参院選が終わり、総選挙政局に突入~安倍4選は

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月25日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。参議院選を終え、今後の政局がどうなって行くのかについて持論を展開した。

参院選が終わり、総選挙政局に突入~安倍4選は

【政治 安倍晋三首相会見】会見にのぞむ安倍晋三首相=2019年7月22日午後、東京・永田町の自民党本部 写真提供:産経新聞社

鈴木哲夫の参院選総括~今後の安倍政権はどうなる

飯田)21日に投開票の参議院選挙。その結果を受けて、今後の政局はどうなって行くのか。自民党は比例代表と選挙区を合わせて57、非改選議席の56と合わせて113という結果になりました。今回の選挙はどうご覧になりますか?

鈴木)大げさな言い方をすると、参議院選挙が終わった直後から、総選挙政局に突入しているのです。

飯田)総選挙政局に突入。

参院選が終わり、総選挙政局に突入~安倍4選は

いったいどこが勝ったのかわからない今回の結果~「勝った実感がない」自民党

鈴木)ここには当然、安倍さんが4選を狙うのではないかということも密接に絡んで来る。そういう政局に突入したと言っていいと思います。どちらにしても参議院の総括として言うと、自民党のかなりの幹部の方が私に言ったのは、「勝ったと皆さんは言っていますが、勝った実感がない」と。確かにそうなのですよ。自民、公明という連立与党では過半数を獲った。参議院では安定します。そういう意味では与党の勝利です。ですが自民党を単独で見ると議席を減らしていて、自民党単独では過半数はありません。法案を1つ通すにしても、公明党の協力が必要になる。そうなると公明党の発言力が強くなる。憲法改正はいま、公明党は慎重ですよね。するとどうなのかという状況になって来る。公明党は目標の14議席を獲りました。投票率がかなり低かったので、組織票としてはそれなりに比率が高くなった。14人当選しましたが、比例では700万票を切っています。この700万票というのは公明党の絶対的なラインなのですが、切ってしまった。公明党も実は組織力の再建が必要になっている。野党の立憲は増やしたと言うけれども、いままでが少なかったので増えるのは当たり前です。これを勝利と言えるのかどうか。国民民主党はなかなか厳しい戦いだったということでいくと、いったい誰が勝利なのかということになって来ます。自民党の幹部が言う「実感がない」とはまさにそこであって、いろいろな切り口ができますが、それをどのように活かすかで、次の総選挙を含めて政局が決まって来ます。こんなところだと思います。

飯田)1人区で見ると、32ある1人区で与野党激戦と呼ばれていたところや、東北ではかなりひっくり返りましたね。

参院選が終わり、総選挙政局に突入~安倍4選は

安部4選を考えると、解散総選挙は来年の秋ごろか~菅氏の動きは

鈴木)最初の4月~5月くらいまでは今回、1人区はほとんど自民党が獲れるだろうと、自民党の調査でもそう分析していました。落としても3つか4つくらいを落とす程度かなと。でも実際は10落としています。2000万円問題や秋田のイージス・アショアが逆風になって、1人区はオセロのようにバッとひっくり返ってしまうので、そうなってしまった。ここで2桁、10落としたことは、幹部の方も痛いと言っていました。今後、解散総選挙はいつかということになって来ますが、早ければ9月だという説もあります。しかし、あくまでも僕個人の取材の感じでは、来年(2020年)の秋ではないかなと思います。

飯田)オリンピック、パラリンピックが終わった後。

鈴木)オリンピックムードが残っていますので、消費税ショックみたいなものもそのころは薄まっている。たとえ引きずっていても、経済政策を延長して打って行けば何とかなる。ポイントは、安倍さんが4選を狙うかどうかです。4選に関しては安倍さんの側近もやると言う人と、やらないと言う人の真っ二つです。安倍さんの心は分かりません。ですが、4選ということを考えれば今年(2019年)の9月は少し早すぎます。つまり2021年9月が総裁任期ですよね。4選を確実にするには、喫緊の総選挙で大勝しなければならない。選挙に強い、勝つということが大きな口実になるわけです。そうなると今年の9月は早すぎますよ。

飯田)任期まであと2年ある。

鈴木)もう1回くらい選挙をやらなければいけない。もう1度選挙を行うということはリスクがあります。そうなると、ワンチャンスということで来年の秋くらいかなという気がするのです。そこまでに求心力を高めて、政権を維持し、内閣改造などを行って新しい風を入れたり、あとはポスト安倍の動きが出ないように封じ込める。そういう人事になるのではないかと思います。

参院選が終わり、総選挙政局に突入~安倍4選は

新元号を発表する菅義偉官房長官=2019年4月1日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

岸田氏の生き残る道は麻生氏と合流しての大宏池会

飯田)ポスト安倍で行くと今回、岸田派が4つ落としてしまった。岸田会長の地元の広島でもある意味、自分の手下の溝手顕正さんが落ちてしまった。これはかなり痛手になるのではないかという新聞記事も出ています。

鈴木)正確に言うと、岸田さんの力に陰りが見えはじめたのは、去年の総裁選に出なかったあたりからです。あそこで、派閥のなかでも決断できないではないかと。その延長線上にずっとあると思います。おっしゃるように今回の選挙では、岸田派が目立って失敗をしてしまいました。そういう意味では岸田さんの影響力は少し求心力が落ちている。しかし、岸田さんには起死回生策が1つある。それは麻生さんとの合流です。つまり、大宏池会です。これをやれば大宏池会の総裁候補はまず岸田派となります。そして若手の河野太郎さんとの2枚看板。こういったことで挽回して行くしかないのかなと見る人もいます。でも僕は、このまま単独で岸田さんが行っても選挙で負けているので、どうやって行くのかなという感じはします。

飯田)例えば谷垣さんのグループも、もともとは同じでしたけれども。

鈴木)そこも一緒になれば第一派閥になってしまったり。一方で二階派は、菅さんを取り込んで菅さんと一緒にやろうではないかと言う二階派の幹部もいます。

飯田)広島で勝ったほうの河井さんを、激しく応援したのは菅さんだった。

鈴木)令和の会見以来、令和おじさんではないですけれども、ポスト安倍の声も出て来ている。二階派と一緒に菅さんには30人くらいの無派閥もいます。もし一緒になったら、これも第一派閥かもしれないという動きも出て来ます。参議院選挙が終わって、次の安倍4選はどうなるか。この間にこういう政局が、自民党のなかでも始まって来る。そんな状況になるのではないかと思います。

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