北朝鮮が弾道ミサイル2発を発射~核開発をやめる気がない北朝鮮

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月26日放送)に外交評論家でキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。25日、北朝鮮が新たな種類の短距離弾道弾を発射した事態について解説した。

北朝鮮が弾道ミサイル2発を発射~核開発をやめる気がない北朝鮮

4日、朝鮮東海の海上で行われた前線・東部戦線防護部隊の火力攻撃訓練を指導する金正恩朝鮮労働党委員長=2019年5月4日 写真提供:時事通信

北朝鮮はアメリカの足元を見ている

北朝鮮は25日午前5時34分と57分に東部、虎島(ホド)半島付近から日本海に向け、ミサイル2発を発射した。韓国政府によると新たな種類の短距離弾道ミサイルと見られ、韓国軍の分析ではいずれも高度50キロほどで、1発目はおよそ430キロ、2発目は690キロほど飛行し、日本海に落下したということである。北朝鮮としては8月に予定されている米韓合同軍事演習に反発するとともに、非核化を巡る実務者協議の再開を前に、アメリカをけん制する狙いがあると見られる。

飯田)発射を受けて発言する安倍総理大臣と、菅官房長官の音声をお聞きください。

安倍総理)我が国の安全保障に影響を与える事態ではないことは確認をしております。

菅官房長官)政府としては情報収集・分析に努めております。さらに我が国の領域やEEZ内に弾道ミサイルの飛来は確認されておらず、現時点においての我が国の安全保障に直ちに影響を与えるような事態は確認されておりません。

飯田)金正恩朝鮮労働党委員長がこの発射を視察していたと、朝鮮中央通信が報じているということです。
宮家)このミサイルは低い高度を保って、突入する直前にバーンと急上昇してから目標に到達するようです。捕捉が難しいために、迎撃が難しくなるのではないかと言われています。もともとはロシア製のイスカンデルという新しいミサイルです。半分弾道ミサイルで、半分が巡航ミサイルのような感じのもののようです。

飯田)バーンと上に上がったあとは弾道的に飛んで、自由落下ということでしょうね。

北朝鮮が弾道ミサイル2発を発射~核開発をやめる気がない北朝鮮

南北軍事境界線がある板門店で握手するトランプ米大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長=2019年6月30日(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

核ミサイルの開発を続けたい北朝鮮~トランプ大統領は強い反応はしない

宮家)とにかく普通の飛び方ではないのです。ですから普通のレーダーで追跡しても、精度が甘いと捕捉が難しいということなのでしょう。この事態を読み解くのは非常に簡単です。北朝鮮は核開発をやめる気はない。ドンドン新型を作っているわけですから。ということは、米朝の協議でも妥協する気はないということですよね。立場は全然変わっていません。

それから、米韓軍事演習はけしからんと言っているけれども、北朝鮮からすれば米韓が本気で演習すると、一応は真面目に対応しなければならないのです。向こうから飛行機が飛んで来ると、北朝鮮としても飛行機を飛ばさなければならない。でも戦闘機を飛ばすにはとてもお金がかかるのですよ。だから本当はやって欲しくない。これは一種のいちゃもんですよね、軍事演習をやるのは当たり前ですから。本音はミサイル開発を続けたいということだと思います。残念ですが、何らいい方向には向かっていない。確かに直近では日本にとって脅威はないかもしれないけれども、中長期的には非常に問題になると思います。

飯田)トランプさんは基本的に金正恩氏に対して、いまは厳しいことを言わなくなっていますが、今回のことについてどういう反応を示しますかね。

宮家)無視でしょう。彼の発想はICBM(大陸間弾道ミサイル)がなければいい。アメリカに飛んで来なければいい。では日本に飛んで来ていいのかというと、そういうわけではないけれど、彼らからすればとりあえず北朝鮮との関係ではICBMのところで線を引いて、そこまで行かないのであれば大目に見るというか、様子を見る。それよりも非核化の具体的な歩みを、1歩でも2歩でも先に進めたい。その方が効果的だと思っているのでしょう。だからトランプ大統領は、今後もあまり強い反応はしないと思います。

飯田)そうなると北朝鮮が瀬踏みしている感じで、このぐらいだったらいいのだろうと、どんどんエスカレートして行くことになりませんか?

宮家)いままで対応していないわけだから、当然やらせてくれるよねと、北側は大胆にやっているわけです。これで非核化なんてやると思いますか?

飯田)これだけミサイルを飛ばしていると…。

宮家)大事なところは全部温存して、破棄できるもの、もしくは急ぐ必要のないもの、ICBMなどは止めることができるかもしれないけれども、本当に重要な中距離、短距離の核弾頭ミサイルについて北朝鮮は譲歩しないと思います。彼らは既に持っているのだから。何ら新しい状況ではない、むしろ悪化していると思います。

飯田) この先の日本も含めて東南アジア、ASEANの地域フォーラムがあって、これまでは北朝鮮も外務大臣などが来ていたという話ですけれど、今回は欠席するそうです。

宮家)そうですか。

飯田)「北朝鮮、不参加か?」というようなことを、会場となるタイの外務省が明らかにしています。北朝鮮側から通知があったということです。

宮家)それでは、ますますやる気がない。厳しく出て来ることはないと、アメリカの足元を見ていますね。昔は「最大限の圧力を」と言っていましたが、いまアメリカはイランに対してやっています。北朝鮮は核を持っているからかどうかは知らないけれども、そうなるとペースは北朝鮮が作っている感じがしますよね。本当は逆でなくてはいけないのですがね。

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