辛坊治郎~国民年金受給者は老後5000万円足りないという現実をなぜ議論しない

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月13日放送)にキャスターの辛坊治郎が出演。与野党で論議を呼んでいる「老後2000万円」問題について解説した。

辛坊治郎~国民年金受給者は老後5000万円足りないという現実をなぜ議論しない

党首討論が1年ぶりに開催~老後2000万円を巡って与野党攻防へ

立憲民主党の辻元国対委員長は6月12日、与党が提案していた19日の党首討論開催に応じる意向を自民党の森山国会対策委員長に伝えた。党首討論は去年(2018年)6月以来およそ1年ぶりで今国会では初となる。95歳まで生きるには夫婦で2000万円の蓄えが必要と試算した金融庁金融審議会の報告書の問題などを巡り安倍総理と立憲民主党枝野代表ら野党党首との攻防が予想されている。

飯田)2000万円の話ですが。

辛坊)年金大改正が2004年でしたが、私は『年金の真実』という本をその2年後に書いて、厚生労働省の年金局に呼びつけられて怒られたぐらいです。

飯田)2000万円ないと路頭に迷うのかとか、年金は実質破綻しているのではないかと言われていますよね。

辛坊)「年金が破綻している」ということは制度上、絶対にありません。なぜかと言うと、いまの年金制度は基本的に積み立て方式ではありませんから。

飯田)積み立て方式ではない。

辛坊治郎~国民年金受給者は老後5000万円足りないという現実をなぜ議論しない

今後年金が下がるということは政府がすでに公式発表していること

辛坊)現役世代からのお金をその年の高齢者に渡すだけですから、将来、日本の現役世代がゼロになればゼロになる可能性がありますが、そんなことはありえません。一定割合は現役世代がいるわけです。ちょうどいま年金を払う方と支給する方がバランス取れていますから、いまの人口バランスが続く限り、年金制度は維持されます。
問題なのは、いまの人口バランスが確実に崩れて来ます。高齢者の数が増え、長寿社会になって年齢も伸びて行く。ですが現役世代は減って行く。そうするとその人たちが払える分だけしか負担できなくなることを考えると、将来どうなるか。
厚生労働省は、いまのお年寄りは所得代替率と言うのですが、その時代の現役世代の平均賃金の約6割以上を年金で取っているのです。これが将来的に50%くらいまで落ちますけれども、それ以下には下がりませんと厚生労働省は発表しています。しかし、本当にそうなのかという話です。
今回、金融庁の最初の報告書の原案では、「年金が下がりますよ。年金だけで生涯暮らして行くわけにはいかないでしょう」ということですが、そのような話は2009年と2014年、政府はすでに数字まで発表しています。「現在、所得代替率が6割を超えている人は所得代替率5割になります」と発表している。
いま貰っているお年寄りの年金が、2割~3割くらいは下がりますと政府はすでに公式発表しているのですから、「今更何を言っているのだ」という話です。

飯田)現役世代はわかっているのですよね。「そんなことはもう知っているよ。でもどう備えたら良いのか、貯金はできないけれども」と思っている。

辛坊治郎~国民年金受給者は老後5000万円足りないという現実をなぜ議論しない

参院決算委員会で答弁を行う麻生太郎副総理兼財務相=2019年10日午後、国会・参院第1委員会室 写真提供:産経新聞社

問題は議論されていない「国民年金受給者」は5000万円以上足りない

辛坊)大問題なのは、今回金融庁の政府が受け取り拒否したようなことを野党も追及していますが、これは基本的に「厚生年金受給者」の話なのです。ですが、いまどんどん増えている「国民年金受給者」は、さらに月額の年金収入が15万円くらい低いのです。仮に10万円低いとして、1年間生きる為には、老後1年間で120万円いるわけです。10年間で1200万円、30年間で3600万円。
国民年金しかもらえない高齢者は2000万円足りないのではなくて、5000万円以上足りないのですよ。厚生年金の人たちだけをターゲットにした議論になっているけれども、国民年金しかもらっていない人は完全に今回の議論でも置いてきぼりになっている。

飯田)もともと自営業者とか、生活の足しのようなところが国民年金の立てつけだったから。

辛坊)もともと国民年金は1961年にスタートしたとき、自営業者や農業をやっている人たちの「老後の小遣い」という位置づけで、生活の支えのためではなかったのです。

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