日韓問題はあくまで日韓で解決すべき

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月22日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。21日に北京郊外で開かれた日中韓3ヵ国外相会談のニュースについて解説した。

日韓問題はあくまで日韓で解決すべき

会談を前に記念撮影する(左から)韓国の康京和外相、中国の王毅外相、河野外相=2019年8月21日、北京郊外(代表撮影・共同) 写真提供:共同通信社

日中韓、北朝鮮非核化へ向け緊密な連携を確認

21日、中国の北京郊外で日本の河野外務大臣と中国の王毅外相、韓国の康京和外相の日中韓3ヵ国外相会談が開かれた。会談では、北朝鮮の完全な非核化に向けて緊密に連携する方針を確認するとともに、12月に開催を見込む日中韓首脳会議実現に向け、協力することで一致した。

飯田)外相レベルの3ヵ国会談は、2016年8月以来。ちなみに日中韓の首脳会談は、去年(2018年)5月に東京で開いたということです。日韓の関係を、中国が仲介しているように言う方もいます。

鈴木)そう見えるでしょう? それは果たしていいのでしょうか。中国が間に入って「日本、韓国仲よくしなさい」ではなく、日韓で対等に話を解決させるのがベストだと思います。日中韓の首脳会談が今年(2019年)12月だという方向で言われているけれど、その前に日韓で自主的に問題を解決するべきでしょう。時間的に難しいでしょうが、やらないよりはやった方がいいのですよ。平行線なら平行線でもいい。平行線にも、後ろ向きのものと前向きのものがありますから、次につながればいいと思います。

飯田)お互いに疑心暗鬼ではなく、言いたいことを言い合う平行線であっても、「こんなことを考えているんだ」ということがわかるだけでもいいですね。

鈴木)「外交は会うタイミングが難しい」と、外務省OBの方も言います。会わないことも戦術でありアピールであり、会わないことで次につながる場合もありますからね。難しい交渉術です。日中韓で確認したのは北朝鮮の非核化ということですけれども、北朝鮮問題が、これはこれで膠着している感じがありますよね。北朝鮮がどう見てもアメリカを向いているなかで、中国はいろいろな見方がありますが、やはり最後はバックアップをする。北朝鮮問題も扱いが難しくて、安全保障上、日韓が揉めているのはよろしくないと思います。まず日韓関係をしっかりと元に戻して、アメリカと組んで、いい意味での対立構造を中国と作る。そのなかに北朝鮮問題を持って来ないと、上手く利用されますよね。日本は北朝鮮と対話をしたいと言って、あんなにミサイルを撃たれても我慢しているわけでしょう。

飯田)3週間でミサイルを6発撃たれていますからね。

日韓問題はあくまで日韓で解決すべき

日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の式典で演説する文在寅大統領(韓国・天安)=2019年8月15日 写真提供:時事通信

日米韓でもう1度アジアの安全保障の基盤を固める必要がある

鈴木)本当ならもう少し強い声明を出してもいいはずだけれど、北朝鮮との対話の駆け引きをしているからか、日本もズバッと言えない状況がある。でも気を使いすぎると、結果的には北朝鮮に振り回されてしまうのです。もう1回、アジアの安全保障の構図を明確にする必要があります。つまり日米韓が1つになる。中国とロシアがいて、北朝鮮が真ん中にあり、そして北朝鮮をこちらに向かせて非核化にもって行く。中国も非核化と言えば反対はできないのだから、上手く巻き込む形にする。安全保障の構図をはっきりとさせたいですよね。そのためにも日韓が元に戻らないといけないのです。

飯田)この構図、北朝鮮は利用しているところがあるのかどうか。このところ報道されていますが、黒鉛炉から燃料棒を取り出すと、そこから核爆弾に使われるプルトニウムを抽出することができる。国際原子力機関(IAEA)の試算では、本当に取り出すことになったら、だいたい核爆弾1個~1個半は作れるのではないかということです。つまり衛星から見ていて、やっているということはわかっているわけですね。

鈴木)強かな北朝鮮は利用するでしょう。韓国も日本といま揉めているなかで、北朝鮮に一緒にやりましょうと言っていますよね。

飯田)光復節の演説などはそれでしたよね。

鈴木)そうなると、オリンピックも合同チームで参加するということにつながるかもしれません。韓国も北朝鮮に歩み寄って行ったら、北朝鮮に利用されるわけですよね。やはり、日韓がもう少ししっかりして、関係を戻して安全保障の対立構図を作ることです。対立はよくないことなのだけれど、しっかりとした構図を作ることが、その先の話し合いや北朝鮮問題を前向きに進めるベースになるのだと思います。

日韓問題はあくまで日韓で解決すべき

2018年10月30日、ソウルの韓国最高裁で行われた判決後に会見する元徴用工の李春植さん(中央) 写真提供:時事通信

韓国は方向転換できるのか

飯田)議院内閣制の日本のような国であれば、議会からというのもわかると思うのですが、韓国は大統領制ではないですか。大統領があそこまで舵を切ってしまった場合に、どこまで修正できるのでしょうか?

鈴木)お国柄ですから仕方ないでしょうが、大統領が逆に舵を切ることもできますよね。そうなれば一気に流れが変わるかもしれません。大統領の政治決断がどうなるのかということが、1つのポイントです。ただ、国内の世論やいろいろなことを考えると難しいでしょう。

日本が続けて来た「誠意」をもっと世界へアピールするべき

鈴木)いま、韓国は世界にいろいろとアピールをしていますけれど、日本もアピールをするべきです。通商交渉のことだけでなく、もしかしたら歴史認識のことも、日本はこれだけ誠意を尽くして来たのだというアピールを含めて、国際世論からプレッシャーをかけることが必要です。ここがいまは弱いかもしれません。日本は通商交渉だけでアピールしていますが、ずっと誠意を見せて来た日本の立場も合わせてアピールしていいと思います。根っこは徴用工だとか、戦争ではないですか。そこに対しての誠意は見せて来たわけですから。

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