参議院選挙~消費増税反対をめぐる立憲民主党とれいわ新選組の財源の違い

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月3日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。7月4日に公示され、選挙戦が始まる参議院選挙について解説した。

参議院選挙7月4日公示~注意すべきは経済政策

第25回参議院選挙は明日(7月4日)公示される。投開票は21日、17日間の選挙戦がスタートする。

飯田)令和初の国政選挙となるのですね。明日4日公示の参院選ですが、公約等々が新聞などに出て来ています。

佐々木)いちばん見なくてならないのは経済政策です。ここに来て野党側が、反緊縮に舵を切って来たなという感じがします。例えば立憲民主党は消費増税凍結みたいなことを言っていたり。朝日新聞の「野党『消費増税反対』で一致」という6月27日の記事がありますが、前文の最後に「消費税をめぐる野党の発信が活発化している背景には、暮らしに直結するテーマへの有権者の関心の高まりがありそうだ」とあります。そのようなものは前から高まっていますよ。暮らしに直結するテーマを気にしないで、いつまでも安全保障と憲法の話ばかりしているから飽きられてしまったことに、いいかげん気づけと思っていました。やっとそこに気づいたのはいいことだと思います。

政治団体「れいわ新選組」の山本太郎代表(右)は、女性装の東大教授、安冨歩氏が参院選に出馬することを発表した=2019年6月27日 写真提供:産経新聞社

消費増税反対~立憲民主党とれいわ新選組の主張するその財源の違い

佐々木)ここで立憲民主党と、山本太郎さんのれいわ新選組の2つの違いが面白いです。立憲民主党は消費増税凍結で、財源は法人税など富裕層への増税強化ということを言っています。法人税を強化しようと思っても、世界的な流れで法人減税の方向へ進んでいるし、海外子会社からのお金に税をかけるのは難しいので、あまり有効ではないと思います。れいわ新選組は消費税廃止という公約を掲げていますが、財源は国債を増発すればいいと言っています。これはモダン・マネタリー・セオリー(MMT)ですね。国債増発で財政出動すればいい、税収はいらないという考え方については、左派の経済学者はいままで否定的でした。典型で言うと浜矩子さんです。

飯田)日本の左派の経済学者ということですね。

佐々木)浜矩子さんが6月6日のAERAの記事でMMTについて取り上げていて、「アメリカの民主党左派がこの論理を支持しているのだという。情けない話だ。国家権力が、何ら節度なくカネを繰り出し放題、使い放題、ばらまき放題という状況をよしとするとは、いたってリベラルらしくない」とあります。何がリベラルらしくないのか僕にはまったくわからないし、世界的な流れで言うとリベラル、あるいは左派が反緊縮で、国債で財政を担うのだという方向をみんな支持しています。でもなぜか日本の左派だけは、反緊縮に反対。その不思議なねじれ構造があったのは、浜矩子さんは未だにこう言っていますが、一方でれいわ新選組のような反緊縮MMTに舵を切る左派も出て来ている構図は面白いと思います。

飯田)そうですよね。僕も旧来からのリベラル、左派をやって来た人たちの懇談で聞いたのですが、MMTに関しては反対であると。その理由は、日本に1千兆円の借金がある。これを返して行かなくてはならないのに、「もっと出せ」なんてあり得ないということです。

佐々木)それはきっと、財務省の勉強会をやったのではないでしょうか。

飯田)ごりごりの左派の人たちでも、こういう発言があるのかと思いました。

安倍晋三首相への問責決議案が反対多数で否決された参院本会議=2019年6月24日午後、国会 写真提供:産経新聞社

与野党の対立の他に存在する「隠れた対立軸」

佐々木)一見、自民党対野党という対立軸があるように見えて、隠れた対立軸として、財務省をはじめとする官僚対その他のようなものがある。財務官僚にマスメディアの記者や野党議員も飲み込まれているケースが多いです。ここを注意して見ないと、何が対立しているのかわかりません。単純に与野党の対立ではないということを理解したほうがいいと思います。

飯田)消費増税反対か賛成かでくっきりとした色分けが見えますが、財源などの部分で言うと、法人税やお金を持っていそうなところから取って来るロジックだと、経済全体のパイが大きくならない。

講義の様子(ステファニー・ケルトン – Wikipediaより)

なぜ自民党は消費増税に固執するのか

佐々木)もう1つ問題なのが、自民党はなぜここまで消費増税に固執するのか。アベノミクスは金融緩和政策で、MMTの典型だとか海外論者からは言われています。

飯田)それを言っているニューヨーク州立大学のケルトン教授ですが、まさに日本が例ではないかと。どんどん国債を出して大丈夫なのだからという話をしていますよね。

佐々木)MMTの中心とされている安倍政権が消費増税してしまうのは、ロジックとして成立していないはずなのに、なぜそこを強行するのでしょうか。政治の内情は詳しくないのでわかりませんが、安倍政権内部で財務省との関係がどうなっているのかが気になるところです。押し切られているのか。いままでのアベノミクスの流れで言うと、積極的に消費増税しようとはならないはずなので不可解ですよね。

経済産業省総合庁舎本館(経済産業省 – Wikipediaより)

消費増税は経済産業省と財務省が手を打ったという説

飯田)その上、この政権は経済産業省が主体で支えている政権であるから、財務省とは距離を置いているはずですよね。マーケットサイドの人によると、「経済産業省の限界が見えるのだ」と言うのですよ。消費増税によるショックを軽減するなかに、経済産業省がやりたいマイナンバーカードの普及とか、キャッシュレス、クレジットカード決済のポイント還元などがいろいろ盛り込まれているので、「俺たちの主張もきちんと盛り込んである」というところはあります。

佐々木)そこで経済産業省と財務省が手を打ったのではないでしょうか。やりたいことがあるから消費増税をやってもいいよというような。財務省が「わかった。そのかわり消費増税を認めてね」というように。

飯田)財務省は行って来いでほとんど旨みがないようなところもありますが、入って来た税収分はポイント還元などで出て行ってしまうけれど、「増税したぞ」という。

佐々木)何でしょうね、増税に対する異様な欲望は。

飯田)1人のマーケット関係者の仮説ではありますが、説得力がありますよね。

財務省庁舎(財務省 (日本) – Wikipediaより)

官僚がどう立ち回っているのかは見えない

佐々木)確かに。官僚がどう立ち回っているかは、我々の世界からは見えないですからね。マスメディアも権力のチェックと言っていますが、いちばんチェックすべきなのは官僚ではないでしょうか。

飯田)20年、30年政治改革とそこを言われていたはずなのに、ここに来て官邸支配ということばかり言われますよね。

佐々木)官僚支配がけしからんから、官邸指導で人事権も移したはずなのに、そうなった瞬間に官邸の独裁などと言い出した。あれはメディア側のロジックがないですよね。冷静に、これまでの官僚と政権の関係を総括した記事やレポートを読みたいのですが、なかなか出て来ません。根深い問題です。

飯田浩司のOK! Cozy up!
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