森永卓郎が提案~こうすれば年金問題は解決する

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「垣花正 あなたとハッピー!」(7月31日放送)に経済アナリストの森永卓郎が出演。参議院選挙の前、老後資金が2000万円不足すると騒がれたが、年金問題に関しては解決されないまま。年金のあるべき姿とは何なのか、森永卓郎が持論を展開した。

参院決算委員会で答弁を行う麻生太郎副総理兼財務相=2019年6月10日午後、国会・参院第1委員会室 写真提供:産経新聞社

いまの公的年金だと2065年には40%支給額が減る

いまの公的年金は賦課方式と言い、現役の人たちが年金保険料を払っています。それをお年寄りで山分けするという仕組みになっているのです。いまは現役世代2.1人で1人のお年寄りを支えていますが、いまの大学生が高齢者に入る2065年には、1.3人で1人のお年寄りを支えなくてはいけなくなる。2.1人分の保険料であったものが、1.3人分しか、山分けの原資がなくなるのです。そうなると、年金制度は破綻しませんが、いまの40%くらい減ってしまうのです。

夫婦で一月23万円が13万円に

さすがにいまの6掛けだと、食えない。具体的な金額で言うと、40年間フルにサラリーマンを務めた人で、そこまで行っている人は少ないのですが、いまは夫婦2人でフルに年金が出ると一月23万円くらいです。それが13万円くらいになってしまうわけです。これではまずいということで、今回の参議院選挙でも各党は「こうしたらいいのではないか」という提案をしています。

各党の年金案~政府与党「みんな70歳まで働こう」

ここで各党の提案はどうなのかを整理してみます。政府与党は「全世代型社会保障」と言っています。これは、働いている期間を延ばせば、保険料を払う期間も伸びます。そしてもらう期間は減る。そうすれば辻褄は合うのです。政府与党等は、65歳の支給は変えないのだけれども、70歳までの継続就業を目指す。「支給を70歳まで繰り延べる」とは言っていませんが、70歳まで働き続ければ、もらうのは70歳からになります。70歳まで働くかどうかは本人の選択にしましょうということです。これは論理整合的なのですが、本当に好きな仕事ができて70歳まで働くのならばいいけれど、みんなが好きな仕事をできるということではありません。私の友人が一昨年(2017年)から去年(2018年)にかけて一斉に定年になったのですが、私が見ている限り、7~8割の人はお金のために働いています。

日本維新の会「積立方式」~年間22兆円の財源が必要

日本維新の会は、公的年金を賦課方式から積立方式に変えようと言っています。自分が払った保険料が自分に返って来るということです。自分のために収めるのであれば、若者の年金は減らないわけです。これは筋は通っているのですが、莫大な財源がかかります。とても乱暴な推定をすると、いまの1人当たりの年金給付額を下げない前提で65歳支給を守ると、2051年には、22兆円ものお金が必要になります。どのくらいの金額かと言うと、所得税と消費税の税収がそれぞれ20兆円なので、それを超えるくらいの財源が必要になります。

就職氷河期世代の非正社員の年金受給額は月4万円

もう1つ問題なのは、ロスジェネと言われている小泉構造改革以降くらいの就職氷河期に就職した人はいまなお、40%が非正社員なのです。非正社員は厚生年金に入っていません。ほとんど国民年金で、国民年金もこのまま行くと3割くらい減ります。そうすると、月4万円くらいになってしまいます。4万円で食えますかという話です。これでは生活保護が増えて行ってしまいます。

社民党「1人8万円給付」~財源に34兆円

社民党は「基礎的暮らし年金」というものを創設すると提案しています。これは1人月額で、一律8万円を給付するというものです。財源は税金と企業負担なので、年金保険料を払ったかどうかは一切問わない。これは年金を存続するかどうかという細かいところまでは踏み込んでいません。夫婦で16万円が入るわけですから素晴らしいのですが、これには年間34兆円もお金がかかります。

日本共産党「5万円の最低保証に上乗せ」~財源に24兆円

日本共産党は、2階建ての年金にして月5万円は最低保証する。この金額は社民党よりも低いのですが、その上に支払った保険料に応じて、年金を上乗せする。例えば国民年金で40年間働いた人は、月8万3千円の年金を固定で受給できる。このやり方でも、年間24兆円の財源が必要になります。

改革の制度設計を明らかにしていない立憲民主党と国民民主党

いちばんの問題は、立憲民主党と国民民主党です。特に立憲民主党は年金2000万円不足問題で、強く政府を追及したのですが、具体的な年金制度の改革の制度設計を明らかにしていません。これは党が議論するものではなく、国会全体で議論するものだと言っていますが、とりあえず自分ところの案を出せと私は思います。

財政赤字を年金の最低保証に充てれば財源の確保はできる

私はもうここで財政の基準をMMTに切り替えて、財政赤字を出し、その財政赤字を年金の最低保証に入れるのがいちばん現実的だと思います。MMTというのはいま、政府は財政収入と財政支出が均衡するようにしましょう、そしてその赤字を拡大するのはよくないですよ、というように考えている。ところが、国は通貨発行益というものを手にすることができるのです。例えば1万円札の印刷費は20円ですが、1万円で流通します。ということは、9980円の儲けが出るわけです。それを日銀が国債を買ってしまって、紙幣にすり替えるということをやると、それがすべて通貨発行益という利益になります。安倍政権時代だけで、400兆円近くこの通貨発行益を出しています。通貨発行益を年金財源につぎ込めばいいのですが、この財政収支均衡ということを国民が思い込んでしまっているのです。借金を増やして行くと何が問題かと言うと、インフレになってしまうのです。それは困る。だから、たとえば2%や3%などという基準を決めて、そのインフレ率に達するまでは財政赤字を出していいとするのです。財政収支均衡という基準から、インフレ2%というところに基準を変えると、とてつもない金が出て来る…それを年金の財源に充てるしかないのです。

垣花正 あなたとハッピー!
FM93AM1242 ニッポン放送 月-金 8:00-11:30

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