参議院選挙〜選挙の争点を決めるのは有権者である

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月27日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。参議院選挙を前に、選挙の争点についての考え方や高齢化社会における社会保障の在り方等、有権者は何を考えて行くべきかについて私見を述べた。

参議院選挙〜選挙の争点を決めるのは有権者である

安倍総理が参議院選挙に向けて憲法改正の議論を推進

安倍総理は26日の通常国会閉幕を受け、総理官邸で記者会見を行った。総理は参議院選挙最大の争点は安定した政治とした上で、自らが目指す憲法改正についても次のように述べている。

 

安倍総理)参議院選挙においては、憲法の議論すらしない政党を選ぶのか、国民の皆さまにしっかりと自分たちの考えを示し、議論を進めて行く、その政党や候補者を選ぶのか、それを決めていただく選挙であると思います。

 

飯田)これは再三、総理がいろいろなところで言っていますが、22日に放送されたインターネット番組のなかでも憲法の議論をする政党か、議論すらしない政党かを選んで欲しいと訴えていた、ということです。

参議院選挙〜選挙の争点を決めるのは有権者である

参院決算委員会で答弁を行う安倍晋三首相=2019年06月10日午後、国会・参院第1委員会室 写真提供:産経新聞社

自民党にとって憲法改正を最後の旗に掲げた選挙ではない

鈴木)憲法改正は安倍さんの悲願。総理になる前に単独で話を聞いたときも、政治家としての信条だと。自分が総理ではなくても、誰か他の総理を立ててでもと安倍さんは言っています。しかし会見を聞いて思うのは、これが正式に参議院議員選挙の争点だと言っているけれども、公約なのかと言うとそうではない。通常、安倍さんの総裁任期を考えれば、4選という話もあるけれど、現時点では総裁は3期までです。そうすると今度の参議院選挙は最後の参議院選挙になるのです。

飯田)総裁任期は21年まで。

鈴木)次の参議院選挙は2022年。ということは、安倍さんの任期内最後の参議院選挙で、改憲勢力が3分の2をこの参議院で取れなければ、もう発議できなくなる。つまり公約として全面的に、絶対にやるのだということをいちばんに掲げて3分の2が取れなかったら、公約を果たせなかった、もう憲法改正は諦めろという話になってしまいます。だからこういう微妙な言い回しになっているのです。憲法改正の議論を推進するとか、議論をする政党を選ぶか選ばないかとね。すなわち、憲法改正を最後の旗に掲げた選挙にはなっていないと思っていい。そこを有権者は、それぞれがしっかり見なければいけません。

参議院選挙〜選挙の争点を決めるのは有権者である

選挙の争点を決めるのはあくまで有権者

鈴木)それから安倍さんは、政治の安定ということを争点にしています。それはいいのです。だけど、選挙の争点を決めるのは政党でも候補者でもなく、有権者なのです。安倍さんは自分たち自民党が、与党が勝つための争点を作って仕掛ける。「なるほど、これもやってくれるのだな」というように、野党も同じく自分たちが勝つための争点を作って来る。でも争点を決めるのは野党でも安倍さんでもなく、有権者個人なのです。安倍さんがそう言っているから、それが争点だと思う必要はないし、野党はおそらく2000万円問題で徹底的にやって来るでしょう。

飯田)年金問題で。

鈴木)でもそれが争点だと思う必要はない。争点は皆さん1人1人が決めることです。各党の党首討論もこれからやりますが、そのときに「最大の争点は」と言っているのは、自分たちが勝ちたいために掲げている争点です。そうではない、自分はこうだからということを考えながら聞いて行く姿勢が大事だと思います。

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高齢化社会における社会保障制度はどうするべきか

鈴木)私個人の争点は何かと言うと、やはり2000万円。そして、その問題に端を発した社会保障。高齢化社会のなかでどうやって生活して行けばいいのか、いま既に高齢者の貧困率が高くて、それが覆い隠されて来た。今回はいい機会なのです。老後を暮らして行くにはどうしたらいいのか、年金はどうしたらいいのか、社会保障制度はどうすればいいのか。財源が少なければ、国民がまた消費税など、いろいろな形で負担しなければいけないかもしれない。高齢化社会における社会保障という、国民にとって耳の痛い話、厳しい現実も考えなくてはいけないのです。でも逃げずに、いい機会だから与党も野党もプランを出し、方向性を打ち出してほしい。僕個人はそこを争点にしています。

飯田)いま年金をもらっている方々がいちばん関心を持つかもしれませんが、実際の話だと、いま実際に年金をもらっている方は、既にある程度確定していますよね。

鈴木)確定しているし、もう貰っている。前の形でね。

飯田)現役世代の6割~7割くらい貰えるということですが、例えば僕は37歳なのですけれど、5割くらいになってしまうのがもう決まっていて。

鈴木)僕に言わせると、5割貰えるかどうかも分からない。

飯田)世論調査をすると、もう年金だけに頼ることはさすがにないと、若い人ほどそういう回答をする。

鈴木)若い人は実は分かっている。

参議院選挙〜選挙の争点を決めるのは有権者である

年金だけでなく、社会制度そのものの議論をするべき

飯田)そこではないのですよ、年金が減るというところばかりメディアが取り上げますが。

鈴木)社会制度そのもの全体を。

飯田)例えば高齢者の貧困の話だと、年金だけではない。生活保護も含めてどうするのだということです。

鈴木)その通り。

飯田)では最低賃金と生活保護の水準。そうなると経済全体のパイを広げるとか、そういう話にもなります。

鈴木)その通り。

飯田)そういう大きな話ではなくて、いまはミクロな話になっています。

鈴木)年金問題と言う人もいますが、年金と矮小化していいのか。2000万円問題に端を発した、少子高齢化社会のなかで社会保障を根本的に考えるという、少し長いのだけれど、僕は必ずそう言っています。まさに飯田さんが言う通り、年金だけではないのです。その他の制度も含めて。小泉進次郎議員も言っているけれど、今回のことは、いいきっかけです。根本から見直さなければならない。

それから、7月1日から相続の法律が変わります。変わるなかに配偶者、つまりご主人が亡くなって、これまでは奥さんに2分の1、子どもたちは等分という配分になっていましたが、お金とは別に家は配偶者、つまり奥様が住んでいいというように変わります。

飯田)相続税のために、家を売らなければならないことを避けるために。

鈴木)そう。これも僕に言わせると、高齢化社会のなかの社会保障を含めた、その1つですよ。相続という話も、先ほど高齢者の貧困率と言いましたが、実は独り暮らしの女性の貧困率の方が高い。想像がつきますよね。だって収入が国民年金しかない場合……。

飯田)持ち家なら家賃がかからないから、まだいいけれど。

鈴木)現金がない。女性の貧困率の方が高いので、相続の場合においても全体を考えなければいけないなかの1つなのです。そういうことも全部ひっくるめて、ここはみんなで考えましょう。厳しいこともありますよ、若い人もそう。将来、このままでは生きて行けないです。だからこれをきっかけにしなければいけない。そこで最初の話に戻るようだけれど、2000万円の報告書は受け取って、与党は説明をきちんとする。

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