森永卓郎が警告~新たな大学入学共通テストに「記述方式」はいらない!

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「垣花正 あなたとハッピー!」(8月7日放送)に経済アナリストの森永卓郎が出演。来年(2020年)度からセンター試験に代わり、新たに実施される大学入学共通テストの問題点について警告した。

来年度からセンター試験に代わって「大学入学共通テスト」が実施

受験生がいるご家庭にとっては身近な話題だと思いますが、大学入試のセンター試験が変わります。昔は「共通一次」と言っていました。私は共通一次を受けていない最後の世代です。1979年~1989年までは国公立の志願者を対象に共通一次試験というものをやっていて、1990年からそれがセンター試験になり、一部の私立の大学も参加を始めました。これが今度、新しくなるという話です。

国語と数学の問題がマークシート方式から記述方式へ

試験監督をするたびに試験問題を見ていますが、センター試験は物凄くよくできているのです。それをやめる理由は、現在のセンター試験はマークシート方式なのですが、マークシート方式だけだと知識偏重になるということだからだそうです。来年度から大学入学共通テストというものに代わり、考える力をテストするために、国語と数学に記述式の問題が出されるということがいちばん大きな変化です。考える力を見極めるには、文章を書かせる記述式でないとできないということで、最大120字で3問書かせるということです。

森永卓郎が警告~新たな大学入学共通テストに「記述方式」はいらない!

記述式だと採点者が1万人必要~足りないところは学生アルバイトに

「いいではないか」と思うかもしれませんが、大変なことが起こるのです。いまはマークシートですから、コンピューターが読めば一瞬で採点が終わります。それが記述式になるとどうなるかと言うと、人間が採点しなければいけません。しかも、時間は限られています。2週間で採点を上げなければいけない。そうすると、文部科学省は1万人の採点者が必要になります。1万人も大学教授はいません。足りないところは大学生にバイトでやらせると言っているのです。

森永卓郎が警告~新たな大学入学共通テストに「記述方式」はいらない!

採点基準は人によって違う~その違いが生む不公平

大学生にバイトでやらせるということも問題なのですが、そもそも、この記述式をいろいろな人間がやると不公平になるのです。採点基準が人によって違うからです。私は大学生のときに、赤ペン先生というアルバイトをしていました。そのときに本部と採点方針が合わなくて、大喧嘩をしました。私は、どちらかと言うと発想豊かな「変な奴」を高く評価する傾向にあるのです。面白いことを書いていると、つい点数をあげてしまいたいのですが、本部は違うわけです。それで本部と喧嘩してクビになりました。
そこまで極端ではなくても、個人差をなくすことはできないのです。人間だから、もちろん点数が甘い人もきつい人も出て来ます。しかし、これを全て大学教員にやらせればいいかというと、そうでもないのです。個人差だけではなく、個人内にも差があるからです。
300人規模の大教室の採点をやっていると、何日もかかります。そうすると、最初に採点したときと自分のなかで採点基準が変わって来て、最後のほうになると違う基準になってしまうのです。いちばんいいのは、1人の人が基準を見ながら全部採点することですが、そんなことができるはずはありません。しかしバラバラにやると、とんでもない不公平が起こってしまう。共通テストなのだから、そこに不公平が生まれない方がいいのですよ。

森永卓郎が警告~新たな大学入学共通テストに「記述方式」はいらない!

記述方式のものは二次試験でやるべき

共通テストは50万人規模の人が受けるわけですから、もし本当にどうしても記述式を入れるのだったら、人間が採点するのをやめて人工知能に採点させるくらいのことをしないと、公平さは担保できないでしょう。でも、いまからそれをやるのは無理です。
前の会社の最終面接のときに、2人の部長が大喧嘩をして「こいつは面白いから採用しよう」と言う部長と、「こんなやつを採用したら会社が崩壊する」と言う部長がいました。それがセンター試験となると、同じ土俵で平等にというところの、いちばん最初にふるいにかけられる部分です。だから、記述方式のものは二次試験でやれよ、という話です。

森永卓郎が警告~新たな大学入学共通テストに「記述方式」はいらない!

選択肢を増やしてマークシート方式でやる方法

いまのセンター試験が単に知識を問うだけの問題かと言うと、そんなことはありません。私は全部見ていますから、考えて結論を導き出さないと答えられないような問題がたくさん入っているのです。マークシート式の批判の1つは、たまたま当たってしまうという運が介在することです。
いま、私の試験で何をやっているかと言うと、選択肢を多く作るのです。3択だと当たる場合があるから、20択くらい選択肢を作ります。運ではほとんどカバーできません。運が介在する要素があると言うのならば、選択肢を増やす方法もあるということです。
このようにして、いまの試験の枠組みのなかで工夫すれば、何も問題はないと思うのです。40年近くにわたって積み上げられて来たものを壊すのは、いかがなものかと思います。何をもって「考える力」とするのか、微妙なところでしょう。

垣花正 あなたとハッピー!
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ふつーの男・沖縄県宮古島出身の垣花正がお届けする、ニッポン放送が自信と不安をもってお送りする朝のワイド番組!レギュラー・ゲストとのコンビネーションもバッチリ!今の話題をハッピーにお届けしていきます!

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