往年のファンも納得の一作『スター・トレック BEYOND』 【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第77回】

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さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

1960年代、世界中を震撼させた「宇宙大作戦」シリーズ。
このコラムを読んでいる方の中にも、トレッキーが多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回の「しゃベルシネマ」では、10月21日から全国ロードショーとなる『スター・トレック BEYOND』を掘り起こします。

リブート三部作、ついに最終章!

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「宇宙大作戦」の名で長年多くのSFファンに親しまれている人気シリーズをJ・J・エイブラムス監督の手でリブートした『スター・トレック』第3弾。
今作では、これまでメガホンを取ってきたJ・J・エイブラムスは製作に回り、『ワイルド・スピード』シリーズのジャスティン・リン監督が初参戦。
リン監督お得意の変幻自在なカメラワークは、無重力空間を描くのにピッタリ。
激しい肉弾戦と、めくるめくハイスピードアクションにも心躍ります。

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宇宙の最果てにある未知の領域を探索中、惑星連邦の存在意義の真価を問う新たな敵と遭遇するジェームズ・T・カーク船長と、彼が率いるU.S.S.エンタープライズ号のクルーたちの戦いを描いた今作。
メインキャストには、おなじみの顔ぶれが揃いました。
カーク船長にクリス・パイン、スポックにザカリー・クイント、ウフーラにゾーイ・サルダナ、チェコフにアントン・イェルチンら、主要メンバーが続投。
それぞれのキャラクターがすっかり板に付き、特にクリス・パインにいたってはリーダーとしての風格さえ漂います。
またスコッティ役のサイモン・ペグが脚本チームに参加しているのも、嬉しいトコロ。
自他共に認めるSFオタクのサイモン、往年のシリーズファンも新たなSF映画ファンもニヤニヤが止まらない、そんな仕掛けをふんだんに盛り込み、ストーリーを盛り上げています。

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見どころは、決して映像的迫力だけではありません。
惑星連邦の理念である“チームワークの大切さ”や“平和への希求”といったテーマを各シーンに落とし込むことで、『スター・トレック』シリーズが本来持つイデオロギーがくっきりと浮き彫りになっているのは、ファンならずともグッとくるポイント。

50年前に製作された「宇宙大作戦」シリーズから脈々と流れるテーマ性がしっかりと刻み込まれていることで、前2作とはひと味違った手触りに喜びを感じる人もいることでしょう。

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最後に、本作は今年6月に事故で他界したアントン・イェルチンの遺作となってしまいました。
彼が演じるチェコフは『スター・トレック』リブートシリーズを通じてこの『スター・トレック BEYOND』がいちばん見せ場が多かったように思います。
27歳とまだ若く、将来が楽しみな俳優だったアントンに敬意を表して、今回は締めくくりたいと思います。

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スター・トレック BEYOND
2016年10月21日から全国ロードショー
製作: J.J.エイブラムス
監督: ジャスティン・リン
出演: クリス・パイン、ザカリー・クイント、ゾーイ・サルダナ、サイモン・ペグ、カール・アーバン、アントン・イェルチン、ジョン・チョー、イドリス・エルバ、ソフィア・ブテラ、ジョー・タスリム ほか
©2016 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト http://www.startrek-movie.jp/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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