「この会社をなんとかしよう」ではなく、「社員が幸せに自分の人生を生きているかどうか」

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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に、サイボウズ株式会社・代表取締役社長の青野慶久が出演。会社という組織の在り方について語った。

「この会社をなんとかしよう」ではなく、「社員が幸せに自分の人生を生きているかどうか」

サイボウズの青野慶久社長=2009年8月26日午前、東京都文京区のサイボウズ社 写真提供:産経新聞社

黒木)今週のゲストはサイボウズ株式会社・代表取締役社長の青野慶久さんです。
新卒でなくてもポテンシャルのある人を採用するという、U-29採用。これはどんなものなのですか?

青野)U-29はアンダー29の略で、29歳以下の人でしたら、いままでのスキルや実績に関係なく採用しますという制度です。

黒木)そういう会社はないのですか?

青野)そうですね。日本の会社は新卒偏重なところがあります。中途採用をしていない大企業が多いのも実情です。私たちは、若い人が最初に入った会社が「間違ったな」ということもあると思うのです。その人たちに、ぜひ次のステップを踏んでもらおうということで、こういう制度を始めました。

黒木)青野さんの考える人材採用、人材育成は「わがままを言いなさい」ということだけではないのですね。

青野)育成をするということは、100人いれば100通りだと思います。「すごく成長したいです」というガツガツ型の人もいれば、「私はコツコツ行きたいです」というコツコツ型の人もいます。それを同じように育成するのは無理があると思うので、1人1人の意見や、どのように成長したいのかを聞きながらキャリアアップを作って行く。こういうことを行っています。

黒木)「目的を達成するための集団」という考え方ですが、青野さんはリーダーでいらっしゃるわけだから、リーダーの資質もなければならないですよね。

青野)そうですね。リーダーがやらなくてはいけない仕事は、実は少ないと思っています。それほど仕事がなくて、私が育児休暇を取ったときに気付いたのですが、私がいなくてもけっこう会社はまわるぞとわかってしまったのです。ただ、絶対にやらないといけない仕事がある。意見が割れているときに「A案で行くのか、B案で行くのか」、これを決めるのはリーダーの役目です。でもAにするのかBにするのかを決めることは、一瞬で終わる仕事でもあるのです。それは私が短時間勤務をしていたときに、自分の仕事は短時間勤務でもまわるということに気が付いてしまったのですけれども。そんなふうに思っています。

黒木)スタッフも成長して行くということですね。進化しているというか。

青野)そうなのです。私が育児休暇を取ったときは、みんな本当に嬉しそうで。私が持っていた仕事を社長に代わってできるので、みんなのモチベーションが上がるのですよね。

黒木)おかしな現象ですね。

青野)幸せな場所を作っておけば、みんな幸せになりたいから集まって来ます。人が増え続ける必要もなくて、また次の夢を見つけてみんなが去って行っても、それが幸せな状態なら、それはそれでまたいいではないかと思います。この会社を何とかしようではなくて、そこにいる1人1人が幸せに自分の人生を生きているかどうか、注目しながら経営したいなと思っています。

「この会社をなんとかしよう」ではなく、「社員が幸せに自分の人生を生きているかどうか」
青野慶久/サイボウズ株式会社 代表取締役社長

■1971年生まれ。愛媛県今治市出身。
■大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現 パナソニック)を経て、1997年8月に愛媛県松山市でサイボウズを設立。
■2005年4月、代表取締役社長に就任。
■サイボウズ株式会社はソフトウェア開発会社。通信事業・ネットワークシステム構築・コンサルティングなども展開。
■M&Aの失敗・離職率の増加を機に覚悟を決め、「多様性」「公明正大」を大切にしながら、チームワークあふれる社会を創るために真剣に取り組む。
■離職率を6分の1に低減した実績や、ビジネスのクラウドシフトの他、3児の父として3度の育児休暇を取得した育ボス、妻氏婚(つまうじこん)、夫婦別姓などの講演も多数。
■政府の働き方変革プロジェクトの外部アドバイザーやCSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)の副会長を務める。
■著書に『ちょいデキ!』『チームのことだけ、考えた。』『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』がある。

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