名匠ヴィム・ヴェンダース監督が描く“未知の領域”

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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第664回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。支配人の八雲ふみねです。シネマアナリストの八雲ふみねが観ると誰かにしゃベりたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

 

今回は、8月2日公開の『世界の涯ての鼓動』を掘り起こします。

名匠ヴィム・ヴェンダース監督が描く“未知の領域”

アリシア・ヴィキャンデル × ジェームズ・マカヴォイ、狂おしくも切ないラブサスペンス

フランス・ノルマンディーの海辺に佇むホテルで出会った、ダニーとジェームズ。わずか5日間で情熱的な恋に落ち、互いが生涯の相手であることに気づいた2人だったが、ともに過ごすことはできなかった。

生物数学者であるダニーにはグリーンランドの前人未到の深海に潜り、地球上の生命の起源を解明する調査が、そしてMI-6の諜報員のジェームズには南ソマリアの無法地帯に潜入して爆弾テロを阻止するという任務が待っていたからだ。

あるとき、ダニーは潜水艇が海底で操縦停止となる事態に遭遇。そしてジェームズはジハード戦士に拘束されてしまい、それぞれが絶体絶命の死地に立たされてしまう。果たして2人は、この極限の状況を抜け出し、最愛の人に再び会うことができるのだろうか…。

名匠ヴィム・ヴェンダース監督が描く“未知の領域”
来年(2020年)で長編映画監督デビューから50年目を迎える、ヴィム・ヴェンダース監督。

カンヌ国際映画祭でパルム・ドールに輝いた『パリ、テキサス』、同じくカンヌで監督賞を受賞した『ベルリン・天使の詩』、そして世界的に絶賛されたドキュメンタリー『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』など、映画史に刻まれる傑作を世に送り出し続ける名匠が新たな傑作を完成させました。

名匠ヴィム・ヴェンダース監督が描く“未知の領域”
生物数学者のダニーには、『リリーのすべて』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したアリシア・ヴィキャンデル。そしてMI-6の諜報員ジェームズ役に、『X-MEN』シリーズで人気を博したジェームズ・マカヴォイ。

ロマンティックなノルマンディーの海岸に佇む2人の姿はこのうえなく美しく、彼らの出会いと愛のきらめきを鮮烈に描き出しています。

名匠ヴィム・ヴェンダース監督が描く“未知の領域”
一見するとラブストーリーのようですが、生物数学者と諜報員の目から語られる世界の情景は実に新鮮。テロリストの描き方さえも決して“一方的”ではなく、人間のさまざまな視点を描いていることに驚かされるばかり。

理不尽とも思える紛争地帯と、暗い深海の底。遠く離れた場所だけれども、世界はつながっている…。まるで美しい叙事詩に触れたかのような豊かな余韻に浸れる1作です。

名匠ヴィム・ヴェンダース監督が描く“未知の領域”
『世界の涯ての鼓動』

2019年8月2日(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:ジェームズ・マカヴォイ、アリシア・ヴィキャンデル、アレクサンダー・シディグ、レダ・カテブ、アキームシェイディ・モハメド
(C)2017 BACKUP STUDIO NEUE ROAD MOVIES MORENA FILMS SUBMERGENCE AIE
公式サイト http://kodou-movie.jp/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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