イランに対して“対話派”と“強硬派”の2つの勢力がせめぎ合うアメリカ

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月17日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。ホルムズ海峡付近で日本関係のタンカーが攻撃された事件について解説した。

イランに対して“対話派”と“強硬派”の2つの勢力がせめぎ合うアメリカ

イラン学生通信(ISNA)が13日、AFP通信に提供した、オマーン湾で黒煙を上げるタンカーの画像=2019年6月13日 写真提供:時事通信

タンカー攻撃~アメリカとイラン真っ向から対立

日本の海運会社が運航するタンカーなど2隻が中東ホルムズ海峡付近で攻撃された事件。イランの関与を主張しているアメリカは各国に同調を呼びかけ、イランへの圧力を強める方針。これに対し、イランは関与を全面的に否定し、両国の緊張がさらに高まっている。

飯田)アメリカは事件の証拠とする映像を公開するなどして、イランの関与があったと主張しています。その映像が、不発だった機雷を除去しようとしているもので、これをもってイランだと断言できるかどうかも評価が分かれているところです。

須田)映像が白黒で、非常に不鮮明なのですね。ですから、あれをもってということは難しいのですが、アメリカの主要メディアであるニューヨークタイムズなどは、かなり詳細な分析をしています。欧米では、その疑いが強いのだろうというイメージが広がっていることは間違いないですね。
今回の件、特に日本での報道はアメリカ発の情報が多いではないですか。それ以外の、アメリカと対立するイランサイドの情報はほとんど見えていませんが、私が注目しているツイッターがあります。何かと言うと、ハメネイ師名義のものです。

飯田)イランの最高指導者。

須田)本人がやっているかどうかは別としても、ハメネイ師名義による英文のツイッターです。

飯田)英文なのですね。

イランに対して2つの勢力がせめぎ合っているアメリカ

須田)英文です。これがイラン発の一次情報だと私は考えているのですが、アメリカに対する不信感は相当根強いと受け取れます。例えば安倍首相がイランに行って、ハメネイ師も含めていろいろと会談をしましたよね。そのなかで「アメリカはイランと誠実な対話を要望していると言っているけれども、我々はそれを信じない。アメリカは誠実な交渉などやらない」というツイートを出しています。なぜならその証拠に、イランの石油化学業界に経済制裁を課しているではないかと。これが誠実な交渉をしようとしている国のやり口なのかと、かなり激しい批判をしています。
そして、これはハメネイ師ではなくイランの外務大臣の発言なのですが、アメリカにはチームAとチームBというものがある。チームAはトランプ大統領を含めたその周辺で、ここはイランとの対話を望んでいるのですが、チームB、これはボルトンさんとポンペオさんです。このチームBはイランとの戦端を開こうと、虎視眈々と狙っている。この二重構造があるとしています。これは非常に説得力があると私は思います。
いろいろと情報がリークされていますけれども、チームBによる情報のリークも捨てきれないのですね。いまのアメリカ政府は、イランに対峙するスタンスとして2つの勢力がせめぎ合っているという感じがしてならない。

飯田)イランはトランプ氏の批判はやらないのですよね。トランプ氏とその周辺の強硬派を切り離すやり方は、北朝鮮がアメリカと交渉するときと似ていますね。

須田)トランプ氏もイランに対しては、戦争を望んでいないということは繰り返し発言、発信をしています。

飯田)トランプ氏のツイッターも抑制的ですよね。

須田)やはり強硬派のグループと、ブレーキを踏んでいるトランプ大統領という構図はあるのかなと思います。思い出してみますと、ブッシュ・ジュニア大統領時代のイラクに対する動きと非常に似通っています。チェイニー副大統領は“いけいけどんどん”で、ブッシュ・ジュニアはそうではなかったという状況がありました。

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