安倍総理とザリフ外相が会談~日本が外交的に有利になるチャンス

タグ

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月30日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。28日に行われた安倍総理とイランのザリフ外相との会談について解説した。

日イラン外相会談 会談に臨むイランのザリフ外相(左手前から2人目)と河野太郎外相(右手前)=2019年8月27日午後6時2分、横浜市西区 写真提供:産経新聞社

安倍総理とイランのザリフ外相の会談~菅官房長官が中東の緊張緩和で意見交換と説明

菅官房長官は29日午前の記者会見で、28日に横浜市内で開かれた安倍総理とイランのザリフ外相との会談について、中東の緊張緩和と情勢安定化について意見交換を行ったと説明した。またホルムズ海峡でアメリカが参加を呼び掛けている、いわゆる有志連合構想については、「やりとりはなかったと承知している」とした。

飯田)有志連合は海洋安全保障イニシアチブだとか、最近名前が変わっているらしいのですが、総合的な判断をしたいということです。

宮家)公式な発表は、「さまざまな角度から検討を行い、総合的な判断をして行く。」要するにまだ決まっていないということです。考えてはいるのだけれど、まだ結論を出したくない、だから総合的に判断する。ちゃんと検討しているのかと、いろいろなところから見ていますよ、だけど決まっていませんよ、ということです。

会談を前に握手を交わすイランのザリフ外相(左)と安倍晋三首相=2019年5月16日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

いまが日本にとってのチャンス

宮家)私なりの注釈なのですが、「有志連合構想については、やりとりはなかったと承知している」と官房長官はおっしゃった。菅さんは会談はやっていないのだから「承知している」なのですが、有志連合の「やりとりはなかった」ことになっています。それはそれでいいのですよ。だけど、恐らくイランの外交筋はいろいろなメディアにこう言っているのでしょう。「外国部隊の駐留はホルムズ海峡の安全に寄与しない。中東の安定を更に危険にする」とね。

つまり、イラン側は「外国軍隊の駐留」の問題には文句を言っているかもしれないわけですね。「駐留」ということになると米軍が、少なくとも米海軍の第5艦隊がバーレーンにいるのですから。他にも空軍がカタールにいますが、その意味でも、イランがけしからんというのは米軍の話なのでしょう。だから、有志連合とは直接関係はないという説明は間違いではない、ということです。イラン側がどこまで言ったかは別として、内心は有志連合に参加するのは「やめてくれ」とお願いしに来たに決まっていますけどね。でも、よく考えてみれば、日本にとってはいいチャンスだと思います。

アメリカやイスラエルに「日本はイランと何をやっているのだろう」と思わせることが大事

宮家)イランも必死です。アメリカのこともある。私が外務省の担当者だったら、日本の外交努力をアピールします。もちろん向こうはハードボール、こっちはソフトボールですけれど。日本だってハードボールをやろうとは思っていないけれど、ソフトボールにはソフトボールなりのソフトパワーがあるので、私なら、そのソフトパワーをうまく使って各国と話し合いをします。アメリカやイスラエルの関係者は、「日本は何をやっているのだろう」と思うでしょう。でも、「何をやっているのだ?」と思わせるのが大事なのですよ。

飯田)それが大事なのですか?

宮家)当然です。外交では相手を裏切っては駄目ですし、嘘をついても駄目ですよ。だけど、「何をやっているのだろう。こいつは何かやっているのだろうな」と思わせるということは、「やはり日本にもちゃんとした情報を流して、もっと詳しく話をしないといけない」となるわけです。日本とアメリカとの関係や関連情報も、常に双方向で動いていますから、イランに適度に情報を流してやることによって、相手に不信感を持たせないようにすれば、これは意外と使えます。あくまでソフトパワーですけれどね。

ハードパワーの世界では、軍事力で介入したり「やるぞやるぞ」と脅すことも1つの外交だけれど、日本がそれを中東でやる必要はありません。私だったらそれ以外の方法でやると思います。「あれ、日本は何をするのだろう?」と関係国を心配させない程度に考えさせて、そのプロセスから必要な情報を引き出し、こちらからも適宜情報を出す。私はこれを「情報転がし」と呼んでいます。

飯田)なるほど。関心を向けさせるようなことをしなければいけないということですね。

宮家)疑心暗鬼にさせてはいけないけれど、「日本は無視できないな」と思わせれば、それなりに効果があると思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

ニッポン放送 ニッポン放送
Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.