大船駅「駅辨幕の内」(1100円)~鎌倉からニッポンの鉄道をアートで盛り上げる杉本聖奈さん!

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】

大船駅「駅辨幕の内」(1100円)~鎌倉からニッポンの鉄道をアートで盛り上げる杉本聖奈さん!

285系電車・寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」、東海道本線・藤沢~大船間

日本唯一の定期夜行列車、寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」が、朝日を浴びながら、通勤列車の合間を縫って東海道本線を上って行きます。
昨晩、高松・出雲市を発ち、岡山からは手を携えながら、多くのいのちを乗せ、闇夜を駆け抜けていま、終着・東京に向かってラストスパートへ。
いつの時代も、夜行列車にはドラマがあり、ロマンがあるものです。

大船駅「駅辨幕の内」(1100円)~鎌倉からニッポンの鉄道をアートで盛り上げる杉本聖奈さん!

立体イラスト「あけぼの~Come Back!」

2年ほど前、夜行列車が描かれた1つのアートに魅かれました。
「あけぼの~Come Back!」と名付けられた立体イラストです。
描かれているのはもちろん、平成26(2014)年の春、惜しまれながら運行を終了した上野~青森間(上越線・羽越本線経由)を走っていた寝台特急「あけぼの」号。
じつはこちらの作者の方、現在は鎌倉を拠点に活動をされているんです。

大船駅「駅辨幕の内」(1100円)~鎌倉からニッポンの鉄道をアートで盛り上げる杉本聖奈さん!

杉本聖奈さん

杉本聖奈(すぎもと・まりな)さん
昭和61(1986)年10月、東京生まれ

生まれつき聴覚障がいを持ちながら、ユニークな個性を活かして絵によるコミュニケーションを通じて、現在は独自の「立体イラスト」を中心とした創作活動を行っています。
また、鉄道グッズのデザインや、藤沢~鎌倉間を走る江ノ島電鉄の「えのでん絵日記号」を手掛けるなど、身近な鉄道風景のなかでも、杉本さんのアートを目にすることができます。

大船駅「駅辨幕の内」(1100円)~鎌倉からニッポンの鉄道をアートで盛り上げる杉本聖奈さん!

平成30年度「日本鉄道賞」特別賞の楯

杉本さんはその精力的な活動が認められ、昨年(平成30年)、国土交通省が優れた鉄道に関する取り組みを行った人(団体)を表彰する「日本鉄道賞」の特別賞を受賞しました。
テーマは「アートで新たな鉄道の魅力創造」。
いまも江ノ電を走る電車の1編成で、杉本さんが手掛けた路線案内図が使われているほか、千葉県内を走る「流鉄」の車内に掲示されている路線図も、杉本さんが手掛けています。

大船駅「駅辨幕の内」(1100円)~鎌倉からニッポンの鉄道をアートで盛り上げる杉本聖奈さん!

「あけぼの~Come Back!」で描かれている大館駅弁の立ち売りの方

杉本さんのアートの特色は、「人がひとりひとり、違う表情で描かれている」こと。
さらに山の木々は1本1本、星空も1つ1つの星がしっかりと輝いています。
そんなアートは、自然と「あったかい」気持ちにさせてくれます。
きっと、それは「いのち」あるものを等しく、丁寧に描くからこそ生まれる“ぬくもり”。
加えて「空のある風景」が、作品に出逢った人を明るい気持ちにさせてくれるように感じます。

大船駅「駅辨幕の内」(1100円)~鎌倉からニッポンの鉄道をアートで盛り上げる杉本聖奈さん!

Nan-na工房

鎌倉市内にある杉本聖奈さんのギャラリー「Nan-na工房」には、土・日曜の午後を原則に、完全予約制(1組4名まで)でお邪魔することができます。
詳しくは、「Nan-na工房」のウェブサイトでご確認ください。
また、6月28~30日にかけて東京・原宿で開催される「デフアート展2019」にも、杉本さんの作品が出展されますので、時間が合う方はお出かけになってみてはいかがでしょうか。

大船駅「駅辨幕の内」(1100円)~鎌倉からニッポンの鉄道をアートで盛り上げる杉本聖奈さん!

駅辨幕の内

駅弁のなかでも1つ1つの食材が輝いているバラエティに富んだ駅弁と言えば、焼き魚・蒲鉾・玉子焼きの“三種の神器”が入った幕の内弁当ではないでしょうか。
違うおかずが入っているということは、それぞれ別の異なる製造工程があるということ。
鎌倉・大船を拠点に首都圏各駅の駅弁を手掛ける「大船軒」が、今年(2019年)1月21日から販売しているのは、その名も「駅辨幕の内」(1100円)です。

大船駅「駅辨幕の内」(1100円)~鎌倉からニッポンの鉄道をアートで盛り上げる杉本聖奈さん!

駅辨幕の内

【お品書き】
・梅干ごはん
・鮭塩焼き
・蒲鉾
・玉子焼き
・エビフライ
・肉団子の黒酢あん ピーマン素揚げ
・煮物盛り合わせ(椎茸、筍、人参、蕗、高野豆腐)
・ひじき煮
・牛蒡そぼろ味噌煮
・大根漬け

大船駅「駅辨幕の内」(1100円)~鎌倉からニッポンの鉄道をアートで盛り上げる杉本聖奈さん!

駅辨幕の内

鮭の塩焼き、蒲鉾、玉子焼きという幕の内の基本を押さえる一方で、白飯は四分割された折の1つだけで、炭水化物を少なめにする方が多い“いまどきの”幕の内弁当。
焼き鮭も大きすぎず、塩加減、脂加減もちょうどよくて、白いご飯がよく進みます。
黒酢あんがかけられた肉団子には、素揚げのピーマンが添えられて、彩りも華やか。
基本に忠実で飽きの来ない味、改めて幕の内の魅力を再確認させてもらいました。

大船駅「駅辨幕の内」(1100円)~鎌倉からニッポンの鉄道をアートで盛り上げる杉本聖奈さん!

江ノ島電鉄300形電車

江ノ電の雰囲気を傍に感じながら、日々、創作活動に励む杉本聖奈さん。
杉本さんには1つの夢があって、それはいつか「駅弁の掛け紙」を作ること。
「冷めても美味しい」を基本とする駅弁が、杉本さんのほっこりする絵で包まれたら、それはきっと“冷めてもあったかい”駅弁になってくれそうな予感。
「駅弁膝栗毛」でも、いつかご紹介できる日が来るといいなぁと思います。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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