今後も続くアメリカとイランの緊張状態~鍵を握るトルコの存在

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月22日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。ホルムズ海峡で航行中だったイギリスのタンカーがイランによって拿捕された事件が持つ意味について解説した。

軍事演習に参加した、革命防衛隊の海軍コマンド部隊(イスラム革命防衛隊-Wikipediaより)

イギリスのタンカー拿捕によりヨーロッパからも非難が相次ぐ

ホルムズ海峡で19日、イランの最高指導者直属の革命防衛隊は漁船と衝突事故を起こしたことを理由として、イギリスのタンカーを拿捕した。これに対しイギリスは直ちにタンカーを解放するよう求めたほか、ドイツ・フランスもイランを非難する声明を相次いで発表し、反発が広がっている。

飯田) 日本時間の20日午前0時頃ですが、イギリス船籍のタンカーがホルムズ海峡を航行中に複数の小型艇とヘリコプターに囲まれた後、連絡がとれなくなったということです。

須田)漁船と衝突事故を起こして当て逃げしたということが理由なのですが、それに対して革命防衛隊が出て来たのは、いままでと状況が違うと思います。これによってイラン核合意が完全に崩壊したと私は見ています。アメリカは離脱しましたが、とは言ってもイラン核合意とは、フランス・ドイツ・イギリスが一定程度のイラン産原油を購入し続けていることによって、何とか維持できるベースがあるのです。ところがフランス・ドイツ・イギリスはもうイラン産原油を買っていないのです。一説によると現在、イランの原油の売却量が50万バレル程度まで落ちて来ている。これはピーク時の4分の1程度です。そうするとイランの財政、経済がもたない状況になって来て、政府収入が5割を切り、インフレも相当進んでいます。国内経済が大混乱に陥りつつあって、イラン国内では生活できるだけのお金が稼げないものだから、近隣諸国に出稼ぎに行くという状況も起こっています。これが続くと現体制が崩壊しかねない。現在の体制が崩壊しかねないということは、この状況はアメリカの狙いなのではないかというように、イランは考えていると思います。

火災発生後の「コクカ・カレイジャス」。左側円が損傷箇所、右円は吸着水雷の不発弾とみられる物体(2019年6月ホルムズ海峡タンカー攻撃事件-Wikipediaより)

マキシマム・プレッシャー・キャンペーン

飯田)現体制というのは、大統領にロウハニさんがいますが、この場合はハメネイ最高指導者体制ごと崩壊ということになる?

須田)ハメネイ師ごと体制が崩壊しかねない、いまはその瀬戸際まで来ています。是非このキーワードを覚えていただきたいのですが、トランプ大統領の戦略「マキシマム・プレッシャー・キャンペーン」、つまり最大限の圧力戦略です。最近は融和傾向が進んでいますが、これは最近まで中国や北朝鮮に対して取っていた態度と同じです。アメリカはイランに対して一生懸命プレッシャーをかけているのです。結果的にそれを受けて、イランが暴走しかかって来ているのが現状です。アメリカの狙い通りに進んでいる。今後はイランが交渉の窓口を開いて、トランプ大統領との交渉が開始されれば、また事態は別です。でなければ今回の緊迫は、体制崩壊が行きつく段階まで続いて行く可能性もあります。

飯田)北朝鮮に対してマキシマムにプレッシャーをかけた後に、急転直下で米朝首脳会談がありました。それは韓国が間に入ったか入っていないかということも言われますが、そういった橋渡し役が出て来たり、あるいは最高指導者自らが動くというようなことは、イランでは考えづらいのでしょうか?

2017年のエルドアン(レジェップ・タイイップ・エルドアン-Wikipediaより)

今後も緊張状態が続く~鍵を握るのはトルコの存在

須田)先般、安倍首相がイランに行って、首脳同士の会談を行いました。ただこれも、日本のタンカー攻撃によって水泡に帰してしまいました。いまはイラン側がトルコに働きかけをしているというのが実態です。G20で殆どの日本のメディアが注目しませんでしたが、トランプ大統領とトルコのエルドアン大統領との会談が開かれました。その詳細は伝わって来ていません。私も来月(8月)ワシントンに行って取材をして来ようかなと思っています。これが肝ですよ。G20ではトランプ・習近平会談ばかりスポットライトを浴びたけれど、実はトランプ・エルドアン会談というのも重要な意味合いを持っているのです。

飯田)トルコはロシア産のミサイルを入れるなどして、アメリカとの関係は微妙だとも言われています。でもここは、橋渡しにはなるということでしょうか?

須田)S-400を入れることを決定して、アメリカ議会の方はトルコに対して「制裁!」と、強硬策を望んでいますが、それをトランプさんが押しとどめています。

飯田)いまは、そういうところまで至っていない。使い勝手があると思っている。

須田)そうです。「トルコカード」をトランプさんは考えている、ということだってあるのではないかと思っています。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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