新津駅「オコジョのたからばこ」(1,300円)~「SLばんえつ物語号」4時間の旅③ 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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山都駅,SLばんえつ物語号

山都駅にて「SLばんえつ物語号」

新潟を9:30に発った磐越西線の「SLばんえつ物語号」。
3時間あまりをかけて12:40に福島県喜多方市の「山都駅(やまとえき)」に到着しました。
山都では12:50まで10分停車し再度点検を行い、会津若松に向けてラストスパートに備えます。
もちろんこの10分間は、最後の撮影タイム。
「SLばんえつ物語号」では山都・津川共にホームが整備されているので、C57の力強い動輪を間近に見ながらカメラに収められるのが嬉しいですね。

一ノ戸川橋梁

一ノ戸川橋梁

山都を出ると「SLばんえつ物語」号は「一ノ戸川橋梁」に差し掛かります。
ココ、通称「山都の鉄橋」と呼ばれる、磐越西線随一の撮影ポイント。
明治43(1910)年の完成当初は東洋一の規模を誇り、100年以上経った今も現役です。
建築的・文化的価値が認められ「福島遺産百選」の1つにも選ばれています。
天気がいいと、車窓からも多くのカメラマンがSLを待ち構えている様子が分かります。

「SLばんえつ物語」売店

「SLばんえつ物語」売店

さて「SLばんえつ物語」号の5号車には「売店」があります。
売店には、オリジナルグッズや沿線の土産などが勢ぞろい。
「利き酒セット」もあり新潟~福島の名酒を味わうことも出来ます。

その中に「オコジョのたからばこ」(1,300円)という駅弁があります。
コレ、「SLばんえつ物語号」の中しか買えない限定駅弁!
オコジョの「オコジロウ」と「オコミ」は、前々回ご紹介したように「SLばんえつ物語号」のオリジナルキャラクターです。

「オコジョのたからもの」バッグ

「オコジョのたからもの」バッグ

「オコジョのたからばこ」はSLらしい「黒い」紙バッグに入っています。
駅弁で紙バッグって、少し珍しい形態なので、プレミア感がありますね。
調製元は、新津駅前の「神尾弁当部」。
JR東日本新潟支社と共同で開発を行った駅弁だそうです。
黒いベールで隠された中からは、果たしてどんな弁当が登場するのか?

オコジョのたからばこ

オコジョのたからばこ

オコジョのたからばこコースター

オコジョのたからばこコースター

”宝箱”を模した黄色いボックスが現れました!
しかも厚みがあって、実は中で二段重ねになっています。
「オリジナルコースター付き」ということで開けてみると「D51ばんえつ物語」バージョンが登場。
これは平成23(2011)年に「SLばんえつ物語」号を高崎の「D51形498号機」が牽引した時のものですね。
東日本大震災の年ということで「つなげよう、日本」のロゴも入っています。
コースターは他にも種類があるようですので、乗車する度に買う楽しみもありますよね。

オコジョのたからばこ

オコジョのたからばこ

オコジョのたからばこご飯

オコジョのたからばこご飯

2010年代に入って登場した「オコジョのたからばこ」。
前は少しお子さま仕様だったと記憶していますが、最近は「オコミの愛妻弁当」と銘打って大人向けにシフト。
やはり「車内限定」「個数限定」というキャッチに惹かれているお客さんが多く見られました。

【お品書き】
・煮物(麩・椎茸・人参・がんも・里芋・きぬさや・たけの子)
・焼物 鮭の粕漬け(津川の麒麟山酒粕使用)
玉子焼き(C57の焼印入)
・お肉 もちぶたの肉団子
越の鶏の塩焼き(新潟県産鶏)
・ご飯 塩おにぎり
笹巻おこわ(栗とくるみ入)
・漬物 大根味噌漬
・甘味菓子 笹だんご(新津羽入)

コレはなかなかイイですぞ!
鮭の粕漬けに磐越西線沿線を代表する津川の地酒「麒麟山(きりんざん)」の酒粕を使用。
鶏&豚もローカルブランドの肉を使っています。
見た目にも「C57」の焼き印入り玉子焼があって、いい乗車記念になりますよね。
しかも、口直しの笹だんごは「三色だんご」でおなじみ新津・羽入製です。
これは新津の立売で駅弁を買うか、車内販売限定弁当を買うか、大いに迷う!!
懐に余裕があれば両方買うべき、複数で乗るならそれぞれ買い分けるのがイイかもしれません。

会津,風景

会津の風景

蔵とラーメンの街・喜多方を発車すると「SLばんえつ物語」号は会津盆地へ。
水田地帯の向こうに磐梯山も見えてきます。
今の時期は稲穂が頭を垂れているか、さては稲刈りが済んだ後か。
残り乗車時間が30分を切れば「SLばんえつ物語」号の旅も最終章。
「C57形180号機」の走りも軽やかにラストスパートです。

会津若松駅,「SLばんえつ物語号」

会津若松駅にて「SLばんえつ物語号」

定刻通り13時35分「SLばんえつ物語号」は、会津若松駅に到着。
市街地を軽くブラっとして、東山温泉でも目指せば、チェックインにはちょうどいい時間です。

新潟から4時間あまり、気が付けばあっという間でした。
車内をいっぱい動いて、停車時間にはホームに出て、疲れてきたら駅弁をつまみに美味しい地酒でも飲んで軽くウトウト・・・。
煙の匂いとSLの力強い走りを感じながらのんびり過ごす「SLばんえつ物語号」の旅、ぜひ一度お試しあれ!

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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