ロバート・レッドフォードが俳優引退作で“伝説の銀行強盗”を演じた理由

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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第653回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。支配人の八雲ふみねです。シネマアナリストの八雲ふみねが観ると誰かにしゃベりたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

 

今回は、7月12日に公開された『さらば愛しきアウトロー』を掘り起こします。

ロバート・レッドフォードが俳優引退作で“伝説の銀行強盗”を演じた理由

『さらば愛しきアウトロー』

すべての映画ファンに贈る、ロバート・レッドフォードという生き様

ハリウッド屈指の名優ロバート・レッドフォード。『明日に向かって撃て!』(1969年)、『スティング』『追憶』(1973年)など、数々の名作に出演するだけでなく、インディペンデント映画の祭典であるサンダンス映画祭を主宰するなど、映画界における彼の功績には多大なるものがあります。

そんなロバート・レッドフォードの最新作にして、自身の俳優引退作と公言している『さらば愛しきアウトロー』が日本でも公開となりました。

ロバート・レッドフォードが俳優引退作で“伝説の銀行強盗”を演じた理由

『さらば愛しきアウトロー』

すべての時代に名作を刻み続けて来た銀幕スターが最後に演じたのは、実在した伝説のアウトロー。16回の脱獄と銀行強盗を繰り返し、誰ひとり傷つけなかった紳士の“ほぼ真実の”物語です。

ロバート・レッドフォードが俳優引退作で“伝説の銀行強盗”を演じた理由

『さらば愛しきアウトロー』

1980年代、アメリカ。ポケットに入れた拳銃をチラリと見せるだけで目的を遂げる、74歳の銀行強盗フォレスト・タッカー。彼は強盗と言いながらも、発砲もしなければ暴力も振るわないという紳士的で風変わりな犯行スタイルの持ち主だ。

被害者であるはずの銀行の窓口係や支店長でさえ、彼のことを「紳士だった」「礼儀正しかった」と褒めそやす始末。そして事件を担当したジョン・ハント刑事ですら、追いかければ追いかけるほど、彼の生き方に魅了されて行く。

そんななか、フォレストは仲間のテディとウォラーと一緒に、かつてない“デカいヤマ”を計画し、まんまと成功させる。しかし“黄昏ギャング”と大々的に報道されたことにより、事態は思わぬ方向に…。

ロバート・レッドフォードが俳優引退作で“伝説の銀行強盗”を演じた理由

『さらば愛しきアウトロー』

スーパー16のフィルムで撮影され、ロバート・レッドフォード出演作へのオマージュが随所に散りばめられた本作。深く刻まれた顔の皺、ただ佇む姿、はにかんだ笑顔…。ロバート・レッドフォードが映り込むだけで文字どおり絵になり、今作で引退してしまうには勿体ないほどの魅力があふれています。

思えば『明日に向かって撃て!』のサンダンス・キッドも『スティング』のジョニー・フッカーも、世間からのはみ出し者。それまでは粗野なイメージだったアウトローというキャラクターに“ダンディズム”をもたらし、人々を魅了したのは、他ならぬロバート・レッドフォードだったのではないでしょうか。そういった意味では、彼がフォレスト・タッカーという実在の人物のドラマを“最後の出演作”に選んだのは、必然だったのかもしれません。

“愛しきアウトロー”、ロバート・レッドフォード&フォレスト・タッカー。この上なく粋でカッコいい男の生き様を、その目に焼き付けて。

ロバート・レッドフォードが俳優引退作で“伝説の銀行強盗”を演じた理由

『さらば愛しきアウトロー』

『さらば愛しきアウトロー』

2019年7月12日(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
監督・脚本:デヴィッド・ロウリー
原作:「THE OLD MAN & THE GUN」デイヴィッド・グラン
出演:ロバート・レッドフォード、ケイシー・アフレック、ダニー・グローヴァー、チカ・サンプター、トム・ウェイツ、シシー・スペイセク
Photo by Eric Zachanowich. (C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved
公式サイト https://longride.jp/saraba/

ロバート・レッドフォードが俳優引退作で“伝説の銀行強盗”を演じた理由

八雲ふみね

八雲ふみね

映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。
機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。
初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。
トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
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