算して進めているということです。ですから、これはまだジャブの打ち合い程度で、本格的な中国との貿易戦争は再選を果たしたあとに動いて来るのです。これだけで激しく反応していると、来年11月以降、またとんでもないことになるということです。

米中貿易戦争がエスカレートするほど混乱する日本経済

20カ国・地域(G20)首脳会議(大阪サミット)に出席するため来日した、中国の習近平国家主席(中央)=2019年6月27日午後、関西国際空港 写真提供:産経新聞社

敵は習近平氏だという本音を明かしたトランプ大統領のツイッター

須田)もう1点、注目していただきたいのは、8月23日のトランプ大統領のツイッターです。「私の唯一の疑問は、誰が我々にとって大きな敵なのか、ジェローム・パウエルなのか、もしくは習近平国家主席なのか」と言う文章。初めて「習近平国家主席が敵である」という認識を示したのです。このセンテンスはどちらかと言うと、パウエル議長への攻撃という意味合いで取るべきですが、ポロっと習近平氏は敵だということを言ってしまった。本音が垣間見えたのかなと思います。

飯田)いままでは確かに「中国は」とか、「中国が貿易赤字の元凶だ」ということを国単位では言っても、個人攻撃のような感じで習近平さんを出すことはなかったですよね。

須田)気が合うとか、仲がよいと言って来た。

飯田)どちらかと言うとそうですよね。

須田)交渉がうまく行った、などと言っていました。でも本音としては、やはり習近平さんを敵と認識しているのだなと、私は受け止めました。

飯田)なるほど。

米中貿易戦争がエスカレートするほど混乱する日本経済

日本経済にも大きく影響する米中の報復関税合戦

須田)そして、もう1つ注目していただきたいのは、第5弾として中国がアメリカに750億ドル相当の報復関税を決めた。それを受けてアメリカが、さらなる報復に打って出るという方針を決めたのが8月23日なのです。このときに何が起こったのかと言うと、中国とアメリカの報復関税合戦で、一旦株価が下落します。600ドル以上の急落になりました。NYダウはマイナス2.37%という大幅な下落でした。この日、8月23日にパウエル議長が演説を行って、利下げを示唆した。これを受けてまた株価が上がるという状況になったのですが、その直後にトランプ大統領が更なる報復関税を決めたものだから、また株価が下落するというシーソーゲームになり、そのときに日本の株価も合わせて下落をした。そして、世界経済へのリスクが色濃くなって来て、安全資産で円が買われて、一気に円高にシフトして行った。

飯田)ありましたね。

須田)1ドル105円ラインを割り込んで104円台に突っ込んだのが、この8月23日を巡っての動きでした。ですから、これは対岸の火事ではなく、日本経済に大きな影響を与えることなのです。円高方向にシフトする、あるいは株価が下落するというリスクも認識するべきではないかと思います。

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