何曲知ってる?雑学的「ゴッホがテーマの音楽」【雑学と音楽 ザツオン Vol.2】

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音楽にまつわる雑学を楽しむコラム【ザツオン】
今日はその第2回目

やってくれましたね!大関豪栄道の14戦全勝初優勝!かど番30歳大関の優勝を誰が予想していたでしょう、たいしたものです。
ノリにノッたアスリートの神かがり的な強さを知った秋場所でしたねぇ、ビクトリーナイトは後援会の皆さんと酒に歌に盛り上がったことでしょう。
お得意のカラオケ曲は長渕剛さんの「しゃぼん玉」らしいですね、ほほう。

さて、最近の角界の歌上手と言えば…勢でしょうね、やっぱり!
甘いマスクと甘い歌声で歌謡番組にもゲスト出演、東京芸大シンフォニーオーケストラと「相撲甚句」を共演したのは大相撲史上、いえ!世界初のビックリコラボレーションでした。
かつては、増位山「そんな夕子にほれました」(1974年)の大ヒット!この曲の作詞は先代林家三平師匠の奥様、海老名香葉子さんです。
そして、琴風「まわり道」等々の関取衆のヒット名曲がありましたね。
相撲ブームの昨今ですから、若い力士の誰かCDリリースいかがでしょう?

そう言えば…相撲と音楽で思い出したことありました!
元横綱/若乃花の花田虎上さんが土俵デビューしたばかりの若花田な時代、女性雑誌にインタビューされた記事がありました。ハッキリ覚えております。
Q:「お好きな音楽は何ですか?」
A:「マイアミ・サウンド・マシーン!」
ひええ!角界プリンス兄弟のアニは「コンガ」を聴いて四股踏んでるのか?!と、そんな妄想をしてしまったワタクシです。
かなり前置きが長くなりました。本題に突入いたします。

前回はゴーギャン絵のレコードジャケットについて記しました。
そこで、今回のザツオンのネタは…
1888年の秋、南フランス/アルルでポール・ゴーギャンと僅か2ヶ月間の共同生活を送ったオランダ生まれの“炎の画家”!そうです、フィンセント・ファン・ゴッホです!
この10/8(土)から12/18(日)まで東京都美術館で『ゴッホとゴーギャン展』が開催されています、ぜひ行きましょう!
そこで、今回は「ゴッホの音楽」について雑学考察です。

アメリカン・パイ,ドン・マクリーン

ゴッホを歌った名曲と言えば、そう!ドン・マクリーン!8分30秒の大河ロマン「アメリカン・パイ」(1971年)で全米1位!
のち2000年にマドンナもカバーして話題となりました。
ポップス史に燦然と輝く歴史的名曲を生んだシンガーソングライターです。
ロバータ・フラックに「Killing Me Softly With His Song/やさしく歌って」と狂おしく歌わせた With His Songの彼こそが…ドン・マクリーン、その人。
彼の代表作となったセカンドアルバム『アメリカン・パイ』のA面3曲目に収録されているのが「VINCENT」です。
ギターのアルペジオと共に歌われる歌詞、Starry Starry Night…♪♪
ゴッホの名作「The Starry Night:星月夜」からですね。

ゴッホ,星月夜

星月夜/フィンセント・ファン・ゴッホ

夏の日の夜、星の降る丘に落ちる糸杉の影とグルグル渦巻く雲のもと青い瞳の画家の苦悩と痛みに切ない想いを寄せる歌の主人公です。
いやはや、何も言えないシミジミな感涙の必聴名曲です。
90年代後半の懐かしきアメリカンドラマ『アリー my Love』ではキャリスタ・フロックハート扮する主人公アリー・マクビールの妄想ブレインと孤独ココロを反映した歌として取り上げられました。
サントラ盤ではヴォンダ・シェパードが歌っていましたね。
このドラマにも青年マルコム役で登場していたジョシュ・グローバンもデビューアルバム『ジョシュ・グローバン』(2001年)でカバー、ドラマチック名唱して売り上げ500万枚超えしました。

Josh Groban,ジョシュ・グローバン

そして、この名曲をカバーした日本人は…そう、矢野顕子さんですね!
岩合光昭さんパチリなニャンコ先生が見事なジャンプ!
28枚目のアルバムでカバー集である『音楽堂』(2010年)です。

音楽堂,矢野顕子

ドン・マクリーンのオリジナルとは趣の異なるピアノだけの弾き語り。
神奈川県立音楽堂でイッパツ録音のエンジニアが吉野金次さん!
モノクロからカラーへと変化していくような歌とピアノの響き、そしてラストは再びモノクロへと帰っていくような静謐さです。
この曲を何故ゆえカバーしたのかお聞きしたいです、矢野さんに。
また、元セルジオ・メンデス&ブラジル66の女性ボーカリストでハーブ・アルパートの奥方でもいらっしゃられるラニ・ホールもソロデビューアルバム『サンダウン・レディ』(1972年)でブラジリアンなサウダーヂ雰囲気の憂い満点カバーぶりもオススメです。
秋の夜長にゴッホへ想いを寄せて「VINCENT」を聴き比べるのも風流かと。

Other Roads,Boz Scaggs

ちなみに!前回ご紹介したマイケル・フランクスはアルバム『ブルー・パシフィック』(1990年)では名匠トミー・リピューマのもと「Vincent’s Ear」という変拍子ソングを。
また、伊達男ボズ・スキャッグスは『アザー・ローズ』(1988年)で「The Night Of Van Gogh」という甘いミディアムバラードを歌ってます。
間奏のデビッド・ペイチの流れるような鍵盤音色がアートでございます。

さて。新しき雑学もひとつ。
先日10/1うれしいニュースがありましたね!
2002/12にオランダ/アムステルダムのゴッホ美術館から強奪されていた絵画「スヘフェニンゲンの海の眺め」(1882年)「ヌエネンの教会から出る人々」(1884~85年)の2作品がイタリア/ナポリのマフィア関係者の村落で発見されたとのこと。
本物である鑑定結果も出たとのことで何よりです。いつの日か来日絵画してもらい鑑賞してみたいですね!

音楽のもうひとつの楽しみ方を暗中模索な『雑学と音楽 ザツオン』!
第2弾いかがでしたでしょうか?次回もお楽しみに♪

神部恒彦(a.k.a 北大路おさんどん)
1960年北海道生まれ。
1981年「オールナイトニッポン」のADとして放送業界で活動開始。
音楽やドキュメンタリーを中心としたテレビ・ラジオの構成/選曲を担当する。
1992年いったん全ての仕事を終了してシベリア鉄道で渡欧。
1年間に渡りフランス/スペインを拠点に欧州各国の景勝地や美術館を見て回る。
さらに渡米、自動車でアメリカ大陸を横断しながら様々な音楽聖地を巡って帰国。
幅広い音楽/雑学知識と好奇心でジャンルを問わない番組/イベント構成を手がける。
趣味:大相撲/F-1観戦、全国各地の居酒屋訪問と見知らぬ人々との会話。

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