人とはさみしい生きもの 【瀬戸内寂聴「今日を生きるための言葉」】第54回

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人との出逢い、一枚の絵、一個の茶碗、あらゆる出逢いの偶然は、人の一生の終わったところからふり返るとき、決して偶然でも卒爾(そつじ)でもないことに気づくだろう。編み物のひとつの目を外しても、その編み物が編みあげられないように、ひとつの出逢いが、過去に未来に、強いつながりと因縁をひいていく。

人生とは、いくら丹念に青写真をひいても、その通りには建ち上がらない建物のようなものであり、描いてもみなかった場所に出ていってしまう旅のようである。

瀬戸内寂聴

瀬戸内寂聴プロフィール

撮影:斉藤ユーリ


出典:『生きる言葉 あなたへ』光文社文庫