絶望のなかですがる心とは? 【瀬戸内寂聴「今日を生きるための言葉」】第64回

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人間は不完全なものです。医者も新発明の薬も全能ではありません。医者に見放された患者が、信心して健康になった例もあります。
しかしそれを信心したから霊験(れいげん)で救われたと短絡して考えるのはどうでしょう。
医者に見放された患者は絶望的です。絶望のなかでこそ人のはからいの外のものにすがる素直で純な心が生まれ、心の絶望に光りがさし、生きようとする活力が生まれます。人間に眠っていた自然治癒力が活発になってくるのです。

瀬戸内寂聴

瀬戸内寂聴プロフィール

撮影:斉藤ユーリ


出典:『生きる言葉 あなたへ』光文社文庫