しゃベルシネマ

インド映画史上最高の製作費で作った映画が、あわや“お蔵入り”の事態に?!

【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第632回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベりたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、6月7日公開の『パドマーワト 女神の誕生』を掘り起こします。
 

500年の時を超えて描かれる、愛と誇りの伝記


インド映画と言えば、最近では日本でも『バーフバリ』の応援上映など独自の盛り上がりをみせていますが、これまた“インド映画史上最高”と呼ばれるボリウッド・ムービーが日本に上陸しました。

その名も、『パドマーワト 女神の誕生』。インド映画史上最高の製作費を投じ、500年の時を超えて描かれる愛と誇りの物語です。


13世紀末、絶世の美女として知られていた、シンガール王国の王女パドマーワティ。メーワール王国の王ラタン・シンと恋に落ちた彼女は、彼の妃となる。その頃、北インドでは叔父を暗殺した若き武将アラーウッディーンがイスラム教国の王の座を手に入れ、その影響力を広げていた。

美しいパドマーワティの噂を聞きつけたアラーウッディーンは、メーワール王国に兵を遣わせるが、ラタン・シンの抵抗によって彼女の姿を見ることさえ叶わない。火花を散らす、野心を抑えきれないイスラム教国の王と、夫である誇り高きメーワール王国の王。天下に轟くその美貌が巻き起こした一国の存亡の危機に、聡明なパドマーワティはある決断を下す…。


権力ある2人の男が美しい女性を奪い合い、やがて一国の運命をも狂わせて行く…。どこの国でも起こりうる歴史絵巻のようなストーリーも、ボリウッドの手にかかれば、荘厳かつエンターテインメント性あふれる作品に。

主人公のパドマーワティは実在した王妃ですが、歴史的な資料は少なく、その実像はいまだベールに包まれたまま。しかしインドの歴史上で有名な女傑の1人として、ラージャスターン地方では、現在も女神のように語り継がれています。

2018年インド国内興行収入では歴代3位となる61億円、さらにはインド映画の世界興行成績でも歴代10位となる約100億円の大ヒットを記録した本作ですが、実は本国では「あわや公開中止?!」となる大騒動が勃発しました。


…と言うのも、「この映画は、インド古来の民族ラージプート族やヒンドゥー教を侮辱する内容だ!」「高貴な存在であるはずのパドマーワティ王妃が、イスラム王に心を奪われるという不貞なシーンがあるらしい!!」…そんな憶測が飛び交ったことから、事態は一部の過激な団体による映画化反対運動にまで発展。

しかし実際の映画は、ラージプート族の高潔さや勇敢さが描かれていることから、騒動は沈静化。結果として、興行的に大きな成功を収めることに。一国の運命を変えるほどの美貌と利発さを備え、やがて神格化されて行ったパドマーワティの影響力の強さが、現代においても遺憾なく発揮されているエピソードと言えるでしょう。

壮麗な宮廷、絢爛豪華な衣装、そして大軍勢によるスペクタクルな合戦など、贅の限りを尽くした映像美はインド映画ならではの大迫力。これぞ、大きなスクリーンで堪能してほしい映画です。


パドマーワト 女神の誕生
2019年6月7日から全国順次ロードショー
監督:サンジャイ・リーラ・バンサーリー
出演:ディーピカー・パードゥコーン、ランヴィール・シン、シャーヒド・カプール、アディティ・ラーオ・ハイダリー
©Viacom 18 Motion Pictures ©️Bhansali Productions
公式サイト http://padmaavat.jp/


八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。
機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。
初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。
トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com

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