巨人・坂本がプロ入り最初に打った満塁ホームランとは?

By -  公開:  更新:

話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、7月4日の中日戦で満塁ホームランを放ち、チームの5連勝に貢献した、巨人・坂本勇人選手のエピソードを取り上げる。

巨人・坂本がプロ入り最初に打った満塁ホームランとは?

【プロ野球巨人対中日】中日に勝利し、万歳三唱する巨人・坂本勇人=2019年7月4日 東京ドーム 写真提供:産経新聞社

「あまりインサイドは意識してなかったけど、うまく反応できた。自分のスイングで芯に当たったので、ホームランになるなと思いました」

4日に東京ドームで行われた巨人-中日戦。リーグ戦再開後、ここまで負けなしの4連勝で首位を行く巨人ですが、この日はキャプテン・坂本がいい働きをしました。0-0の2回、二死満塁、絶好の先制機に打順が回って来た坂本。

「昨日チャンスでいい結果が出なかったので、きょうこそは走者を返したいな、と思って打席に入りました」

中日先発・ロメロは、外角中心の攻めでカウントは2-2に。そこで5球目、内角高めに来た155キロの真っ直ぐを坂本は見逃しませんでした。豪快に強振すると、打球はレフトスタンド中段に飛び込む、24号満塁アーチ! 巨人は4点を先制し、結果的にこれが試合を決める1発になりました。

「もともとホームランバッターではないのですが、素直にうれしい。チームにいい流れをもってこられた」

と、お立ち台で笑顔を見せた坂本。満塁ホームランを打ったのは2013年4月に広島戦で打って以来6年ぶりで、プロ13年間で通算6本目。巨人では、川上哲治、松井秀喜ら偉大な先輩方に肩を並べました。

現役時代、通算8本の満塁弾を放った原辰徳監督も、坂本を讃えました。

「インサイドに1球だけ来た球を、みごとに仕留めたのは価値があるね」
「(満塁本塁打記録を抜かれるのは)時間の問題でございます。できれば、明日あたりで」

ところで、坂本がプロ入り後、最初に満塁ホームランを打ったのはいつかと言うと……レギュラー奪取に成功した2年目の2008年、開幕間もない4月6日に行われた阪神戦でのことでした。しかもこのグランドスラムは、記念すべき「プロ初ホームラン」でもあったのです。

「弾道が低かったので。いってくれと思った。やった〜! 打っちゃった〜!っていう感じです」(当時のヒーローインタビューより)

プロ1号が満塁ホームランだったのは、巨人では83年の駒田徳広以来25年ぶり。当時坂本は19歳3ヵ月でしたが、10代の選手が満塁アーチを打ったのは、球団史上初の快挙でした。阪神との「伝統の一戦」でこういう記録を作るとは、やはり坂本は、何か持っています。

これで巨人は、交流戦明け無敗の5連勝で、貯金は今季最多の13に。2位・広島が敗れたため、ゲーム差はさらに広がって「6」となりました。

同時に、5年ぶりの前半戦首位ターンも決定。ちなみに巨人は過去、2位に3.5ゲーム差以上をつけて前半戦を終えると、その年は必ず優勝しています。

リーグ戦再開後の5試合で、打率.333・3本塁打・8打点と爆発、チームを引っ張っている坂本ですが、交流戦は18試合で打率.183、本塁打わずか2本と不振に苦しみました。
交流戦終了後、試合がなかった5日間で、あらためて自分のフォームを見直した坂本。

「交流戦中は、軸足でなかなか打てていなかったので、重心を少し低くしました」
「(いい状態を)維持するのって難しい。悪いなりにやるのが、仕事だと思っている」

お立ち台の最後は「チームはいい流れで来ているので、連戦で1つでも多く勝つことができるよう頑張ります」と締めくくった坂本。前半戦ラストの9連戦は、まだ6試合残っていますが、疲労も何のその、チームを牽引するキャプテン・ハヤトの活躍に注目です。

Page top