安倍総理が衆議院解散をしなかった“どこも報道しない”その背景

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月26日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。国会会期末を迎え、安倍総理が衆議院解散をしなかった理由について解説した。

安倍総理が衆議院解散をしなかった“どこも報道しない”その背景

安倍晋三首相への問責決議案が反対多数で否決された参院本会議=2019年6月24日午後、国会 写真提供:産経新聞社

国会会期末~内閣不信任決議案は否決

国会はきょう26日に会期末を迎える。25日に野党側から衆議院に提出された内閣不信任決議案は否決された。与野党の攻防の舞台は7月の参議院選挙に移る。

飯田)朝日新聞のきょう26日の1面トップは、W選挙もなくなった、7月に参議院選挙があると。風は吹かせたけれど踊らずということが書いてあります。

高橋)国会に出している法案を見ていますが、ほとんど5月以降は法案の審議がない状況です。だからいつでも解散できるような状態でしたが、結果的に安倍さんはやらなかった。なぜかということは、安倍さんしか分からないです。
推測すると、これは解散するときに消費増税はやめるという話が出るでしょう。麻生さんがそれは嫌だと、消費増税をしたいから。麻生財務大臣の意向を優先したのだと思います。

飯田)昨日(25日)は2人きりで会って、W選挙もない、解散もないということを…。

高橋)言ったでしょう。かなり前から伝えているとは思いますけれどね。Wはやらないで、そのままで行こう、そして消費増税だということでやったのではないですか。安倍さんも解散できるような状況にはしておいたけれど、最終的な判断としては麻生さんの消費増税を受け入れたということでしょう。人事から考えると麻生さんは欠かせないのでしょう、どうしても。

安倍総理が衆議院解散をしなかった“どこも報道しない”その背景

参院決算委員会で答弁を行う麻生太郎副総理兼財務相=2019年6月10日午後、国会・参院第1委員会室 写真提供:産経新聞社

財務省が麻生氏経由で消費税増税を仕込んだ結果か

飯田)安倍内閣においては。

高橋)だから麻生さんの意見に従ったということではないでしょうか。少し前にあった財務省の文書変更、書き換えがあったら普通ならば大臣の首は飛ぶのですが、それでも守りました。次官のセクハラがあったときも守った。徹底的に安倍さんは守ったのです。もう切れないということでしょう。財務省もそれをよく知っているから、そこを経由して消費増税の話を仕込んだのではないでしょうか。そう考えないと合理的ではない。

飯田)ツイッターやメールでご意見をいただきますが、W選挙は本当にもうなくなったのですか?

高橋)なくなりました。国会開催中でないと衆議院解散はできませんから。国会が終わったら衆議院は開かれないので、解散ができない。それだけです。

飯田)消費増税の話も、これは骨太の方針に先週末載りました。

高橋)21日ですね、そのときに決定です。

飯田)行政手続き論的にはもう。

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参院決算委員会で答弁を行う安倍晋三首相=2019年06月10日午後、国会・参院第1委員会室 写真提供:産経新聞社

財政審の建議から骨太の方針までたった2日間であったことの意味

高橋)骨太の方針の6月21日に閣議決定して、もう決まりです。前にそういう動きになっていて、あとは手順だけでした。今回、感じましたが、財務省の影響力がすごく大きい。財政審議会の建議というものがあります。昔は財政審の建議が出て、それが経済運営の基本だったのですが、2001年から骨太が出て、建議の意味がなくなりました。骨太のだいたい3週間くらい前に出すことになっていたのです。前に出さないと意味がないから。いままで最短でも2週間、多くは1ヵ月というときもありましたが、3週間が普通でした。でも今年(2019年)は何と、建議が6月19日だった。

飯田)確かにそうでした。

高橋)21日、19日、これはほとんど同時です。ということは、完全に財務省の官僚がコントロールできて、それをやったということです。

飯田)骨太の方針をやって、いままで予算編成は官僚が握っていた部分があったから、それを大枠だけでも政治主導でやって行こうというものが骨太の方針の最初の意味だったわけですよ。

安倍総理が衆議院解散をしなかった“どこも報道しない”その背景

20カ国・地域(G20)財務省・中央銀行総裁会議 会見を終え、記念写真に納まる(左から)経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長、麻生太郎財務相、浅川雅嗣財務官=2019年6月8日午後0時22分、福岡市内のホテル 写真提供:産経新聞社

財務省のパワーが復活か

高橋)それが表に出ているのが、財務省の財政審の建議が3週間前に行われていたということ。要するに財務省があまりパワーを持っていなかったという証明です。でも今回は21日と19日、ほぼ同時。もう完全にパワーを持ったということです。

飯田)ここ20年、政治改革などをやって来たことが結局、後退してしまったということでしょうか。

高橋)財政審の建議は3週間前だったものが、2日に短縮された。いままでこんな例はまったくないです。

飯田)メディアの報道を見ていると、官邸主導だから行政が歪められているようなことを言いますが、むしろ逆行しているではないですか。

高橋)私はファクトを言っているだけですけれどね。ファクトから分析するとそうなります。

飯田)その部分はどこも書いていません。

高橋)不思議ですね、私の言っている話は外形的に明らかなのです。2000年からの財政審の建議の日と骨太を見ればすごく関係があって、3週間前という綺麗な関係があるのに、2日。

飯田)たったの2日。

高橋)両方1度に調整ができたということですよ。

飯田)そうなってしまうと、消費増税だってそのままドンドン行くことになりますね。

高橋)そうでしょう。麻生さんが完全に安倍政権のなかの重要人物だったから、そこを経由していろいろなことを財務省ができたのではないでしょうか。

飯田)消費増税をして、経済は当然冷え込むだろうといろいろな人が指摘するではないですか。少しでも冷え込みを回避するために補正予算を組もうと思っても、それすら財務省のグリップで「緊縮!」ということになると。

高橋)補正予算でいちばん簡単なのは、国債費を積み増しして、だいたい2兆円くらい余計に積んでいます。それをそのまま使う。国債費をたくさん積んでも金利は低いから、実は不要だと使わなくなるのです。だからあとで減額修正しなければいけない。減額修正するのだったら、それを補正で使うのが普通のパターン。これがいちばん簡単な形です。

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