聖火リレーまで1年~東京パラリンピックを前に我々が考えるべきこと

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月11日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。パラリンピックに対する自身の長年の思いを語った。

聖火リレーまで1年~東京パラリンピックを前に我々が考えるべきこと

東京オリンピックまで間もなく1年~都庁で聖火リレートーチの展示始まる

2020年に行われる東京オリンピック。聖火リレーまで1年となった10日、オリンピック、パラリンピックで用いるトーチの展示が東京都庁第1本庁舎で始まった。聖火リレーのランナーは現在、都道府県などで募集されており、本番ではおよそ1万人が全国を駆ける予定である。

新行)来年(2020年)7月10日に聖火リレーが始まり、東京オリンピックの開会式は7月24日。パラリンピックの開会式は8月25日です。

35年前、日本で初めて取り上げた車いすテニスの記事

鈴木)きょうはパラリンピックを取り上げたいと思います。障がいのある方たちが行うスポーツで、世界中から集まるということで非常に感動的ですし、盛り上げようとしています。でも、盛り上げるだけでいいのかと思うのです。35年前、私が駆け出しのテレビ報道記者のときに、当時知られていなかった車いすテニスの記事を書きました。

新行)はい。

鈴木)日本で最初に障がい者、車いすテニスを取り上げたのは僕ではないかと思っています。35年前にとあるテニスクラブで、車いすの人が来て壁打ちをしていると、知り合いの関係者の方が連絡してくれたのです。行ってみたら、その方は松尾清美さんという車いすの方でした。学生時代にテニスをやっていましたが交通事故にあい、下半身不随になって車いす生活になってしまった。彼は事故に遭う前、テニスをやっていたので、車いすでもやりたい。でも日本ではまだ誰もやっていない時代でした。偶然そこのテニスクラブはハードコートで壁打ちができるので、飛び込んでやっていたのです。

「車いすの国際大会をしたい」「車いす競技をスポーツ面に載る競技にしたい」

鈴木)これをニュースに取り上げたのですが、その松尾さんが言っていた2つのことが印象的で、これまでの僕の障がい者問題の柱になっています。1つは、車いすの国際大会をやりたいということ。これは実現しました。いまでも続いている、福岡の飯塚での国際車いすテニス大会です。

新庄)たしか去年(2018年)、天皇杯と皇后杯が下賜されましたよね。

鈴木)そうです。いつまでも世界の障がい者スポーツというものを、日本でやっていたいというのが1つの夢。もう1つは、「僕たちのスポーツは車いすマラソン、車いすバスケ、この車いすテニスも、必ず新聞では社会面でしか載らない」と言うのですよ。

新庄)そうなのですよね。

聖火リレーまで1年~東京パラリンピックを前に我々が考えるべきこと

障がい者が普通に街で暮らせる社会になるきっかけに

鈴木)スポーツ面に普通に載る競技にしたい。これはものすごく刺さりましたね。これまで、日本政府は障がい者を山のなかに施設を作って、スロープを付けておけばいいと隔離をして来ました。そうではなくて、障がい者は街のなかで普通の人と通常に暮らせる。それを象徴した言葉がおそらく「スポーツ面に普通に載る競技」ということだと思うのです。福祉の先進地、アメリカの例などを見に行きましたが、日本では障がい者の施設というと山のなかなどに隔離してしまうけれど、アメリカは商店街の百貨店の横に施設がある。そこから車いすの人が出て来る。別にスロープなど何もない。ところが歩いている人に「ソーリー」と手を貸してくれと言うと、「ああ、いいよ」と車いすの人に手を貸してあげる。こういう社会だと思うのです。今度、パラリンピックがありますが、ことさら障がい者スポーツが素晴らしいと言うことではなく、生活のなかで普通に受け入れる。障がい者の社会復帰や共生とは、そういうことなのです。そのいいきっかけになると僕は思います。

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