「台湾独立」が半数に~中国の脅威は日本も他人事ではない

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月25日放送)にジャーナリストの有本香が出演。台湾の世論調査、そこから関連するアジア太平洋地域の今後について解説した。

「台湾独立」が半数に~中国の脅威は日本も他人事ではない

総統府で、海外メディアとの会見に応じる蔡英文総統=2019年1月5日 写真提供:産経新聞社

台湾の世論調査、半数が「独立」を支持

台湾の民間シンクタンク、台湾民意基金会が24日発表した世論調査によると、台湾の将来について「独立がよい」と答えた人がおよそ半数にわたる49.7%で、「現状維持がよい」の25.4%、「中台統一がよい」の13.6%を大きく上回った。2018年9月の調査では、独立は36.2%だった。

飯田)一気に13~14%、独立が上げて来たということです。ツイッターなどでも指摘をいただいております。「台湾の件は香港で下手を打ったせいで、蔡英文さんの人気も上がっているそうですね。独立支持も増えたと言うし、皆目が覚めた感じなのではないでしょうか。台湾が日本の新幹線を導入したときとある意味、似ているかもしれませんね」。
あのときは地震があったということもありました。

有本)台湾のシンクタンクですが、前回の調査では36.2%だったものが、今回は半数ぐらいまで上がったわけでしょう。これは日本にとっていいことであると同時に、それだけこの地域の情勢が緊迫していることの表れだと思います。今週も香港で、また大きなデモが予定されているのですよね。

飯田)26日、G20の直前にあるようです。

有本)香港の人たちの切なる願い、祈りというものが、今後どうなるかを私たちは注視しなくてはいけないと思います。ここで考え直さなければならないのは、台湾独立という言葉です。台湾は、もうすでに状態としては独立国ですよね。

飯田)事実上の、という形ですね。

有本)台湾独立とは、どこから独立するのかという話です。いまの台湾は、戦後一貫して中華民国ですが、いまの中国と俗に私たちが言う中華人民共和国には、1度たりとも実効支配されたことはありません。税金も納めていません。ですから、台湾独立とは何なのかということです。

「台湾独立」が半数に~中国の脅威は日本も他人事ではない

香港島中心部の幹線道路を占拠するデモ参加者(中国・香港)=2019年6月12日 写真提供:時事通信

「中台統一」は台湾が中国に飲み込まれるということ

有本)一方で、「中台統一」と言うではないですか。実はこの2つの間には、ものすごく距離があるのですよ。これを一緒にしてしまうのはかなり乱暴な話です。中台統一は統一ではなくて、中華人民共和国が台湾を飲みこむということです。台湾の人たちが独立か独立でないかということは、中華民国であるのか、台湾であるのかということなのです。中華民国である以上、2つの中国ということに縛られるから国連にも入れないし、他の国とも国交が結べない状況にあるのです。しかし、台湾という新しい国として今後やって行くことを国際社会が認めれば、その瞬間に日本とも国交が結べます。やはり台湾は1日も早く、本当の意味での独立を果たすベきだと私は思います。日本はいまの状況だと、台湾との国交回復は難しい。前々から申し上げているように、アメリカが作った台湾関係法のようなもの、あるいは最近アメリカが制定した、台湾との間で要人の行き来を可能にする台湾旅行法。この日本版を一刻も早く作るべきです。

飯田)政務官や副大臣が行くというだけでも、日本国内で大騒ぎしてしまうことは…。

有本)バカげていますよね。20年前は李登輝さんが来るというだけで、ビザを出すの出さないのと大騒ぎしたわけですから。それに比べたらだいぶよくなって、政務官クラスは行くことも可能になって来ていますけれど、そういう状況ではいられません。日本も台湾もそういう意味では運命が一緒で、台湾も日本と同じくらい海から相当なものを得ています。空輸して来るものは限られたものです。生活に必要なものは、ほとんど海から来ているのです。特に台湾はその海が南シナ海で、中国が実効支配を強めている。これは本当に台湾にとって危機です。中国が自分たちの支配目標としている第一列島線、第二列島線などがありましたが、第三列島線まで視野に入れた活動が活発化しています。

「台湾独立」が半数に~中国の脅威は日本も他人事ではない

左が第一列島線、右が第二列島線(DoD-Image:China Report 2006.pdfより)

中国の実効支配が続けば日本と台湾は生命線を抑えられてしまう

飯田)第三列島線があるのですか?

有本)アリューシャン列島、ハワイ、ニュージーランドまで下りる。2005年くらいの中国の退役海軍少将、この人はプロパガンダ担当のような人でしたが、その方が「アメリカと中国で太平洋を二分して支配しましょう」と言ったそうです。これが現実のものになりつつあるのです。太平洋島諸国などは、中国の金の力でコントロールされつつある。

飯田)インフラ整備などから始まってね。

有本)そうすると中東から来るオイルのシーレーンではなくて、南半球や南シナ海から来る、もう1つの縦のシーレーン。ここが中国の影響下に落ちて行くというプロセスになっているのです。これは非常に怖いことで、日本と台湾は生命線を抑えられてしまう可能性があります。そういう意味でも日本と台湾が一緒になって、いろいろなことができる体制を作らないといけない。そういうことを本当は国会で議論してもらいたいです。

飯田)この危機感は台湾や、その南にあるフィリピンのドゥテルテ大統領も、ASEAN首脳会議で南シナ海に対して懸念を持っています。ドゥテルテさんはどちらかと言うと実利を取って、中国と接近するというドライな外交をしていましたが、さすがにここ来るとまずいぞと。周辺の海洋諸国はそう思い始めていますよね。

有本)もう1つ私が言っているのは、南太平洋の国々です。これは完全に中国のお金でコントロールされている上に、海を抑えるという目的だけではなく、衛星を飛ばすための経路にするとか、いろいろなことに使おうとしているのです。
中国は南シナ海に人工島を作って「自分たちの海だ」とやろうとしましたが、南太平洋はそこに島があって、人が住んでいて、国もあって王様もいるわけです。これをそのまま南シナ海化しようとしている。相当恐ろしいですよね。
こういうことを、なぜ日本の国会が議論しないか。これは野党側だけの責任ではなく、与党も含めて危機感が足りないと思います。国民も含めてです。海を抑えられたら私たちは生きて行けないのだということを、もっと深刻に捉えるべきです。その上で日台関係をどうするかということです。G20が大阪で始まりますが、来年(2020年)は別の国でやるとしても、G20に台湾を招ける状況をどうやって作るか考えるべきです。

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