韓国の“憎悪と成熟さの不足”が見える、朴槿恵前大統領の審理差し戻し

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月30日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。韓国の最高裁が朴槿恵前大統領の審理をソウル高裁に差し戻したニュースについて解説した。

韓国最高裁が朴槿恵前大統領の審理差し戻し

友人と共謀し、韓国最大の財閥、サムスングループなどから巨額の賄賂を受け取ったなどとして、収賄罪などに問われた前大統領の朴槿恵被告の上告審で、韓国最高裁は29日、二審判決を破棄し、ソウル高裁に審理を差し戻した。下級審の審理で法令違反があったと判断したためで、差し戻し審で朴被告の量刑が重くなる可能性がある。

飯田)財団などへの出資を強要した、あるいは崔順実(チェ・スンシル)被告という親友のお嬢さんの、馬術のための馬を買ったとか。

宮家)日本で差し戻しと言うと、刑が軽くなるか、もしくは下手をしたら無罪になることが多い。だから「朴槿恵前大統領、審理差し戻し」と聞くと、「お、何だ」と思いますよね。

飯田)思いました。

審理差し戻しで罪はさらに重くなる

宮家)だけど、実は逆なのですよね。どうやら併合罪というか、いくつかの罪を合併して量刑を決めたものを別々に計算しろということらしい。そうすると、量刑がもっと重くなる可能性があるということです。申し訳ないけれど、いままでの下級審の判断の方が極めて法律的だと思います。今回の最高裁の判断を見ていると、保守勢力に対する一種の「憎悪のようなもの」を感じるのです。これが最高裁のやることかなあと思いますが・・・。

飯田)この最高裁は、長官人事が文在寅政権になってからあって、下級審の判事だった人が…。

宮家)驚くべきことですが、政治的な理由なのでしょうね。

飯田)そう言われています。

韓国の“憎悪と成熟さの不足”が見える、朴槿恵前大統領の審理差し戻し

朴槿恵大統領の退陣を求める大規模集会がソウル中心部で行われる=2016年11月12日午後、韓国・ソウル 写真提供:産経新聞社

これでは誰も法を守らなくなる

宮家)韓国側の一連の動きは結局、1965年の基本条約の解釈を変えるということですから、とんでもない話です。こんなことをやっていて、韓国の民主主義は定着するのかとつくづく思います。韓国国内にはいろいろな意見があるかもしれないけれど、本来は、法的な安定性を体現する、それを具体的に示すのが最高裁の仕事だと思います。ところが今は最高裁が政治的に介入しているかの如く見られている。要するに法的安定性、法の支配についての敬意がないのですよね。そうなったら国民は誰も法を守らなくなりますよ。どうせ政治にやられてしまうのだろうと。

飯田)政権が変わったら、また判断が変わるのだろうと。

宮家)そんなことをやっていて、本当に民主主義的なプロセスがうまく機能するのですかね。韓国の方もよく考えた方がいいですよ。やはり法律がしっかりしていて、すべての人間が法の下に平等で、同じように扱われる。右も左もいるかもしれないけれど、それをやって初めて民主主義でしょう。これを忘れているのではないですかね。私は一種の憎悪というか、成熟さの不足というものを強く感じますね。

文在寅大統領の側近スキャンダルと重なるタイミング

飯田)この判断は、もともと9月に出るのではないかと言われていたのが、前倒しで出た。そのあたりが、いまの文在寅大統領の側近が崔順実さんの娘と同じように、不正入学をしたのではないかというスキャンダルと重なっています。

宮家)こんなことで目くらましになると思っているのかな。むしろ逆でしょう。最高裁が政治的に、しかも大統領の判断と呼応するが如く動くなんて。本来なら、そんな最高裁などありえないですよ。

飯田)かつての中世というか、絶対王政の時代に舞い戻ったかのような。

宮家)トランプさんも米国の最高裁に保守系判事を送り込もうとしているけれど、それは一定のルールに基づいてやっていますが、韓国の場合はルールがなさそうですね。

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